【初心者向け】雇用統計ってなに?雇用統計はなぜ注目されるのか?

米国の雇用統計は、毎月第1金曜日に発表され、日本時間の夜22:30に速報が出ます。これがなぜ注目されるのか、投資初心者には疑問に思うかもしれません。確かに毎月定例で発表されるものですが、実はこの統計が市場に与える影響は非常に大きいのです。

雇用統計が発表された直後には、しばしば金融市場が大きく動きます。このデータは、米国経済の現状を示す重要な指標であり、その内容によっては市場の動向に大きな変化をもたらすことがあるからです。

雇用統計は、米国経済の健全さを測るバロメーターとして機能します。就業者数や失業率などの変動は、消費活動や企業の収益状況に直接影響し、それが市場のセンチメントに反映されるのです。投資家はこのデータを基に将来の市場動向を予測し、投資戦略を練るために注目します。

目次

雇用統計とは何か

雇用統計は、毎月第1金曜日(まれに第2金曜日の場合もあり)に発表される、米国の主要な経済指標の一つです。これは前月の雇用動向を調査し、数値でまとめたもので、経済の現状や動向を把握するのに役立ちます。

雇用統計には多くの項目が含まれていますが、特に重要なのは以下の2点です。

  1. 非農業部門雇用者数: 農業以外の各業界で働く人数を示し、前月比の増減で表されます。これには製造業、建設業、金融機関など様々な業界のデータが含まれます。
  2. 失業率: 米国内の失業者数を労働人口で割り、パーセンテージで示したものです。これによって、経済全体の雇用状況がどの程度安定しているかが分かります。

なぜ雇用統計は重要か

雇用統計は、経済の健全さを示す重要なバロメーターです。特に非農業部門雇用者数と失業率は、労働市場の動向を反映し、消費者の購買力や企業の投資意欲に直接関連するため、金融市場はこの発表を熱心に注目しています。

なぜ米国の非農業部門雇用者数と失業率が注目されるのでしょうか?その理由は、米国が世界経済に占める影響力の大きさにあります。世界GDPの中で米国が占める割合は24.6%(2017年名目GDP、出典:IMF[国際通貨基金])で、米国経済の動向は世界中に影響を与えます。

1. 米国GDPを支える個人消費

米国では、雇用流動性が高く、就業状況は日本に比べて変動が大きいです。働いている人の数が減ると所得が減り、消費が落ち込むことから経済全体が不景気に陥る可能性があります。逆に、働く人が増えると、所得と消費が増えて景気が良くなります。特に、米国経済は個人消費に大きく左右されることが多く、GDPの約70%が個人消費によって支えられています。

2. FRBの政策金利決定における雇用統計の役割

雇用統計は、FRBが米国の重要な政策金利を決定する際に重要なデータとして利用されています。

雇用者数が増加し、失業率が低下すると金融引き締めの方向に動きます。逆に、雇用者数が減少し、失業率が上昇すると金融緩和の方向に動くことが多いです。FRBの金融政策の方向性は、株式、為替、債券などの各種マーケットに大きな影響を及ぼします。このため、投資家や市場参加者は米雇用統計に高い関心を持ち、統計発表を注視しています。

米雇用統計の注目すべき3つの指標

米雇用統計では、大規模な調査が行われます。家計調査には約6万世帯が対象となり、事業所調査では約12万2000事業所、政府機関では約66万6000の勤務場所が対象です。

米雇用統計には多くの項目が含まれますが、特に重要なのは以下の3つです。

  1. 非農業部門雇用者数: 農業部門を除く産業で働く人の数を指します。このデータはアメリカの雇用市場の動向を示すために重要です。
  2. 失業率: 労働市場の状況を反映する重要な指標で、米国内の失業者数を労働人口で割った数値です。
  3. 平均時給: 経済の賃金動向を示し、購買力や所得の変化を理解するのに役立ちます。

非農業部門雇用者数は、農業部門を除いた産業での雇用状況を示します。農業部門を除く理由は、農業は季節による変動が激しく、これを含めると季節変動による誤解を招く可能性があるためです。たとえば収穫期には多くの労働者が必要ですが、その他の期間では雇用が減少します。

失業率とは、労働市場における失業者の割合を示す指標です。具体的には、労働力人口(就業している人と仕事を探している人の合計)に対する失業者の割合をパーセンテージで表したものです。計算方法は、仕事を探している人の数を労働力人口で割ることによって求められます。

失業者とは、以下の3つの条件を満たす人のことを指します:

  1. 16歳以上であること。
  2. 仕事を持っておらず、現在就業可能な状態であること。
  3. 積極的に仕事を探していること。

アメリカにおいては、一時的なレイオフ(一時解雇)で復職を待っている人も、求職活動の有無に関わらず失業者に含まれます。これはアメリカの労働市場の特性を反映しており、失業率の計算において考慮されます。

米雇用統計発表時の為替相場の動き方

米雇用統計が発表される時、為替相場はしばしば大きく動きます。基本的なセオリーは、統計の結果が良ければアメリカ経済が好調と見なされ、FRBの利上げ期待からドルが買われます。逆に、統計の結果が悪ければ、FRBの利下げ期待からドルが売られます。

実際の相場の動きは、セオリー通りには進まないことが多いです。これはアメリカ経済の状態が事前に市場に織り込まれているためです。米雇用統計は遅行指標であり、1ヶ月前のデータが発表されるため、市場は大まかに景気の良し悪しを把握しています。そのため、相場は統計の予想値に基づいて事前に動いています。

重要なのは、事前予想と実際の結果の違いです。予想値と結果の乖離が大きければ、サプライズとなり相場は大きく動きます。例えば、非農業部門雇用者数の事前予想が20万人で、結果が30万人だった場合、ドルは買われる可能性が高くなります。逆に、結果が10万人で予想よりも少なかった場合、ドルは売られることが予想されます。

米雇用統計のチェック方法と詳細な解析

米雇用統計をチェックするためには、発表元であるアメリカ労働省労働統計局のホームページを利用します。エコノミックリリースのセクションから、エンプロイメント&アンエンプロイメントのマンスリーレポートをクリックして、最新のレポートやチャートを見ることができます。また、過去の失業率などのデータも確認可能です。発表スケジュールも同ホームページでチェックできます。

重要な指標は、非農業部門雇用者数、失業率、平均時給の3つです。これらの数値を確認すれば、米雇用統計の大枠を把握することができます。

労働参加率は、労働力人口の割合を示し、失業率と合わせて重要な指標です。労働参加率が低下している場合、職を探していない人が増えていることを意味し、失業率の低下が実際の労働市場の活性化を反映していない可能性があります。

非農業部門雇用者数の中で、特定の業種の増減を分析することで、その業種固有の原因や市場全体への影響を把握できます。特定の業種が異常に増減している場合、一過性の動きである可能性があるため、業種別の分析は深い理解につながります。

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この記事を書いた人

株式会社シュタインズ
「テクノロジー×教育の研究開発」を事業の基盤に、現在は金融教育サービス事業「Moneychat(http://moneychat.life/)」の企画と開発を進める。

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