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マクドナルドといえば、ほとんどの人がハンバーガーを思い浮かべるでしょう。しかし、この企業が年間210億ドル(約2.4兆円)もの売り上げを上げているのは、ハンバーガーだけではありません。もちろん、ポテトやコーラも関係していますが、その他にも知られざるビジネスモデルが存在します。
企業経営は、広告などで一般の人に認知されている商品を売るだけでなく、実際には別の収益源が存在していることがよくあります。
例えば、サッポロビールや松竹などの企業を見ると、セグメント(部門)別の売上割合の30%以上が「不動産事業」からの利益となっています。これらの企業は、恵比寿や銀座周辺などで土地を所有し、その上に商業ビルやオフィスビルを建設して、賃料を得るという収益モデルを採用しています。
ということで、マクドナルドがなぜこれほど巨大で、なおかつ安定した業績を保ち続けているのか、その秘密を見ていきましょう!
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マクドナルドのビジネスモデルとその仕組み
不況時には、消費者の行動が予測可能な方法で変化する傾向があります。この時、最も影響を受けるのは旅行・観光、レジャー、そして製造業などです。
一方で、実際に利益を上げる企業も存在します。例えば、ファーストフード産業。景気が後退しても食料は必要ですが、消費者は安価な代替品を選ぶため、「バーガーキング」や「Wendy’s」などのチェーン店が不況時に平均よりも優れた業績を上げることがあります。
2008年の不況時、最も成功したファストフード企業はマクドナルドでした。この年、マクドナルドは55ヵ月連続で既存店売上高を増加させ、景気後退前よりも優れた業績を達成し、600店舗の新規出店を行い、29%という驚異的な自己資本利益率を達成しました。
この成長にはもちろん「消費者が安価なファストフードを求めた」という理由も関係していますが、それだけではありません。マクドナルドが「不況に強い」と言われる大きな理由がもう一つあるのです。
マクドナルドは不動産で儲けている!?
マクドナルドの実態は、「巨大な不動産会社」です。 2019年の貸借対照表を見ると、「390億ドル」という目立つ数字があります。
この数字は、減価償却費を計上する前の、すべての有形固定資産の現在の価値を示しています。マクドナルドは、総資産ベースで世界第5位の不動産保有企業となっています。
マクドナルドはフランチャイズ方式で急速に成長し、世界中にある店舗の85%はこの方式で運営されています。他のファストフード店と同じく、異なるのは、マクドナルドがフランチャイズ収益の大半を、店舗の売上ではなく、店舗と土地の賃料で得ているということです。
マクドナルドには、直営店とフランチャイズ店の二つの形態があります。
フランチャイズ制度を導入し、積極的な土地活用を通じて収益を上げているのが注目すべき点です。この手法は、サッポロビールや松竹などが創業の地に所有する土地に建物を建て、その家賃収入を得る不動産業とは異なります。同じようなアプローチは、一般消費者を商売相手とするコンビニエンスチェーンでも見受けられます。
マクドナルドが不動産で稼ぐ仕組み
マクドナルドの収益を見ると、2019年には、116億ドルのフランチャイズ料のうち、64%が賃料として支払われています。マクドナルドが不動産で稼ぐ仕組みは以下の通りです。
まず、マクドナルドは何十年もの経験から、成功する店舗の条件を把握しています。通常、彼らは高い交通量の道路に囲まれた交差点を見つけ、駐車場が広い角のスペースを選定します。必要なスペースのサイズや、信号機のある交差点など、特定の条件があります。
次に、マクドナルドは長期固定金利で不動産を購入します。多くの不動産を所有しているため、有利な条件での購入交渉力があります。
店舗を運営したい人とフランチャイズ契約を結びます。しかし、店の運営方法はハンバーガーの調理法から労働時間、原材料の調達に至るまで、ほぼ全てが指定されているため、オーナーが大きく工夫する余地はありません。
フランチャイジー(契約者)は、1店舗あたり100万〜200万ドルの初期投資を行いますが、これは特定の場所に店舗を開設する重要な条件を含んでいます。これにより、マクドナルドは自社の物件を高額で貸し出すテナントを獲得できます。
一般的なフランチャイズが売上高の6〜10%を賃料に支払う一方、マクドナルドのフランチャイズは8.5〜15%の比率と高い賃料率です。また、マクドナルドは契約終了後、店舗を新しいフランチャイジーに譲渡するか、土地を売却することができます。
まとめ マクドナルドが不動産で収益を上げる利点
マクドナルドにとって、不動産を所有する利点は、単なる収入の増加だけではありません。不動産はマクドナルドにとって、新しいビジネスモデルそのものです。
マクドナルドのビジネスモデルの最大の利点は、不動産価格の長期的な安定性です。たとえ経済的な困難な時期、例えば今回のようなコロナ禍の状況でも、収益が急減するリスクがほとんどありません。これは、フランチャイジー(契約者)が売上に関係なく、最低額の賃料を支払う契約を結んでいるためです。
これらの事実は、マクドナルドがフランチャイズ店舗を増やし、直営店舗がわずかに減少していることからも明らかです。むしろ、マクドナルドはファストフード業界から撤退の兆しがあるのです。
しかしながら、なぜマクドナルドが不動産の保有を別の企業に分離しないのか、という疑問が自然に生じます。そうすれば、ファストフード業界や消費者の好みの変化に左右されず、非常に安定した不動産投資信託ができるはずです。
実は、2015年にはある投資家グループがまさにこの提案をしました。しかし、マクドナルドはこの提案を却下しました。同社は、この新しい不動産モデルが自身の独自性であり、この効率性が2つの事業を同時に実現していると信じたのです。
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