金利上昇で株価が下がる業種とは?

最近、日本銀行が近い将来に利上げを行うかもしれないという話題が注目されています。

利上げとは、銀行がお金を貸し出す際の金利を高くすることです。この金利の変動は、株価にも大きな影響を与えることがあります。今回は、金利が上がると株価が下がる業種について詳しく解説します。

あわせて読みたい
金利について教えます【これだけ知っておけばとりあえずOK!】 はい、どうもこんにちは。 今日は、金利についてお話しします。 金利という言葉は皆さん聞いたことがあると思いますが、金利は金融知識の中でも一番避けられたり、面倒...
目次

ハイテク株と金利の関係

金利が上昇すると、特定の業種の株価に大きな影響を与えます。特に、株価収益率(PER)が高い成長株、いわゆるハイテク株は、金利上昇に弱いとされています。この理由について解説しましょう。

なぜハイテク株は金利上昇に弱いのか

ハイテク株は一般的にPERが高く、これは企業の将来の成長が期待されていることを意味します。

PERは「株価が1株あたりの利益の何倍で取引されているか」を示す指標で、

例えば、企業Aの1株利益が10円で株価が1000円の場合、PERは100倍になります。

あわせて読みたい
PBRとPERの違い、株価の割安性を知ろう! 企業の財務状況を評価するための指標にはいくつかあります。その中でもPBR(株価純資産倍率)とPER(株価収益率)は、名前が似ていても異なる意味を持っています。これ...

金利上昇が株価に与える影響

金利が上昇すると、債券などの固定収入投資の利回りが上がります。

例えば、債券の利回りが5%になった場合、PERが高く評価が「割高」とされるハイテク株は相対的に魅力を失います。なぜなら、低リスクの債券で高いリターンが得られるため、リスクが高い株に投資する意味が薄れるからです。

具体例:GAFAMの株価動向

アメリカの大手ハイテク企業群であるGAFAM(グーグルの親会社アルファベット、アップル、アマゾンなど)も、金利上昇時に株価が軟調になることが見られます。これらの企業は成長率が高いですが、PERも高く、金利が上昇すると投資家にとって割高感が増すためです。

金利上昇時に不動産株が弱い理由

金利の上昇が、特に不動産セクターに与える影響について解説します。

不動産業界は大規模な開発プロジェクトを数多く手掛けており、そのためには莫大な資金が必要です。例えば、大手不動産会社が再開発案件や超高層オフィスビルの建設を行う場合、その資金は主に長期借入金によって賄われます。

プロジェクトの資金調達に使用される長期借入金は、長期金利の変動に敏感です。金利が上昇すると、借り入れた資金の返済コストが上昇し、結果としてプロジェクト全体の採算性が悪化します。このため、不動産セクターは金利上昇の影響を大きく受けるとされています。

不動産業界でのもう一つの影響は、住宅ローン金利の上昇です。金利が上がると、住宅ローンの返済負担が増え、これが顧客の購入意欲を減退させることがあります。特に、マンション開発を行っている業者にとっては、顧客が新しい住宅の購入をためらうことで、販売台数が減少し、収益に直接的な打撃を与えることになります。

金利上昇でも恩恵がある面

日本経済では、金利が上昇する局面でも全てが悪材料とは限りません。

例えば、自動車や大型テレビ、家具など高価な商品を購入する際、金利が上がると消費者は「これ以上値上がりする前に」と購入を決めることがあります。特に、デフレからの脱却と見なされる金利の正常化は、日本の経済にとっては健全化の一環です。

コロナ禍と金利の影響

コロナ禍での「鎖国」政策による海外からの入国制限もありましたが、金利がわずかに上昇しても、それが10年ぶりの高水準であっても1%に満たないため、資金調達コストの上昇は限定的です。

このため、海外からのビジネスマンの戻りがオフィスビルの需要を高めたり、賃金の上昇が住宅購入の意欲を増加させたりするなど、日本経済にプラスの側面もあります。

住宅ローン金利の影響

住宅ローンの金利が毎年0.1%上昇していくとしても、多くの消費者は将来のさらなる上昇を避けるために今のうちに住宅を購入することを選びます。

実際に、三井不動産や三菱地所といった不動産大手の株価は堅調を保っており、マンション販売の野村不動産ホールディングスや大東建託の株価が特別に売られているわけではありません。

ハイテク株の見方

ハイテク株においても、例えば毎年30%の利益拡大を見せる成長株は、PER(株価収益率)が50倍であっても売り時とは限りません。

金利が安定してくる局面では、これらの株は再評価される可能性があります。特に、FA(工場自動化)、EV(電気自動車)、生成AI(人工知能)関連などは、将来有望な投資対象として押し目買いが有効でしょう。

「ゾンビ企業」に投資してはいけない理由

「ゾンビ企業」とは、借入金が多く、業績が悪化している企業のことを指します。

これらの企業は、経済が正常化する中で競争力のある製品を持たず、高い借金がキャッシュフロー(企業の現金収支)を悪化させ、資金繰りを困難にしています。これまでは低金利によって何とか生き延びてきましたが、金利がわずかに上昇するだけで経営に致命的な影響を受けることがあります。

なぜゾンビ企業は危険なのか?

金利上昇の環境下では、ゾンビ企業は特にリスクが高くなります。金利が上がると、借入金の返済負担が増加し、財務状態がさらに悪化する可能性があります。もし企業が新たな収益を生み出す力がない場合、経済状況の改善が逆に経営危機を引き起こすこともあり得ます。

投資する際の注意点

投資を考えている企業がゾンビ企業でないかを見極めるためには、その企業の財務状態や業績をチェックすることが不可欠です。

財務報告書で借入金の状況や利益率、キャッシュフローを確認し、倒産リスクを見極めるべきです。特に、銘柄を選ぶ際は、これらの要素を詳しく分析することが投資成功の鍵となります。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

シェアして知識を定着させよう!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

株式会社シュタインズ
「テクノロジー×教育の研究開発」を事業の基盤に、現在は金融教育サービス事業「Moneychat(http://moneychat.life/)」の企画と開発を進める。

目次