こんにちは!
今回は、「働き方そのものをデザインする」注目企業──株式会社ヴィス【5071】の2025年3月期決算について、わかりやすく・投資家目線で解説します。
「ヴィスって聞いたことあるけど、オフィスの内装業者でしょ?」
そんな印象を持っていた方にこそ、ぜひ知ってほしいのが、今のヴィスが目指す未来像。
- 空間の提供にとどまらない「ワークデザイン」という思想
- デジタルやブランディングを融合した独自のサービス構造
- 4期連続で増収増益&過去最高益という実績
「利益率が高くて、財務も健全。しかも成長中」という、三拍子揃った企業の姿が、今のヴィスです。
この記事では、決算短信と説明資料の内容をもとに、
- 今期の業績ハイライト
- セグメントごとの動き
- 財務・配当のポイント
- 成長戦略と今後の注目点
を、図表やデータを交えながら、できるだけシンプルに解説していきます。
前回の決算に関する詳細な解説は別の記事で行なっていますので、まだ読んでない方は、まずは下記を読んでください!

🔍 まずは数字で見る、ヴィスの成長ストーリー

2025年3月期の通期決算は、売上・利益ともに4期連続で過去最高を更新する好決算となりました。
項目 | 2025年3月期実績 | 前年比 |
---|---|---|
売上高 | 16,253百万円 | +12.9% |
営業利益 | 1,915百万円 | +25.7% |
経常利益 | 1,910百万円 | +26.8% |
当期純利益(親会社帰属) | 1,357百万円 | +37.0% |
営業利益率 | 11.8% | +1.2pt |
EPS(1株あたり当期純利益) | 163.43円 | +35.7% |
自己資本比率 | 64.1% | +5.0pt |
注目ポイントは以下の通りです。
- 全利益項目が20~30%台の成長率と力強い推移
- 営業利益率が1割を超え、安定的な利益体質に
- EPSが前年比+43円増加と、株主還元余力も拡大
- 財務面では、自己資本比率64.1%で安全性も高水準
さらに注目すべきは「高単価戦略」の成果です。
大規模案件(1億円超)の受注件数は34件、受注全体の3分の1以上に相当する56億円分を占めました。

売上高、利益ともに連続して増加傾向にあることもポイントですね!
📈 セグメント別に見る「ヴィスの今とこれから」

ヴィスは現在、大きく分けて以下の2事業を展開しています。
- ブランディング事業(主力)
- データ&プレイスソリューション事業(成長分野)
それぞれの今期実績と注目ポイントを見ていきましょう。
🟦 主力:ブランディング事業
項目 | 実績 | 前年比 |
---|---|---|
売上高 | 15,606百万円 | +13.0% |
営業利益 | 1,906百万円 | +18.8% |
ブランディング事業は、オフィス・Web・グラフィックのデザインを一括して提案する、ヴィスの中核サービスです。
- 高単価戦略が奏功し、営業利益率は12.2%と高水準
- 単価上昇と選別営業により利益構造が改善
- プロジェクト単価は2千万円台から、3千万~4千万円台に以降
さらに、SFAツールを活用した受注管理や、案件のリピート率向上にも注力。既存顧客比率は59.5%と、高い定着率を誇ります。
🟩 注目:データ&プレイスソリューション事業
項目 | 実績 | 前年比 |
---|---|---|
売上高 | 647百万円 | +9.7% |
営業利益 | 127百万円 | +149.6% |
こちらは、DXツールや組織改善サーベイ、フレキシブルオフィス「The Place」などを展開する新規拡大分野。
- 組織診断ツール「ココエル」や「ワークデザインプラットフォーム(WDP)」のデータを活かしたコンサルティング領域が好調
- フレキシブルオフィスは新橋拠点の開設予定あり(2025年秋)
小規模ながら利益が急拡大しており、前年比+149.6%とブレイク中の事業領域です。

このように、ヴィスは「高収益の主力事業」と「成長エンジンとなる新規事業」の2本柱で、バランスよく収益を拡大しているのだ!
💰 財務の健全性も折り紙付き!盤石なキャッシュフロー体質
2025年3月期のヴィスは、利益成長に加えて、財務面・資金繰りの健全性にも注目すべき内容となっています。
📊 財務指標の概要
指標 | 数値 | 前年比 |
---|---|---|
総資産 | 107.9億円 | +9.4% |
純資産 | 69.3億円 | +18.6% |
自己資本比率 | 64.1% | +5.0pt |
現金及び同等物 | 59.7億円 | +9.5億円 |
1株あたり純資産(BPS) | 828.73円 | +17.6% |
➡ 自己資本比率60%超、BPSも着実に上昇しており、財務の安定性は非常に良好。
💵 キャッシュフロー分析
区分 | 金額 | 特記事項 |
---|---|---|
営業CF | +15.6億円 | 税引前利益・債権回収進展が寄与 |
投資CF | △3.3億円 | 敷金・保証金の差入、投資有価証券の取得など |
財務CF | △2.8億円 | 配当(▲2.98億円)に起因 |
➡ 営業活動からのキャッシュ創出力が非常に高く、自己資金で成長投資をまかなえる構造です。
📈 配当政策の進化
期 | 配当金(円) | 配当性向 |
---|---|---|
2024年3月期 | 36円 | 29.9% |
2025年3月期 | 49円 | 30.0% |
2026年3月期予想 | 49円(予想) | 32.5% |
増益に応じて増配を実施し、株主還元も積極姿勢。
配当性向30%を基本方針として明記しています。



財務・キャッシュフローの両面から見て、攻めと守りのバランスが取れた企業体質がうかがえるのだ!


📌 成長の裏付けは「単価と効率」──ヴィスのKPIに注目
ヴィスは、単に案件数を追うのではなく、「選別」と「高付加価値化」を軸にKPIを最適化し、収益性を強化しています。
注目すべきは、以下の3指標です。
🏗 プロジェクト単価:直近数年で大幅に上昇
四半期 | 平均単価(千円) |
---|---|
2023年Q1 | 20,650 |
2025年Q3 | 44,033 |
- わずか2年で大幅上昇!
- 大規模案件(1億円以上)34件で、受注全体の34%超を構成
- 「単価で稼ぐ」構造へと進化



中期経営計画の狙い通り、量より質への転換が進んでいるのだ!


🔄 プロジェクト受注率:おおむね6〜7割を維持
- 受注率は全四半期で60~73%のレンジに安定推移
- Q4は引き合い数も急増し、需要は依然として堅調
➡ 営業効率が高く、案件獲得の質も落ちていない点が好材料です。
👥 既存顧客比率:59.5%と高定着率
- 継続取引が多く、LTV(顧客生涯価値)型ビジネスモデルを構築
- 大手グループ企業の全国展開などにも伴走
- 例:NTTデータ、JFE商事、旭化成エンジニアリングなど
💡 このKPIから読み取れること
- 高単価 × 選別型 × 継続性 = 利益率の高いモデル
- 「一発勝負の内装業」ではなく、「課題解決型の伴走企業」へと進化中
- 中長期で安定収益を見込める事業構造が整いつつある
🚀 中期経営計画は“前倒し達成”──次の成長フェーズへ
ヴィスは2023年に発表した中期経営計画(2023〜2026年度)において、「ワークデザインによる企業価値向上」を軸とした持続的成長を掲げてきました。
その中で、当初2025年度末(2026年3月期)に達成予定だった目標を、今回の2025年3月期で前倒し達成したことは、注目すべき成果ではないでしょうか!
🎯 中期目標 vs 今期実績
指標 | 2026年3月期 目標 | 2025年3月期 実績 | 達成状況 |
---|---|---|---|
売上高 | 161億円 | 162.5億円 | ✅ 達成 |
営業利益 | 15.9億円 | 19.1億円 | ✅ 超過達成 |
営業利益率 | 9.2% | 11.8% | ✅ 高水準維持 |
営業利益CAGR | 10.4% | 25.7% | ✅ 大幅上振れ |



明らかに「選別営業+高単価戦略」が奏功し、利益の質が大きく向上したと言えるのだ!
🧩 戦略の主軸はワークデザインの拡張
ヴィスはオフィス空間の設計・施工にとどまらず、以下のような多層的な価値提案を強化しています:
- DXツール(ワークデザインプラットフォーム)
- 組織改善サーベイ(ココエル)
- フレキシブルオフィス「The Place」の拠点展開
- オフィス運用・移転コンサルティング(再接点型モデル)
結果として、「一度の取引」で終わらないLTV重視のストック型収益モデルが構築されています。
🏢 今後の布石:「The Place」新橋拠点オープン
2025年秋には、東京・新橋に「The Place Shimbashi」が新設予定。
- 面積:約180坪(179.7坪)
- アクセス:新橋駅直結
- コンセプト:「TSUMUGI(ツムギ)=つながりを紡ぐ空間」
大都市圏での認知拡大・ブランディングにも直結する成長投資といえるでしょう。
🗺 中計後半に向けての注目点
- 来期(2026年3月期)以降は、新中計の再設計が期待される
- 「250億円・営業利益25億円」の長期ビジョン(2030年)に向けて、次の成長軸が問われるフェーズへ
🧠 投資家が注目すべき「3つの稼ぐ力」
ヴィスの決算を数字で読み解いていくと、「ただのオフィスデザイン会社」ではなく、効率よく稼げる設計型企業であることが明確に見えてきます。
① ROE・ROAに見る「資本効率の良さ」
指標 | 数値(2025年3月期) | 備考 |
---|---|---|
ROE | 19.6% | 自己資本利益率:非常に高水準 |
ROA | 12.6% | 総資産利益率:高収益企業の証 |
一般的に、ROE15%以上、ROA10%以上で優良企業とされます。ヴィスはこれを大きく上回り、資本と資産を効率的に回している点が高評価。


ROE・ROAともに増加傾向にあり、投資家としてはとても好印象ですね。
理由としては、やはり利益率の改善と高単価案件の獲得が挙げられるでしょう!
② 売上の質が向上している
- 売上は「件数増」ではなく「単価上昇」で伸びている。
- プロジェクト単価は2年で大幅に上昇!
- 一方で、受注件数はむしろ絞っており、利益率を最優先する経営判断が浸透。
➡ 単なる成長ではなく、「構造的な体質改善」と捉えるべき内容です。


③ 継続性のあるビジネスモデル(LTV型)
- 売上の約6割が既存顧客によるもの(2025年3月期:59.5%)
- NTTデータなどの大手企業とも、拠点ごとの展開で継続取引
- 一度の施工で終わらず、再設計・拡張・DX導入などで再接点を構築
このような「継続型ビジネスモデル」は、景気変動に強く、長期的な売上安定につながるという強みがあります。
🧩 今の株価はどう見る?
現在のヴィス【5071】の株価は大体1,269円(2025年6月3日時点)。
これに対して、2025年3月期のEPS(1株あたり利益)は163.43円と、非常に高い水準にあります。
- EPS:163.43円
- 配当:49円(配当性向30%)
仮にPER 15倍程度で評価されるとすれば、理論株価は2,450円前後(PER×EPSの単純計算)が目安。
さらに、ROE19.6%・営業利益率11.8%という高収益体質を考慮すると、
PER(株価収益率)8倍台という現在の市場評価は、やや過小評価と言わざるを得ません。
想定PER | 理論株価(目安) | 割安度の目安 |
---|---|---|
13倍 | 約2,120円 | 保守的な評価でも+67%水準 |
15倍 | 約2,450円 | 妥当な中立評価 |
18倍 | 約2,940円 | 成長期待込みの高評価レンジ |
2026年3月期のEPS予想(1,262百万円の純利益ベース)が仮に維持・拡大すれば、
PER18倍水準(=2,900円超)も十分に狙える中期的ポテンシャルを秘めています。
➡ 短期トレードより、「成長+収益性+財務健全性」を武器に中期的なリターンを狙う銘柄として注目したいポジションです。
🎯 まとめ──「今の数字」ではなく、「成長の流れ」を見よ
2025年3月期のヴィスは、売上・利益ともに過去最高を更新し、中期経営計画の目標を1年前倒しで達成するという非常に好調な着地となりました。
単なる内装・デザイン企業ではなく、働き方そのものを設計し、企業と人の成長に伴走する、そんなポジションを確立しつつあるヴィス。
「利益率の高いビジネス×安定した再取引×堅実な財務」
この3点が揃う企業は、意外と多くはありません。
成長企業を“長く持つ”視点で見るなら、ヴィスはその候補にふさわしい1社です。
投資家が押さえるべき3つの視点
- 利益率の高い成長モデル
- 高単価×選別営業で、件数より「質」で伸ばすスタイルを確立。
- 営業利益率は11.8%、ROE19/6%と極めて高水準。
- LTV重視の継続収益型構造
- 一度きりではない取引構造。既存顧客売上が59.5%を占める。
- 空間提供から、DX・人事・組織改革まで支援領域を拡大中。
- 盤石な財務体質と還元姿勢
- 自己資本比率64.1%、配当性向30%で安定性と株主還元を両立。
- EPS163円 → 配当49円と、実利も伴う魅力あり。
新橋「The Place」など、成長投資が実需に結びつくかに注目。
また、次期中期経営計画の発表動向も意識され始めるタイミングです。
🔗 関連リンク・参考資料
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