社会保障制度とは?その全体像をわかりやすく解説!

社会保障とは、年金や医療、介護など、すべての人の現在と未来に関わる重要な制度のことです。税金と同様に、国はこの社会保障についても責任を持って周知する必要がありますが、実際にはあまり理解が進んでいないこともあります。

この記事では、日本の社会保障制度の全体像を知ることを目的に、社会保障とは何か、その概要から、社会保険にかかる負担と給付、さらに他の福祉制度がカバーする範囲について、わかりやすく解説します。

目次

社会保障制度の概要

社会保障制度とは、私たちの生活を守るセーフティーネット機能です。社会保障があるおかげで、私たちはある程度安心して暮らすことができます。日本には様々な社会保障があり、これが全世代でバランスが取れているかどうかは議論のあるところですが、世界的に見れば比較的整っているほうだと考えられます。

社会保障制度の分類

社会保障という言葉は非常に広い意味を持っており、一般的には以下のような分類ができます。

  1. 社会保険:年金や医療保険などを含み、保険料の負担と給付がセットになっています。これらは強制加入の制度で、ほとんどの人に給付を受ける権利があります。
  2. 社会福祉:高齢者福祉、障害者福祉、児童福祉など、特定の人々を支援する制度です。
  3. 公的扶助:生活保護など、経済的に困窮している人々を支援する制度です。
  4. 保険医療:健康保険や介護保険など、医療サービスを受けるための保険制度です。
  5. 公衆衛生:予防接種や保健所の活動など、公共の健康を守るための制度です。

社会保障制度は、私たちの生活を支える重要な制度です。年金や医療、介護など、さまざまな形で支援が受けられる仕組みが整っています。これにより、「ゆりかごから墓場まで」という言葉の通り、生涯にわたって支えられることが可能です。

社会保障制度の具体例

ここからは、さらに具体的な制度について、簡単に説明していきます。まずは、社会保険系の制度からお話ししますが、そのボリュームが多いため、大半を占めることになりそうです。

公的年金制度

1つ目の制度は、公的年金制度です。公的年金は、簡単に言えば「長生き保険」です。もし年金がなかったら、いくら貯金していても長生きに対する不安がつきません。老後に生活破綻してしまう人が続出するのを避けるために、公的年金が用意されています。

国民年金と厚生年金

日本に住んでいる20歳以上の全員が、国民年金に強制的に加入します。さらに、会社員は国民年金に上乗せする形で、厚生年金にも加入する必要があります。国民年金は保険料も給付額も定額ですが、厚生年金は基本的に報酬に比例して保険料と給付額が増える仕組みになっています。

厚生年金加入者も国民年金加入者ですが、名目上は全て厚生年金として扱われます。厚生年金の保険料は給料から天引きされますが、保険料の半分は会社が支払うことになります。また、厚生年金加入者に扶養されている人は国民年金の3号被保険者となり、保険料なしで国民年金を納付しているのと同じ状態になります。この扶養については後ほどまとめて説明します。

年金の給付額

国民年金の現在の給付額は、40年間納め続けた満額で年間約66万円(具体的には66万250円)となっていて、とてもそれだけで生活していけるような金額ではありません。厚生年金に加入していれば受給額は増えますが、年金はあくまで「長生き保険」であり、老後の生活保障の全てをカバーするものではないという認識が必要です。

その他の年金機能

公的年金には、老後の保険という機能以外に、重い障害を負ってしまった場合や早く亡くなってしまった場合の保険機能も備えています。受給するための要件はありますが、障害年金や遺族年金という年金があります。これらは国民年金に加入し、保険料を納めていることが受給の第一の条件になっています。

特に障害年金はあまり一般に認知されていない印象がありますが、民間の医療保険や介護保険への加入を検討する人はぜひ押さえておきたい部分です。これだけで十分とは言い難いですが、一定の保証がすでに効いていることは意識したいところです。

医療保険について

次は医療保険について説明します。皆さん、健康保険証をお持ちだと思いますが、保険証があれば医療費の7割が保険でカバーされ、自己負担は3割で済みます。後期高齢者であれば、多くの方は1割負担です。日本は国民皆保険制度を採用しており、国民年金と同じように、日本に住む人はすべて健康保険に強制加入となります。

健康保険の仕組み

表面的な仕組みとしては年金に似ています。会社勤めの人は、会社が属する健康保険組合の健康保険に加入し、自営業や無職の人は国民健康保険に加入します。どちらの健康保険でも、医療費の7割が保険でカバーされるという基本的な給付内容は同じです。

会社の健康保険の場合、給与水準に合わせて保険料が上下し、その負担は会社と本人で折半(半分ずつ)します。国民健康保険の保険料も前年の所得に応じて決まります。この点は、保険料が定額だった国民年金とは異なる部分です。

また、会社の健康保険に加入している人の扶養に入っている家族は、追加の保険料なしで被保険者と同じ保険に加入できます。一方、国民健康保険の場合はこの制度がなく、自営業の人の家族は、扶養の範囲内であってもそれぞれの保険料を支払う必要があります。

扶養に関する補足

ここで重要なのが、社会保険における扶養の話です。年収の「130万円の壁」や「106万円の壁」という言葉を聞いたことがあるかもしれません。これは主に年金と健康保険の扶養に入れるかどうかの境界を指します。配偶者や親の社会保険の扶養に入っている人がこの壁を超えると、扶養から外れ保険料の負担が生じ、超えなかった場合よりも手取り収入が減ってしまう逆転現象が起こることを意味します。

扶養の境界とされる年収106万円と130万円の違いは、従業員の多い会社で働いているか、小規模な会社で働いているかという部分での制度の差に起因します。年収106万円の壁は、「従業員数101人以上」の会社で働いている場合。130万円の壁は、「従業員数100人以下」で働く者のみに訪れます。

厚生年金の保険料については将来の年金が増えるというメリットがあるため、一概に損とは言えませんが、健康保険料に関しては負担が大きく、この壁を超えるハードルを高くしています。

高額療養費制度

医療保険の重要なポイントとして「高額療養費制度」があります。これは、医療費が高額になった場合でも、自己負担の限度額を設定する制度です。例えば、平均的な所得の人で仮に100万円の医療費がかかり30万円の自己負担が発生しても、実際の自己負担は9万円程度で済むようになっています。長期間同じ状況が続けば、さらに負担が軽減されます。

また、健康保険には出産育児一時金や傷病手当金などの制度もあり、とても広範囲にわたるサポートが提供されます。

雇用保険

雇用保険は、保険料があまり高くないため、意識されることが少ないかもしれませんが、これも強制加入で、会社と従業員の両方が保険料を支払います。雇用保険の主な機能は、失業した時に失業手当を受けられることです。最も一般的な給付が「求職者給付の基本手当」で、これは失業した人が次の仕事を見つけるまでの支援を目的としています。一般に「失業保険」と呼ばれるものです。

特別な場合を除いて、一定期間の雇用保険加入が必要ですが、保険に入っていた期間や年齢に応じて、失業前の収入の50%から80%程度が給付金として支給されます。ただし、自己都合による離職の場合は2ヶ月から3ヶ月の待機期間が必要です。

育児休業(育休)もこの制度がカバーしており、その他にもさまざまな給付や支援があります。

労働者災害補償保険(労災保険)

忘れがちですが、労働者災害補償保険(通称:労災保険)も重要な社会保険の一つです。これは、働いている時や通勤時に起きた事故などによる怪我や病気に対して、療養に必要な費用の自己負担がなくなる制度です。労災保険も強制加入で、雇用されている場合は、たとえ短時間のアルバイトでも必ず対象となります。

労災保険の保険料は全額会社負担で、従業員は保険料を支払っていないため、他の社会保険に比べて加入しているという意識が薄いかもしれません。

労災保険は、業務内で起きた傷病が対象となりますが、因果関係の断定が難しい内容もあり、働いている間に生じたすべての傷病が対象になるわけではありません。しかし、労災保険は歴史のある制度であり、判定基準も比較的明確に定められています。

社会保険で最も新しい制度 介護保険です

介護保険は、40歳以上の全員が加入する制度です。加入者が要支援や要介護状態になった時、利用限度額の範囲内であれば、1割の負担で介護サービスを受けることができます。

基本的には、65歳以上の高齢者を対象とした制度ですが、40歳から64歳の間でも特定疾病(特定の病気)が原因であれば、要介護認定を受けることができます。

介護保険の給付内容

介護と聞くと、寝たきりや車椅子の状態を想像する方もいるかもしれませんが、要支援1~2の状態では、自分の身の回りのことは自分でできることが多いです。要支援状態でも、介護保険の給付として週に2回の訪問サービスで掃除や洗濯などの支援を受けることができるほか、幅広いサービスが用意されています。

要介護度に応じたサービス内容

要介護度が上がると、利用限度額も増えるため、1割の負担は必要ですが、使えるサービスの量も増えていきます。例えば、要介護1の状態では限られたサービスしか利用できませんが、要介護5の状態では、訪問介護やデイサービス、ショートステイなど多くのサービスが利用可能です。

介護保険のポイント

  1. 40歳以上が全員加入:40歳以上の全員が加入するため、誰もが将来に備えて介護サービスを利用できる準備が整っています。
  2. 要支援・要介護状態で利用可能:要支援や要介護状態になった際に、1割負担で介護サービスを受けることができます。
  3. 特定疾病にも対応:40歳から64歳でも特定疾病が原因であれば、要介護認定を受けることができます。
  4. 利用限度額内でのサービス提供:利用限度額の範囲内であれば、さまざまな介護サービスを受けることができます。

介護保険制度は、私たちの生活を支える大切な制度です。特に高齢化が進む現代社会において、将来の介護に備えるために、この制度を理解しておくことが重要です。

社会福祉制度について

ここからは社会福祉に関する説明に移ります。

実際には、社会福祉を一括りにするには対象が広すぎるかもしれませんが、公的扶助との違いを考えるとわかりやすいでしょう。

公的扶助は、もっぱら今お金があるかどうかを基準にして最低限の生活を保障するものです。
一方、社会福祉は子育て世帯や障害のある人など、支援が必要と思われる人々の属性やカテゴリーを基準にして給付が行われる社会保障施策です。

児童福祉

児童福祉には、小学校入学までの保育所利用料の支援や児童手当の支給などがあります。これにより、子育て世帯が経済的な負担を軽減しながら、安心して子育てができる環境を整えています。

障害者福祉

障害者福祉は、障害の度合いに応じて訪問介護や施設利用、医療費助成などのサービスを提供します。これにより、障害を持つ方々が自立した生活を送るための支援を受けることができます。

ひとり親世帯の福祉

ひとり親世帯への福祉としては、児童扶養手当などがあり、経済的に厳しい状況にあるひとり親家庭を支援しています。

社会福祉に分類される制度は多岐にわたりますが、生活上の困難がある人に対してその解決や緩和を目指し、経済的・精神的な支援を行っています。

公的扶助について

社会福祉と同様に保険料の支払いなどを受給の要件としていないのが公的扶助です。日本では生活保護と呼ばれる制度がこれに該当します。生活保護は、現在経済的に困窮している状況にある人なら誰でも受けられる公的支援制度で、生活費や住宅費など最低限の生活を送るのに必要とされているお金や現物の医療・介護などが提供されます。

生活保護は最後のセーフティネットと呼ばれ、他の社会保障制度を利用した上でそれでも足りない場合に受給できるようになっています。受給者の56%が高齢者、25%が障害や病気で働けない人、4%がひとり親世帯で、8割以上が現状で経済的自立が困難な世帯です。

公衆衛生について

最後に公衆衛生について説明します。公衆衛生の目的は、住民の健康や公共の衛生環境を守り増進することで、将来の病気の発生を予防し、感染症の蔓延を防ぐことにあります。具体的には、予防接種や伝染病の蔓延予防、食品衛生の管理や公害対策などがあります。これにより、全住民の安全な生活を確実に保障しています。

また、妊娠出産に関する母子保健や、心の悩み・不調に関する精神保健福祉もこの領域でカバーされており、相談窓口の開設や費用の助成などの支援が行われています。

まとめ 社会保障制度

日本の社会保障制度は、多層的な構造で成り立っており、社会保険が強力なセーフティネットとして機能し、それを補完する形で社会福祉と公的扶助が存在します。公衆衛生も含めて、これらの制度が連携して日本の社会を支えています。どのような時にどの制度が助けてくれるのかを理解しておくことは、いざという時に役立つでしょう。

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この記事を書いた人

株式会社シュタインズ
「テクノロジー×教育の研究開発」を事業の基盤に、現在は金融教育サービス事業「Moneychat(http://moneychat.life/)」の企画と開発を進める。

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