【0からわかる利下げ】なぜアメリカの金利が注目されるの?利下げとは?

米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は、3月7日に上院銀行委員会で行われた公聴会で証言しました。彼は、FRBが利下げを始めるために必要なインフレ率の低下に対する確信を、「そう遠くない」将来に得られると述べました。

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しかし、この発言は多くの人にとってどういう意味かわからないのではないでしょうか?

そこで今回は、利下げとその影響について初心者にもわかりやすいように解説いたします!

目次

なぜアメリカの金利が注目されるのか?

アメリカは世界経済の牽引役であり、その金融政策は国際的に大きな注目を集めます。金融政策とは、主に政策金利の調整を通じて経済を管理することです。

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政策金利を下げることを「利下げ」といい、これは金融緩和策の一つです。逆に、金利を上げることを「利上げ」といい、これは金融引き締め策にあたります。

政策金利とは

政策金利とは、一国の中央銀行が設定する金利のことで、その国の金融政策を反映しています。この金利は、銀行間でお金を貸し借りする際の基準となる金利で、経済全体に大きな影響を及ぼします。中央銀行がこの金利を操作することで、国内の経済活動を調節し、インフレ率をコントロールしたり、経済成長を促進したりします。

たとえば、中央銀行が政策金利を下げる(利下げ)と、銀行間の借入金利が下がるため、企業や個人への融資が増え、消費や投資が活発になることが期待されます。これは一般に「金融緩和」と呼ばれます。逆に政策金利を上げる(利上げ)と、融資のコストが高くなり、消費や投資が減少することがあり、これは「金融引き締め」と呼ばれることが多いです。

つまり、政策金利は国の経済状況に応じて中央銀行が調整する重要な金融政策ツールの一つです。

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アメリカは世界で最も大きな経済(GDP)を持ち、その経済動向は他国にも大きな影響を及ぼします。また、アメリカの通貨であるドルは、国際取引の中心的な役割を果たしています。実際に、世界の外国為替取引の40%以上がドルで行われています。これはドルが「基軸通貨」として機能していることを示しており、国際間取引の中心となる通貨としての地位を確立しています。

日本経済においても、アメリカの金融政策は重要です。日本の輸出の約50%、輸入の約70%はドル建てで行われており、アメリカの金利動向がこれらの取引に影響を及ぼす可能性があります。

また、日本の金利は、近年低く抑えられており、大きな動きは少ないです。例えば、1%程度でコントロールされていることが多く、金利の変動幅が限られています。そのため、アメリカの金利の方が市場に与える影響が大きいとされています。

金利と経済の関係

金利は、借り手と貸し手の視点で大きく異なります。借り手にとっては金利が低い方が負担が軽減され、貸し手にとっては高い方が利益が増えます。景気が良くないときは、高い金利での貸し出しは難しく、金利は低く抑えられる傾向があります。

2018年、アメリカは金利を上げていました。これは景気が良いという状況の表れです。お金を借りる人も金利が上がっていても借り続けています。金利を見ることで景気の動向を知ることができます。

金利の動きと株価は密接に関連しています。

たとえば、リーマンショックの時のアメリカの金利は0.25%でしたが、景気回復とともに金利も上昇し、現在は1.75%になっています。これは、銀行に100万円預けると年間1万7,500円の利息がつくことを意味します。このような高金利は、預金にお金を移動させ、株価が下がる傾向にあります。会社の価値が下がると経済も影響を受け、結果的に景気の低迷につながる可能性があります。

金利の動きは経済活動に深く関連しており、金利が変動すると、経済の景気や株価に影響を与えます。特にアメリカのような経済大国の金利動向は、世界の市場に大きな影響を及ぼすため、常に注目されています。

政策金利の影響とアメリカのFRBの重要性

中央銀行は経済の状況に応じて、政策金利を調整することで景気をコントロールします。具体的には、景気が悪化している時には金利を下げる(利下げ)、経済が過熱している時には金利を上げる(利上げ)という手法を取ります。これは、それぞれ「金融緩和」と「金融引き締め」と呼ばれます。

金利の変動は、株価や為替レートにも影響を及ぼします。たとえば、利下げは市中の貸出金利を下げ、景気の刺激と株価上昇の要因になります。また、通貨の価値にも影響を与え、金利の低い国から高い国へ資金が移動する傾向があります。

アメリカは世界経済の牽引役であり、アメリカの政策金利の変動は世界経済に大きな影響を与えます。アメリカの政策金利は、米連邦準備理事会(FRB)の連邦公開市場委員会(FOMC)で決定され、年に8回開催されます。

FOMCとは?

FOMCとは、米連邦公開市場委員会(Federal Open Market Committee)のことで、アメリカの金融政策を決定する重要な組織です。この委員会は、米連邦準備制度理事会(FRB)の一部であり、景気に応じて金利の調整を行っています。

FOMCは年に複数回開催され、その中で金利の調整が議論されます。景気が良くない時に金利を上げてしまうと、市場に悪影響を及ぼし、株価を下落させる可能性があります。したがって、FOMCでは慎重に金利の調整が行われるのです。

投資家たちは、FOMCの動向に注目しています。金利の動きは株価に大きな影響を与えるため、FOMCの決定は市場に大きく影響します。金利上昇の議論は、景気や株価の動きに対して投資家がどのように反応するかを見極めるための重要な指標となります。

金利差が円安ドル高を生むことにも影響する

現在、日本の金利は低く、アメリカの金利は比較的高い状況です。

この金利差を利用して投資家は利益を出そうとしています。具体的には、まず低金利の日本円を借ります。次に、この借りた円をドルに交換し、ドルで運用します。その後、運用して得た利益から、最初に借りた円を返すと、まだ利益が残ります。これが、金利差を利用して儲けを出す方法です。このプロセスで円を売ってドルを買う動きが強まるため、結果として円安ドル高につながります。

「金利を上げて金利差をなくせば良い」という意見もありますが、それは簡単ではありません。日本で金利を上げると、景気が悪化する恐れがあります。一方で、アメリカの金利が高いのは、その経済状況がそれを許しているからです。つまり、両国の経済環境には大きな違いがあり、それぞれの金利政策には理由があるのです。

このように、日本とアメリカの金利差は円安ドル高に影響を与える要因の一つです。しかし、金利を簡単に変えることはできず、それぞれの国の経済状況を考慮した政策が必要です。投資家はこの金利差を利用して利益を出そうとしますが、それが通貨の価値にも影響を与えることを理解することが重要です。

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この記事を書いた人

株式会社シュタインズ
「テクノロジー×教育の研究開発」を事業の基盤に、現在は金融教育サービス事業「Moneychat(http://moneychat.life/)」の企画と開発を進める。

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