【8035】東京エレクトロン!日本が誇る世界トップクラスの半導体製造装置メーカー

東京エレクトロンは、日本を代表する世界トップクラスの半導体製造装置メーカーです。高い技術力と革新的な製品で知られ、半導体産業において重要な役割を果たしています。

東京エレクトロンは、半導体製造に必要な様々な装置を提供しています。これには、ウェーハ処理装置、薄膜形成装置、エッチング装置などが含まれ、半導体の生産プロセス全般をカバーしています。

東京エレクトロンは、常に最新技術の研究開発に注力しています。新しい半導体の製造プロセスや、エネルギー効率の良い装置の開発に取り組んでいます。半導体市場の成長に伴い、東京エレクトロンのビジネスも拡大しています。特に、AIやIoTの普及による半導体需要の増加が、同社の成長を後押ししていると考えられます。

そこで今回は、【8035】東京エレクトロンについて初心者にも分かりやすく解説いたします!

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東京エレクトロンとは?

東京エレクトロン株式会社は、東京都港区に本社を置く、日本を代表する半導体製造装置メーカーです。この企業は、半導体製造装置分野だけでなく、フラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置の分野においても高い技術力とシェアを誇り、国内トップクラス、世界的にも上位に位置しています。

商号東京エレクトロン株式会社
設立時期1963年11月11日
代表者河合利樹
主要事業・半導体製造装置事業
・FPD製造装置事業
資本金549億6,119万円

従業員数は1万5000人を超える大企業で、国内には25の拠点を持ちます。さらに、アメリカ、フランス、台湾、シンガポール、韓国などを含む世界各地に77もの拠点を展開しています。このような広範なネットワークを持ち、世界各地でビジネスを展開していることが、東京エレクトロンのグローバルな規模の大きさを物語っています。

東京エレクトロンは、その高度な技術力で半導体業界の要となっており、今後もこの分野でのさらなる成長が期待されます。その実力と拠点の広がりから、業界内外で注目されている企業です。

東京エレクトロンは、世界全体で見てもトップクラスの業績を持つ日本の大手企業です。2021年-2023年には、売上高が約2兆円で、Applied MaterialsやASMLなどの世界のトップメーカーと並ぶ存在として認知されています。

この企業は一般消費者にはあまり知られていませんが、時価総額では国内トップクラスで、日本経済にとって重要な柱の一つとなっています。高精度な半導体製造に寄与する製品を提供し、世界の半導体市場においても重要な役割を果たしています。

新型コロナウイルスの流行がこの業界に与えた影響も大きいです。多くの業界が不況に陥った中、リモートワークの需要増加により、PCやクラウドサービスなどへの需要が高まりました。このため、半導体業界、特に東京エレクトロンのような企業は、売上を伸ばすことができたのです。

このように、東京エレクトロンは半導体製造装置メーカーとして世界で高い評価を受け、新型コロナウイルスの流行によるデジタル化の加速によってさらなる成長が期待されています。

東京エレクトロンの歴史

東京エレクトロンの歴史は、1963年に久保徳雄氏と小高敏夫氏によって始まりました。彼らは総合商社での勤務経験を活かし、米国で注目されていたIC(集積回路)の将来性に着目し、その製造装置を日本に輸入する事業を立ち上げたのです。

東京エレクトロンの特徴は、特化した事業戦略による高収益体質です。ICとは、半導体の一種で、小さい基板上に多くの回路素子を高密度に組み込んだ電子回路のことを指します。これらは、パソコンや家電製品など多くの製品に組み込まれています。初期の半導体は、導体と絶縁体の中間的な性質を持つ物質を指していましたが、現在では半導体を使用した電子部品や集積したICなどを指すことが一般的です。

TBS(東京放送)からの出資を受け、東京エレクトロンは販売だけでなく、技術サービスを提供し、高収益のビジネスモデルを築きました。1970年には拡散炉を国産化し、半導体製造装置メーカーとしての地位を確立しました。1990年代からのグローバル展開と市場の成長に伴い、企業は大きく成長し、2021年には世界4位の半導体製造装置メーカーとしての地位を確立しました。

東京エレクトロンは、テクノロジーの進化を支える不可欠な企業となっています。

東京エレクトロンが世界トップクラスの企業になれた理由

東京エレクトロンが世界トップクラスの企業になれた理由は、彼らが半導体製造装置やフラットパネルディスプレイ製造装置に特化した専業メーカーとして、積極的に投資を行ったことにあります。

1990年代には、日本企業のNEC、東芝、日立製作所などが半導体のシェアで世界トップを独占していました。しかし、彼らは「半導体専業ではなく総合メーカーの一部としての半導体事業」を展開していたため、業界をリードする研究開発や設備投資に集中できず、競争力を失ってしまいました。

一方で、現在の半導体市場は米国のインテル、韓国のサムスン電子、台湾のTSMCの3社が圧倒的なシェアを占め、ビックスリーとして君臨しています。日本企業とは異なり、これらの企業は半導体専業メーカーとして、積極的な投資と開発を続けてきました。

東京エレクトロンも、このような市場の変化を受け、特定の分野に特化し、1300億円を超える研究開発投資と500億円を超える設備投資を行ってきました。その結果、22.9%という圧倒的な営業利益率を実現し、世界トップレベルの競争力を維持しています。

東京エレクトロンの成功の鍵は、超特化型の事業戦略による集中投資です。これにより、彼らは高収益体質を実現し、半導体製造装置業界において重要な役割を果たしています。

東京エレクトロンの強み

東京エレクトロンの強みは、世界トップクラスの総合力と、特に「前工程向けの装置」における圧倒的な強さにあります。この会社は、半導体製造の前工程で必要な4つの基幹工程すべての製造装置を作る世界唯一の企業として、全世界で7万台以上を出荷しています。この前工程には、次のような工程が含まれます。

  1. 成膜:ウェーハ上に配線などになる薄膜を形成する工程。
  2. リソグラフィー:薄膜上に感光剤を塗布し、回路パターンを転写する工程。
  3. エッチング:現像された感光剤をマスクにして、エッチングにより薄膜を配線などの形状に加工する工程。
  4. 洗浄:汚染物質や付着物を洗浄する工程。

また、東京エレクトロンの強みは単に製品の製造だけではなく、装置の予防保全を含むフィールドソリューション事業にも及びます。ここでは、世界中の装置から集められたデータを活用して、顧客の生産ラインの稼働率を最大化します。これにより、東京エレクトロンは情報収集力と分析力を活かして、顧客に大きな価値を提供しています。

加えて、東京エレクトロンは顧客の信頼と高品質な製品、そして長年にわたる成長への投資により、世界最高レベルの総合力を持つと評価されています。これらの要素が組み合わさることで、同社は今後も半導体製造業界のリーディングカンパニーとして活躍することが期待されます。

東京エレクトロンの主要事業

東京エレクトロンの主要事業を紹介します。

1. 半導体製造装置

半導体は、現代社会において必要不可欠な存在です。パソコンやスマートフォン、さまざまな電子機器に組み込まれ、通信技術の発展にも大きく貢献しています。このような背景から、半導体の製造に欠かせないのが「半導体製造装置」です。

半導体製造装置は、半導体メーカーが設計したデバイスを実際に製品化するために必要です。仮に理論上素晴らしいデバイスが設計されても、それを現実の製品として生産するための高精度な製造装置がなければ、製品化はできません。つまり、半導体製造装置メーカーの技術革新は、半導体業界全体の技術力向上に不可欠なのです。

東京エレクトロンの重要な製品としては、以下のようなものがあります。

  1. コータ/デベロッパ:ウエハ処理の過程でフォトレジストの塗布・現像を行います。2021年には世界市場シェア89%を占め、世界中から高評価を得ています。
  2. ウェーハプローバ:世界市場シェア47%。
  3. 成膜装置:世界市場シェア39%。
  4. ドライエッチング装置:世界市場シェア29%。
  5. 洗浄装置:世界市場シェア25%。

このように、東京エレクトロンは高い市場シェアを持つ製品を多く持っており、半導体製造装置分野において世界トップクラスの企業として活躍しています。

2. フラットパネルディスプレイ(FPD)

フラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置は、東京エレクトロンの重要な製品の一つです。「フラットパネルディスプレイ」とは、私たちの身の回りにあるパソコンやスマートフォン、液晶テレビや有機ELテレビなどに使われるディスプレイのことを指します。これらのディスプレイは、現代社会においてなくてはならない存在です。

FPDは、電子機器の情報を表示し、人間がその内容を理解したり操作したりするための重要なインターフェースとして機能します。つまり、ほとんどの電子機器にはディスプレイが必要となります。

東京エレクトロンは、このFPD製造装置市場においても、優れた製品を提供しています。2022年のデータによると、同社の「FPDプラズマエッチング装置」の世界市場シェアは71%に達し、また「FPDコータ/デベロッパ」においても21%のシェアを占めており、市場において強い地位を築いています。

これらの事実から、東京エレクトロンがFPD製造装置分野においても世界的なリーダーであることがわかります。同社の技術と製品は、FPD市場の発展と共に今後も重要な役割を果たしていくことでしょう。

東京エレクトロンの業績(2024年3月期)

東京エレクトロンの業績を見ていきましょう。

東京エレクトロンの最近の決算は、減収減益という結果になっています。具体的には、売上高が前年度比で22.3%減少し、営業利益も33.1%減、純利益も32.8%減少しています。これにより、準利益も32.3%減少しています。

一方で、株価は前年同期よりも少し下がっており、配当金については増配となっているようです。年間の配当予想は367円と発表されています。

このように全体的に業績は前年同期と比べて減収減益の予想となっており、連結業績要素についても修正が入っています。ただし、詳細な分析や今後の見通しについては、企業からの公式発表や専門家の分析を参照することが重要です。

東京エレクトロンは、最近の第3四半期までの累計結果で、前年同期と比べて減収減益の結果となりました。これは、半導体産業全体の低迷の影響を受けたためです。しかし、現在は徐々に回復傾向にあり、今後さらなる改善が期待されています。

具体的には、今期の第1四半期を底にして、その後徐々に業績が回復している様子です。このような現状は、半導体業界の動向に大きく影響されるため、今後の市場の状況や東京エレクトロンの戦略によって変化する可能性があります。

また、東京エレクトロンは、最近の第3四半期の決算発表で配当金の増配を発表しました。この増配により、年間配当予想は367円に設定されています。東京エレクトロンの株主還元策では、連結配当成功率を50%と設定しており、また自社株の買い戻しも機動的に行っていく方針です。

今回の配当金の増配により、今期の総還元額は過去最高を更新する見込みです。東京エレクトロンは株主還元に対して積極的な姿勢を続けており、株主にとってはプラスのニュースと言えるでしょう。

東京エレクトロンの今後の見通し

東京エレクトロンの最近の決算短信を確認すると、会社予想の情報修正が全体的に行われています。売上高に関しては1000億円、営業利益は44億円、経常利益は460億円、純利益は330億円に修正されました。また、これらの修正に伴い、一株利益に関しても71.02円に修正されています。

これらの修正は、企業の業績見通しや将来の計画に関する重要な情報を提供するものであり、投資家や関心を持つ人々にとって重要なデータとなります。売上高や利益の見通しは、企業の健全性や市場での競争力を示す指標として、株価の動向や投資判断に大きな影響を与えることがあります。

東京エレクトロンの公式発表や決算短信、株主通信などを通じて、最新の業績見通しやその他の企業情報を確認することが重要です。また、専門家の分析や見解も参考にして、適切な投資判断を下すことが推奨されます。

まとめ 東京エレクトロン

東京エレクトロンは、半導体製造装置の分野で世界トップクラスの企業であり、日本国内外に広範な影響を及ぼしています。1963年に創業し、半導体製造装置の輸入事業からスタートしましたが、現在では独自の高度な技術力とイノベーションにより、半導体製造装置の製造において世界的なリーダーとなっています。

同社は、半導体製造装置の「前工程向け装置」に強みを持ち、そのシェアは世界的に高いレベルです。主要な製品には、フォトレジストの塗布・現像を行う「コータ/デベロッパ」や「ウェーハプローバ」、「成膜装置」、「ドライエッチング装置」、「洗浄装置」などがあり、これらは高い市場シェアを占めています。

また、フラットパネルディスプレイ(FPD)製造装置においても、同社は高いシェアを保持しており、「FPDプラズマエッチング装置」では世界市場の約71%を占めています。

近年の業績に関しては、新型コロナウイルスの影響による市場の変動を経験しており、一時的な減収減益の状況が見られました。しかし、第3クオーターまでの累計値は前年同期と比べて減収減益となっており、今後の回復傾向に注目が集まっています。同社は株主還元にも積極的であり、増配を発表しています。

東京エレクトロンは、その卓越した技術力と製品の多様性、市場での強固な地位により、今後も半導体業界の発展に大きく貢献していくことが期待されています。

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この記事を書いた人

株式会社シュタインズ
「テクノロジー×教育の研究開発」を事業の基盤に、現在は金融教育サービス事業「Moneychat(http://moneychat.life/)」の企画と開発を進める。

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