経済成長の鍵となる60代雇用:株式市場へのインパクト

上場企業の間で定年を65歳に引き上げる動きが相次いでいます。

近年、経済状況の変化とともに、60代の労働力の重要性が再評価されています。シニア世代の経験と専門知識は、企業にとって貴重な資産となり、その影響は単に職場内だけでなく、株式市場にも広がっています。本記事では、60代の雇用が経済成長と株式市場に与えるインパクトに焦点を当て、その重要性と具体的な影響について考察していきます。

人口構成の変化が進む現代社会において、高齢者の数は増加の一途をたどっています。健康な60代の人々は、退職後もエネルギッシュに働く意欲を持ち、専門知識や豊富な経験を提供することができます。このようなシニア労働力の活用は、経済全体の活力を高めるだけでなく、株式市場にもさまざまな影響を与えています。

経済成長を促進し、株式市場の活性化に貢献する60代雇用の意義を理解することは、持続可能な経済発展のために欠かせません。

企業は法律で65歳までの雇用確保を義務付けられていますが、現在は60歳でいったん退職し、条件を下げる形での再雇用が中心です。

少子化で働き手不足が予想されるなか、処遇を見直してシニアの活用を目指すようです。60代雇用の行方は高齢化ニッポンの株式市場への影響も見逃せません。

目次

60代全体の66%が「働いている」と回答

カケハシスカイソリューションズが60―69歳の男女1100人を対象に行った「定年後の仕事とお金に関する調査」によると、60代全体の66%が「働いている」と回答しました。

その内訳は「再雇用」が36%、「再就職」が20%。「再雇用で働いた後、再就職」が6%、そして「起業」が4%です。

60代の働き方としては、「再雇用」または「雇用延長」が中心になっていることがわかりますね。 しかし、60代前半(60―64歳)と後半(65―69歳)、つまり年金が本格的に支給される時期を境目に様子が変わります。

60代前半では「働いている」が合計78%で、何らかの仕事に就いている。対して、60代後半の人たちは、「働いている」が54%に減少。

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60代の労働人口は増加|2025年問題

少子高齢化により現役世代の人口が急速に減少していくのが2025年問題です。

これまでのように、経済活動を維持するには働く意欲のある高齢者がこれまで以上に活躍することが期待されています。

2020年の労働力人口は6868万人でしたが、そのうち65~69歳が424万人、70歳以上は498万人です。労働力人口総数に占める65歳以上の割合は13.4%となり、右肩上がりで年々上昇が続いています。

内閣府の高齢社会白書によると、現在仕事をしている60歳以上の約4割が「働けるうちはいつまでも働きたい」と回答し、「70歳くらいまでもしくはそれ以上」との回答と合計すれば約9割が高齢期にも高い就業意欲を持っている様子がうかがえます。

従業員31人以上の企業約16万社のうち、高年齢者雇用確保措置を実施済みの企業の割合は99.9%、希望者全員が65歳以上まで働ける企業の割合は80.4%となっているようで、労働意欲の強い高齢者の職場も多いとみられるためシニア雇用関連銘柄が注目されそうです。

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60代雇用が株式市場に与えるインパクト

近年、60代の労働力が経済成長の鍵となっているという認識が広まっています。

高い企業パフォーマンスとの関連性

シニア労働者の雇用率の増加は企業のパフォーマンスと正の相関関係があることが示されています。

例えば、Boston College Center for Retirement Researchの調査では、60代の雇用拡大が企業の利益性と生産性を向上させる効果があることが示されました。これは、60代の労働者が幅広い経験と知識を持ち、高いモチベーションと責任感を持って業務に取り組むことが要因として挙げられています。

消費活動の拡大と市場需給の改善

60代の雇用が増加すると、シニア層の所得が増加し、彼らの消費活動が活発化します。

これにより、商品やサービスへの需要が増加し、企業の売上や収益に直接的な影響を及ぼします。米国の米国消費者金融保護局(CFPB)の調査によると、60代以上のシニア層は消費支出の大部分を占めており、その割合は年々増加しています。このような消費の増加は、株式市場における企業の業績にプラスの影響を及ぼすと考えられています。

ロングターム・インベストメントの安定性

60代の投資家は、より長期的な投資の視点を持つ傾向があります。彼らは退職後の生活資金を確保するために、株式市場などの資産に積極的に投資するケースが多いです。このような投資は、市場の安定性と成長に寄与し、長期的な投資家の需要を支える要因となります。また、60代の投資家が市場に安定感をもたらすことで、若年層の投資意欲も高まる可能性があります。

これらのデータと証拠から明らかなように、60代の雇用は株式市場に重要なインパクトを与える要素となっています。その経済成長への貢献は、企業パフォーマンスの向上、消費活動の拡大、長期的な投資の安定性など、さまざまな形で現れています。したがって、シニア労働力の活用と雇用の促進は、経済全体の持続可能な成長を支える重要な戦略となります。

シニア雇用関連銘柄が注目

高齢化社会に特化した人材提供サービス会社などの銘柄に今後注目が集まります。

またコロナ禍の影響を受けた若者や就労が困難なひとり親家庭、経験豊富なシニア世代など幅広い人材が活躍できる就労プログラムを展開している企業も今後伸びるかもしれません。

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まとめ

60代の雇用は株式市場にとって重要な役割を果たしています。その経済成長への貢献は、企業パフォーマンスの向上、消費活動の拡大、長期的な投資の安定性など、さまざまな形で現れています。

シニア労働力の活用と雇用の促進は、経済全体の持続可能な成長を支えるために不可欠な戦略です。政策立案者や企業経営者は、60代の労働力の能力と価値を最大限に活用するための取り組みを重視すべきです。

将来的な人口構成の変化を考慮に入れながら、60代の雇用促進とシニア層の経済的な貢献を支援する環境を整えることは重要です。60代の労働力が経済成長の鍵となり、株式市場にポジティブなインパクトをもたらすことは疑いの余地がありません。

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この記事を書いた人

株式会社シュタインズ
「テクノロジー×教育の研究開発」を事業の基盤に、現在は金融教育サービス事業「Moneychat(http://moneychat.life/)」の企画と開発を進める。

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