金価格が上昇中!金鉱株に投資の魅力あり

最近、金の先物価格が2200ドルを突破しました。27日のニューヨーク金先物価格は1オンスあたり2212.70ドルで終わり、市場最高値の2212.50ドルに迫っています。

一部の個人投資家は、ウォーレン・バフェット氏の「金は何も生み出さないので投資妙味はない」という意見を信じていますが、実際には1970年以降、金は年率平均約7.9%で成長しています。特に最近では、金が市場最高値を更新し、利下げサイクルが始まる可能性があることから、金と金鉱株の価値はさらに上昇すると見られています。

この記事では、金と金鉱株の見通しについて詳しく解説していきます。資産の最大化を目指す投資家は、ぜひこの情報を参考にしてください。

目次

金の価格動向分析:カップウィズハンドル形成と大陽線の意味

2010年以降の金の価格推移を分析すると、特徴的なチャートパターン「カップウィズハンドル」を形成した後に「大陽線」が出現していることが観察できます。

カップウィズハンドルとは、ティーカップのような形状をしたチャートパターンです。カップの部分を形成した後、取っ手部分となる価格調整の局面を経て、その後にカップの深さと同じ幅だけ価格が上昇することが期待されます。

また、「大陽線」とは、ローソク足の実体部分が他のものと比べて明らかに大きく、チャート上で目立つ陽線のことを指します。これは売り手の勢いが弱まり、買い手の勢いが続く可能性が高いことを示唆しています。

なぜ金は買われているのか?金価格と米実質10年債利回りの関係分析

金がなぜ買われているのかというと、世界中の中央銀行や個人投資家が積極的に金を購入しているからです。2006年以降の金価格と米国の実質10年債利回りの関係を見ると、2022年頃までは概ね相関関係にありましたが、その後は関係が大きく変化していることが分かります。

このチャートでは、青線が金価格、赤線が米実質10年債利回りを示しています。実質10年債利回りは、名目金利から期待インフレ率を引いたもので、数字が逆になっていることに注意が必要です。

通常、金は利息がつかないため、米実質10年債利回りが上昇すると、相対的に金の投資魅力が下がり、売られる傾向にあります。しかし、22年以降、米実質10年債利回りが上昇しているにも関わらず、金価格は下落していません。

このことから、金が金利という尺度で購入されているのではなく、新たな基準で購入され始めていることが示唆されます。金が買われる背景には金利だけでなく、他の要因も影響している可能性があります。

中央銀行の動きと個人投資家による金需給の現状

最近、中央銀行による金の購入が増加しています。1950年以降のデータを見ると、2022年には1136トンと市場最大の金購入量を記録し、2023年も1000トンを超える見込みです。これは中央銀行が2年連続で大量の金を購入していることを示しています。

この増加の背景には、ドル離れの動きがあります。2022年のウクライナ戦争をきっかけに欧米諸国がロシアを金融制裁としてスイフトから排除したことが影響しています。これにより、ロシアは一部取引を除いてドルやユーロでの貿易決済が困難になりました。

特に、欧米と異なる立場を取る国々や、中国やロシアとの貿易が経済に重要な振興諸国は、ドルやユーロでの貿易決済のリスクに備えて金を購入しています。

個人投資家も金を積極的に購入しています。例えば、アジアや中東の地域では消費者1人あたりの金需要が高く、特に中国では不動産バブル崩壊に伴う資産防衛の高まりから、金投資がブームになっています。

中央銀行と消費者による金の購入が相場を押し上げる背景になっており、今後利下げサイクルが始まると予想されることを考えると、金の価格はさらに上昇する可能性が高いです。

金価格と金融政策の関係

このチャートは、2000年以降の金価格と金融政策の動向(利上げ周期と利下げ周期)を示しています。

過去のデータを見ると、2000年はわずか8%の上昇に留まりましたが、2006年は55%、2018年は4900%と大きな上昇を記録しています。

現在の金価格はまだ11%の上昇にとどまっていますが、これから始まる利下げサイクルを考慮すると、今後1年間でさらに価格が上昇する可能性があります。特に金価格のピークは、利上げが停止してから2年後、または次の利上げサイクルが始まるまでの間に訪れることが多いため、今後のさらなる上昇が期待されます。

例えば、前述した金のカップウィズハンドルパターンを考えると、カップの深さが1000ドル、変化率で100%とした場合、2000ドルを起点として4000ドルをターゲット価格と予測できます。

金価格上昇と金鉱株の動向

金価格が上昇する時、金鉱株も大きく上昇する可能性があります。2004年以降の金鉱株指数HUIの推移を見ると、現在の指数は240で、2011年の最高値638から62%も下落しています。

金価格が上昇しているにも関わらず金鉱株が低迷しているのは、金の生産コストが高騰しているためです。2010年代は生産コストが概ね1000ドル以下でしたが、2021年以降は北米の労働者賃金の上昇を背景に生産コストが上昇し、最近では1300ドルを超えています。

米国における賃上げ圧力が弱まりつつあり、今後は金利の下降や機関投資家による投資によってマージンが改善され、金鉱株の価値が上昇する可能性が高いです。HUIゴールドレシオの推移を見ると、現在は歴史的な低水準にあり、金鉱株が金に対して割安であることが示されています。

仮に金価格が4000ドルになり、HUIゴールドレシオが0.3になると、HUIは現在の240から5倍の1200になる計算です。これからは金よりも金鉱株の上昇率が高くなると予想されます。

利下げ期待と市場の動向

金や金鉱株への投資を検討する際に注意すべき点は、利下げ投資が市場の期待に反して変化する可能性があることです。ウォラーFRB理事は最近、インフレデータに対する失望感を表明し、利下げの前には数か月間の良いインフレデータが必要だと述べました。また、利下げのタイミングと回数について、急ぐ必要がないという見方を示しています。

市場参加者は6月か7月に利下げが始まり、年内に3回の利下げがあると予想しています。しかし、今後のインフレデータで物価の強さが示されると、利下げ回数の修正が行われる可能性があり、それによって金への投資が遅れるかもしれません。ただし、これは利下げが遅れるというだけで、利下げサイクルが始まるという大枠のシナリオに変更はないため、金や金鉱株投資が失敗に終わるわけではありません。

利下げサイクルが始まれば、米実質10年債利回りは低下し、欧米の機関投資家が金ETFへの投資を増やすことが予想されます。したがって、短期的には市場の動きが不安定かもしれませんが、長期的には金や金鉱株は利下げの追い風に乗って価値が上昇すると予想されます。投資家は強気の姿勢を維持することが有益でしょう。

まとめ 金価格と金鉱株の将来予測

金の価格は、カップウィズハンドルパターンを形成し、その後に大陽線が出現しています。これらのチャートパターンを踏まえると、今後金価格がさらに上昇する可能性が高いです。

これまでの金価格上昇は、中央銀行のドル離れが影響していました。今後は、米国連邦準備制度理事会(FRB)の利下げにより、米実質10年債の利回りが低下することが予想され、それが金への投資をさらに加速させると見られています。

カップウィズハンドルパターンを基に、金価格の目標は約4000ドルと予想されています。この価格に達すると、金が大きく上昇し、投資家の注目を集めるでしょう。

金が大きく上昇すると、これまで生産コストの上昇によって遅れをとっていた金鉱株にも投資マネーが流れ込むと予想されます。金鉱株はこれまで金に対して割安で評価されていたため、上昇率は金よりも高くなることが予想されます。

金の価格はチャートパターンや中央銀行の動向、FRBの金融政策の影響を受け、今後大きく上昇する可能性が高いです。金鉱株も金の価格上昇により大きく評価され、その上昇率は金を上回ると予想されます。投資家は、これらの動向を注視しながら、適切な投資戦略を立てることが重要です。

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この記事を書いた人

株式会社シュタインズ
「テクノロジー×教育の研究開発」を事業の基盤に、現在は金融教育サービス事業「Moneychat(http://moneychat.life/)」の企画と開発を進める。

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