【3267】フィル・カンパニーとは?ありそうでなかった空間ソリューション!


2005年6月に設立されたフィルカンパニーは、昨年11月にフィルパーク東京フィル・パークTOKYO GINZA Shintomi Labに新しい本社を開設しました。この新しい本社は、地上13階建てで、フィルパークとしては過去最大の床面積とフロア数を誇ります。

また今期(23年11月期)からは、経営の改善と効率化を目指して、執行役員体制を導入しました。これにより、経営陣と実務の執行が分けられ、より効果的な経営が可能になると考えています。新たに取り締まり役に就任した3名のメンバーは、上場企業での豊富な経営経験を持ち、多くの有益なアドバイスを提供しています。

この新しい経営体制のもと、当社はこれまで以上に企業価値の向上に注力し、より良い経営を実現することを目指しています。

そこで今回は、【3267】フィル・カンパニーについて決算資料をもとに投資初心者にもわかりやすいように頑張って解説いたします。

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目次

フィル・カンパニーとは?土地活用をサポートするイノベーション企業

2005年6月に設立された株式会社フィル・カンパニーは、土地活用に特化した革新的なサービスを提供しています。この会社は、2つの主要なソリューションを土地オーナー様に提案しています。

一つは「空中店舗フィル・パーク」。これはコインパーキング上部の空きスペースを、空中店舗として活用する提案です。平均投資額は8000万円から1億5000万円です。

もう一つはガレージ付賃貸住宅「プレミアムガレージハウス」です。平均投資額は2500万円から1億円です。

郊外にある土地は、都市部に比べて利便性に欠ける場合があります。このため、通常のアパートやマンションの建設には向いていないことが多いのですが、プレミアムガレージハウスはこれを逆手に取ります。車やバイクの使用を前提とすることで、その土地固有の価値を引き出し、魅力的な賃貸物件として活用できるのです。

プレミアムガレージハウスは、車やバイクを愛する人たちにとって理想的な住環境を提供します。広いガレージスペースは、愛車の保管だけでなく、趣味のスペースとしても活用できるため、ガレージライフを充実させることができます。これにより、郊外の土地が新しい価値を持つようになるのです。

これらのサービスを通じて、企画から設計、施工、テナントの誘致まで、土地活用の全過程をワンストップで提供しています。

フィル・カンパニーは2016年に東証マザーズに上場し、その後の成長を経て、2019年に東証一部に市場変更しました。さらに2022年には、東証プライム市場へと移行しています。これは、同社の事業拡大と市場での信頼を示す重要なマイルストーンです。

2023年には、フィル・カンパニーグループが「世界中の『むずかしい土地』をゼロに。」という壮大なビジョンを掲げました。この宣言は、持続可能なまちづくりに向けた同社の強いコミットメントを示しています。フィル・カンパニーは、革新的な土地活用ソリューションを通じて、より良いコミュニティと環境を築くことを目指しています。

会社名株式会社フィル・カンパニー
住所東京都中央区築地3-1-12フィル・パークTOKYO GINZA Shintomi Lab.
事業内容「空中店舗フィル・パーク」等、空間ソリューション事業
設立2005年6月
公式ページhttps://philcompany.jp/ (コーポレートサイト)
https://philpark.jp/(「空中店舗フィル・パーク」サービスサイト)
https://premium-garage.co.jp/(「プレミアムガレージハウス」サービスサイト)

2名体制とグループ力の組み合わせ

フィルカンパニーでは、土地オーナー様に対するサービス提供において、2名での案件対応を基本としています。しかし、すべての案件をこの2名だけで担当しているわけではありません。実際には、より複雑な案件や特別な要求がある場合、より多くのチームメンバーが関与します。

例えば、プロジェクトには建築士の専門知識が必要な場合もありますし、法的な契約や財務面での対応が求められることもあります。基本的には2名での対応を心がけていますが、必要に応じて様々な部門の専門家と協力し、プロジェクトを前に進めています。

特に、コロナ禍の収束に伴い、土地オーナー様からの問い合わせが増えています。この新たな需要に応えるため、サービスの効率化や改善について積極的に議論しています。私たちの目標は、より多くのお客様に最適な価値を提供することです。

土地活用のための事業スキーム紹介

フィルカンパニーの事業スキームを紹介します!

受注スキーム:土地オーナー様向けソリューション

フィルカンパニーでは、土地オーナー様向けに「受注スキーム」というサービスを提供しています。このスキームでは、「フィルパーク」や「プレミアムガレージハウス」といった土地活用案をご提案します。提案後、建築からテナントの誘致、プレミアムガレージハウスの入居者募集に至るまで、すべてのプロセスをワンストップでサポートします。また、必要に応じて建物の管理も行います。

開発販売スキーム:投資家向けソリューション

もう一つの主要な事業スキームは「開発販売スキーム」です。このスキームでは、フィルカンパニーが直接土地を購入し、プロジェクトの企画、建築、テナント誘致を行った後、土地と建物を合わせて不動産投資家に販売します。このスキームは、当社が自社の資本を使用するビジネスモデルで、土地の選定からプロジェクトの実施まで、より自由度が高いです。また、土地オーナー様以外の投資家にも提案可能で、販売先の拡大に寄与します。

それぞれのスキームのメリット

受注スキームの利点は、財務的なリスクが少なく、資本負担が低いことです。一方、開発販売スキームでは、企画設計が比較的容易で、銀行融資を活用して事業を展開しています。どちらのスキームも、土地活用において異なるニーズに応えるために設計されています。

4つのカテゴリーで土地活用

株式会社フィル・カンパニーの事業戦略について解説いたします。

(画像左上)受注スキーム(中核事業)

  • 概要: 当社の中核事業で、都市部の商業地に位置する214件の実績があります。この事業は、主に大通りから一本入った場所にある駐車場の上部空間を活用します。
  • 特長: 教正地(※誤字かもしれません、要確認)など、従来は設計が難しかった土地の活用が得意です。
  • 将来計画: 今後も当社の主要事業として、人材と資源を集中的に配分する予定です。

(画像左下)開発販売スキーム

  • 概要: こちらは当社が土地を購入し、企画する事業で、39件の実績があります。
  • 特長: デッドスペースを有効活用し、ROE(資本利益率)を高めることに貢献しています。
  • 将来計画: 適切なプロジェクトを選定し、積極的に拡大していく方針です。

(画像右上)プレミアムガレージハウス:受注スキーム

  • 概要: 郊外の土地でも高い利回りを提供できる、革新的な土地活用商品です。
  • 特長: 独自の「入居待ち登録システム」を持ち、他者との差別化を図っています。
  • 将来計画: 需要の増加が見込まれる事業領域で、積極的な取り組みを進めます。

(画像右下)プレミアムガレージハウス:開発販売スキーム

  • 概要: 累計販売実績は4件です。郊外の土地を活用した住宅の開発と販売を行います。
  • 特長: 都市部と比べて金融機関の評価が難しく、販売先が限定される可能性があります。
  • 将来計画: 入居者や販売先が見込まれる場合に限り、土地取得を進めます。

決算を見てみよう!2023年第4四半期の財務成績

  • 売上高: 第4四半期の売上高は29億2700万円で、前年同期比で約5割の増加。
  • 売上総利益: 7億2200万円で、前年同期と比較して同じく約5割増。
  • 営業利益: 3.7億円。売上の伸びにより大幅に改善されています。
  • 受注高: フィルパークとプレミアムガレージハウスの合計で18.6億円に達し、前年同期から2.3倍に増加し、過去最高を記録。

経費の状況

  • 販管費: 前年同期から35%増加。人件費や賃借料の増加が主な要因。
  • その他の経費: 広告宣伝費などが増加。これらは売上成長のための先行投資と解釈できます。

第4四半期の財務成績は、フィル・カンパニーの売上の大幅な伸びを示しています。特に、フィルパークとプレミアムガレージハウスの受注高が過去最高を更新するなど、事業の拡大が顕著です。経費は増加していますが、これは売上成長を支えるための必要な投資と考えられます。営業利益の大幅な改善は、効率的な経営と売上の増加が功を奏していることを示しており、同社の将来的な成長への期待を高める結果となっています。

決算短信の読み方は別の記事で解説していますので、必ず読んでください。

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フィル・カンパニーの財務状況

この比率は、会社がどれだけのお金を自分たちの資金でまかなっているかを示します。フィル・カンパニーは安定して50%を維持しており、これは会社の財務が健全であることを意味します。

2022年11月期から2023年11月期にかけて、開発プロジェクトの残高が12億円増加しました。これは同社が新しいプロジェクトを積極的に進めていることを示しています。

フィル・カンパニーは借入金を上手く活用しており、新しいプロジェクトに投資しながらも、会社の手元資金(キャッシュ)は2億円増加しています。

フィル・カンパニーの財務状況は安定しており、同時に新しい開発プロジェクトへの投資も活発に行われています。自己資本比率が高いことは、会社が健全な財務基盤を持っていることを意味し、キャッシュの増加は効率的な資金運用が行われていることを示しています。これらはフィル・カンパニーが今後も安定した成長を続けることができる可能性を示唆しています。

フィル・カンパニーの成長の秘密

フィル・カンパニーの成長の背景には、お客様のニーズに耳を傾け、新しいビジネスモデルを思いついたことがあります。

これまで土地の有効活用は、住宅やビルの建設、またはコインパーキングの設置が一般的でした。住宅やビルは高い初期費用と長期的なビジョンが必要で、コインパーキングは初期費用は低いものの、収入が安定しないというジレンマがありました。

フィル・カンパニーは、駐車場の上に店舗を建てるという画期的なアイデアを実現しました。これにより土地を二重に活用し、収入アップを図ることができます。この事業は、防災法などの厳しい規制をクリアする必要があり、大手企業が敬遠していた分野でした。フィル・カンパニーは、この困難なアイデアを実現し、独自のサービスを提供することができました。

また、創業者を含むチームは不動産の専門家ではなかったことが、新しい発想に繋がりました。彼らは損得を計算する前に、お客様の悩みを直接解決しようという姿勢で事業に取り組んだのです。

フィル・カンパニーの成長の理由は、顧客のニーズに基づいたユニークなビジネスモデルと、新鮮な視点を持つ創業者たちの姿勢にあります。彼らは一見困難と思われるアイデアを実現し、独自のサービスを市場に提供することで、「オンリーワン 且つ ナンバーワン」の地位を築きました。

フィル・カンパニーの革新的なビジネス戦略

フィルカンパニーのビジネス戦略についてより深く考察していきます。

1. 初期テナント誘致の保証

  • 根本的な問題への解決: 土地オーナーがテナント誘致に不安を感じる問題を、フィル・カンパニーは初期テナントの誘致を保証することで解決しています。
  • コスト効率の良さ: 路面店よりも低い賃料でデザイン性に優れた空間を提供することで、フィル・パークは従来の20年とされる不動産投資回収期間を5年~10年、時には3年で実現しています。

2. 細部へのこだわり

  • 「10センチの美学」と「角度の美学」: 緻密な計画と微調整で駐車スペースを最大限活用し、外観のデザインにも細心の注意を払っています。
  • 効果的なコスト管理: 法律を遵守しながら、安全性を担保し、コスト増を避ける設計工夫を行っています。

3. 土地に合ったテナントの招致

  • テナントマッチング: フィル・カンパニーは「スペース・オン・デマンド」を提唱し、各土地に適した機能と空間を考慮してテナントを誘致しています。
  • 個性的な店舗の招致: 裏通りにあるフィル・パークの店舗は、特に個性的な飲食店を招致し、夜の明かりが少ないエリアに魅力をもたらしています。
  • 長期的な関係構築: 建設後も店舗のコンサルティング代行を行うなど、一生涯のパートナーシップを目指しています。

フィル・カンパニーの成功は、従来の不動産業界の常識を覆す革新的なビジネスモデル、細部へのこだわり、そして土地ごとに最適なテナントを招致する能力によるものです。この結果、不動産投資の新しい可能性を切り開いています。

まとめ フィル・カンパニー

株式会社フィル・カンパニーは、独自性の高い企画やマーケティング力を持ち合わせており、わずか10名の社員で大きな成果を上げています。

日本の厳しい耐火・防火基準をクリアし、新しいビジネスモデルを確立することは困難でしたが、彼らは大手が手を出さない分野で成功を収めました。

フィル・カンパニーは、独自のビジネスモデルと先進的なマーケティング戦略で、ニッチ市場を独占し、急成長を遂げています。

今後の「フィル・カンパニーさん」の活躍が楽しみです!

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この記事を書いた人

株式会社シュタインズ
「テクノロジー×教育の研究開発」を事業の基盤に、現在は金融教育サービス事業「Moneychat(http://moneychat.life/)」の企画と開発を進める。

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