【時間割引率】あなたがダイエットや禁煙に成功しない科学的な理由!

あなたはダイエットや禁煙に成功したことはありますでしょうか?

多くの人がダイエットや禁煙にトライして、そしてそのほとんどが失敗しています。

結果的にダイエットに失敗する、禁煙に成功しないのは意思が弱いからなのでしょうか。

そこで今回は、ダイエットに成功したい、禁煙したいあなたのために、なぜダイエットや禁煙がうまくいかないのかを科学的に解説いたします。

目次

ダイエット成功の秘訣「時間割引率」とは

時間割引率とは、将来の価値を現在の価値に評価するときに割り引かれる率のことを指します。

要は、「今すぐ手に入る報酬よりも、将来手に入る報酬を低く見積もる」ことです。

例えば、

1. いますぐ1万円もらう
2. 1年後に1万円もらう

という選択肢があったとしましょう。

多くの場合は「いますぐ1万円をもらう」という選択をするのではないでしょうか?

つまり同じ1万円でも、いまの1万円と1年後の1万円の価値は異なります。
1年後にもらえる1万円の価値が、9000円だった場合、割引率は10%となります。

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指数割引|時間割引率

それでは、次の場合について考えてみましょう。

1. 1年後(02年)、1万円もらう
2. 2年後(03年)、に1万2000円もらう

この場合は人によって意見が分かれるのではないでしょうか?

さっきの場合と同様、時間割引率が10%と仮定して考えてみましょう。その場合、

1年後(02年)に1万円もらう現在の価値は、1万円×0.9(10%の割引率) = 9000円
2年後(03年)に1万2000円もらう現在の価値は、12,000×0.9(10%の割引率)×0.9(10%の割引率) = 9,720円

2年後に1万2000円ほうが価値が高いので、そちらを選びますし、割引率も一定ですので、本人の後悔もありません。

双曲割引|時間割引率

しかし、人によって価値の感じ方は異なりますので、それによって時間割引率は異なります。

例えば1年後にもらえる金額を現在に割り引く率が20%という人がいたとしましょう。そして、2年後以降からは割引率10%とします。

1. 1年後(02年)、1万円もらう
2. 2年後(03年)、に1万2000円もらう

その人はどうなるでしょうか?

1年後(02年)に1万円もらう現在の価値は、1万円×0.8(20%の割引率) = 8000円
2年後(03年)に1万2000円もらう現在の価値は、12,000×0.8(20%の割引率)×0.9(10%の割引率) = 8,640円

ここまでは、2年後に1万2000円もらう現在の価値が8,640円と高いので、本人も後悔はしないでしょう。では実際に、1年経過した場合、心境はどう変わっているのでしょうか?

1年経っているので、02年にもらえる1万円の価値は現在1万円と感じています。
次の年(03年)に1,2000円もらえることになっていますが、1年後にもらえる金額の割引率は20%ですので、

12,000×0.8(20%の割引率) = 9,600円

つまり、1年後に12,000円もらえるという価値を現在で考えると9,600円の価値しかないということになります。最初の時点では、2年後に1万2000円ももらったほうが、1年後に1万円もらうよりも価値が高かったはずなのに、1年経ってしまうと、1年後に1万円もらった方を選択すべきだったと後悔することになってしまいます。

割引率が一定ではなく、直近になるほど高くなっている割引の仕方を場合を双曲割引と言います。
簡単に説明すると、遠い将来は待てるけど近い将来ではせっかちになるような感じですね。

このように、もし、時間割引率が一定でなければ、その人が立てる将来計画は、時間がたつと最適な計画ではなくなってしまうのです。これを時間非整合性と呼びます。

双曲割引の人はダイエットも貯金も成功しづらい

双曲割引は言い換えると、今すぐ得られる利益を優先してしまう傾向です。ある意味、性格と言ってもいいかもしれないですね。

そのため、双曲割引の程度が強いほど、後回し行動を引き起こしやすくなります。

多くの人はダイエットを始める際、痩せるための完璧な計画を立てても、いざお酒やお菓子などの誘惑を前にすると、誘惑に負けてしまいます。それは意志が弱いというより、双曲割引の傾向が強い人と言えるでしょう。

双曲割引の傾向が強い人は、今すぐ得られる喜びであるケーキを食べることを優先してしまいます。

ダイエットを計画した時点ではお酒やお菓子を我慢するのは遠い将来(2年後に1万2000円もらえる例のような)なので、小さな「せっかちさ」で判断するため、ダイエットが成功することの価値を大きく感じます。

しかし、いざお酒やお菓子を前にすると(1年後の場合の例)、直近のほうが双曲割引の程度が大きいので、ダイエットをすることの価値よりも、お菓子やお酒を接種することの価値のほうが高く感じてしまうのです。

貯金の割合も低い|貯金できない理由

綿密な貯金の計画を立てても、いざ貯金をする時には、将来目標額を達成することの価値は大きく割引かれて、今すぐ得られる利益として欲しいものを購入することの価値の方が大きく感じるようになるのです。

近年の行動経済学の研究では、実際に、この双曲割引の傾向が強い人は、双曲割引が平均的な人に比べて、65歳時の退職貯蓄額が、約19,000ドル(日本円で約211万円)少なかったり、肥満である確率は、双曲割引の強さが高まるにつれ、2.8ポイントずつ上昇したりする傾向が示されているようです。

アメリカ・クレイトン大学では、マネーリテラシーを高めるよりも心理学を学んだ方が、より貯蓄ができるという研究が発表されています。

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また、クレジットカードは貯金を減らし、借金を増やすとも言われているので、人による対策が必要です。

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双曲割引の人はどうすればダイエットや貯金、禁煙ができるのか?

では、時間割引率が高い人の貯蓄対策はどうすればよいでしょうか。

将来よりも現在のためにお金を使ってしまう傾向があるわけですから、先取り貯蓄をする必要があります。
 
先現在使えるお金に先に制限をかけてしまうのです。給料が入ってきたら、強制的に貯蓄にまわしていきましょう。

また、今現在、金銭的に余裕がない人は、1年後に1万千円もらえると分かっていても、今の1万円を選びます。時間割引率が高い人は性格の問題ではなく、「今現在、余裕がない」からという人もいます。お金だけではなく、時間や気持ちの余裕もそうですね。

自分が本当にやるべきことや必要なもの以外は、断捨離してしまうのも効果があります。

また、意志力を上げて自分をコントロールするよりも、「誘惑のない環境」を作る方が大事です。

お菓子の代わりにフルーツを食べる、スマホを寝室に持ち込まないなど、強制的に環境を構築してしまうのが早いので、試してみてください。

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この記事を書いた人

株式会社シュタインズ
「テクノロジー×教育の研究開発」を事業の基盤に、現在は金融教育サービス事業「Moneychat(http://moneychat.life/)」の企画と開発を進める。

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