【6227】半導体ニッチ分野で圧倒的なシェア率!AIメカテックをわかりやすく解説!

半導体は、コンピューターやスマートフォンなどに使用される非常に小さな部品です。電気を通したり通さなかったりすることで、機械が動作するのです。

AIメカテックは、いくつかの事業を行っている会社です。彼らの専門分野は、「ウエハハンドリングシステム」っていう特別な機械を作ることなんでが、主に半導体に関連する事業、インクジェットプリンター(IJP)のソリューション事業、そして液晶ディスプレイ(LCD)の事業を展開しています。これらの事業はそれぞれ異なりますが、全体としては大きなビジネスを形成しています。

そこで今回は、「AIメカテック」という会社についてお話しします!

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【6227】AIメカテックとは?

AIメカテックとは、半導体関連の機器やシステムを製造する会社です。半導体は、コンピューターやスマートフォンなどの電子機器に不可欠な部品で、電気の流れを制御して機器が正しく動作するようにします。AIメカテックは、この半導体を作る過程で必要な様々な機器を提供しています。

AIメカテックは、2016年に株式会社日立製作所から分社して誕生し、短期間で目覚ましい成長を遂げてきました。設立以来、技術の革新と業績の拡大に注力し、わずか5年後の2021年には東京証券取引所の第2部に上場するという快挙を成し遂げました。

AIメカテックの技術革新の旅は、1990年に龍ケ崎に生産拠点を開設してから始まりました。以来、SMT印刷機のコンタクト印刷塗布、FPDにおけるODFシステム、液晶のIJP塗布といった分野で、既存の製造プロセスに新たなイノベーションをもたらしてきました。これらの技術は、市場への供給を通じて、製造業の進歩に大きく寄与しています。

しかし、AIメカテックは単に製品を製造するだけではありません。お客様の具体的な課題に対するソリューションとして、LCS活動の強化にも取り組んでいます。このような積極的な姿勢が、同社を業界の確固たる地位に押し上げています。

AIメカテックの事業内容

  1. ウェハハンドリングシステム:半導体を作る際に使われる「ウェハ」という薄い円盤状の素材を扱うシステムです。このシステムは、ウェハを正確かつ安全に移動させるために使われます。
  2. デボンダー装置:半導体製造過程で使われる特殊な機器の一つです。この装置は、ウェハの表面から余分な材料を取り除くのに役立ちます。
  3. 最先端のパッケージング技術:半導体を物理的に保護し、電子機器に組み込むための「パッケージ」を製造する技術です。これは半導体の性能を保つ上で非常に重要です。

半導体事業の現状

AIメカテックの半導体事業は、一時期市場が低迷しましたが、現在は回復傾向にあります。特に、デジタル化が進む社会で、AIやデータセンター、電気自動車(EV)向けの特殊な半導体が必要とされています。これらの半導体への需要は、今後長期にわたって増加すると予想されています。

AIメカテックは、最先端の技術を用いたパッケージ(半導体を保護するための容器のようなもの)の製造装置を作っています。また、他の大手機械メーカーと協力して、新しい装置を開発したり、市場を拡大したりしています。5GやAI、自動運転技術の進展に伴い、半導体を製造する過程で使用されるウェハハンドリングシステム(半導体製造時に重要な機械)の需要も増加しています。

IJPソリューション事業について

AIメカテックでは、IJPソリューション事業も行っています。この事業は、特にAR(拡張現実)やVR(仮想現実)で使われる小さな画面、マイクロディスプレイの製造に関連する装置を作っています。

マイクロディスプレイとは、非常に小さな画面のことです。これらは、ARやVRのゴーグルの中で、現実世界とは異なる映像を見せるために使われます。例えば、VRゲームをする時や、ARで新しい情報を現実世界に重ねて表示する時に使われます。

AIメカテックは、これまでに受注したマイクロディスプレイ製造装置を順調に納入し、売上を確保することに成功しました。特に、Appleがリリースした新しい製品による影響が大きく、中国市場からの引き合いが増えています。

さらに、AIメカテックは有機ELパネルの分野でも活動しています。有機ELパネルは、テレビやスマートフォンの画面に使われる技術で、色が鮮やかで薄くて軽いのが特徴です。これらのパネルの需要も堅調に推移しており、AIメカテックはこの分野でも成長を続けています。

AIメカテックは、ナノリソテックスという合弁会社を通じて、ナノインプリント技術を用いた新しい事業を展開しています。ナノインプリント技術は、非常に小さな構造を作り出す技術で、次世代のコミュニケーションツールなどに応用される可能性があります。

AIメカテックの半導体パッケージ事業とは?

半導体は今の時代には欠かせないものです。例えば、人工知能(AI)や自動運転の技術など、多くの分野で使われています。半導体は、スマートフォンやコンピュータなどの電子機器の心臓部とも言える部品です。

しかし、半導体はそのままでは使えません。それを実際に使える形にするためには、「半導体パッケージ」という処理が必要です。これは、半導体を保護し、電子機器に組み込むために必要な作業です。

AIメカテック社は、この半導体パッケージ事業で重要な技術を持っています。特に、半導体に「ハンダボール」という小さな部品を取り付ける技術があります。このハンダボールは、半導体を電子機器に接続するために非常に重要です。

ムーアの法則によると、半導体の性能は向上するにつれて、サイズは小さくなります。これに伴い、半導体をより小さく、高密度にするためには、より精密なハンダボールの取り付け技術が必要になります。AIメカテックは、この高度な技術を持っている企業です。

AIメカテックの主要な顧客には、インテルやサムスンなどの大手企業があります。この会社の機器の特徴は、ハンダボールを非常に効率的に取り付けることができることです。これにより、半導体の生産効率が高まり、電子機器の性能向上に貢献しています。

半導体プロセス装置事業とウェーハハンドリングシステム

半導体プロセス装置事業とは、半導体を作る際に必要な機械や装置を開発・製造する事業です。この分野は、高度な技術と精密な作業が求められるため、とても重要な役割を担っています。

この事業の一環として「ウェーハハンドリングシステム」というものがあります。ウェーハとは、半導体の基板となるもので、通常は非常に薄いシリコンの板です。このウェーハは半導体製造の根本となる部分で、ここに様々な電子回路が形成されます。

ウェーハハンドリングシステムの主な役割は、このウェーハを精密に扱い、適切なプロセスを施すことです。具体的には、ウェーハを薄く切ったり、特定の場所に貼り付けたり、またそれを剥がしたりする作業を行います。さらに、これらのプロセスの後にウェーハを洗浄する作業も重要です。

このように、ウェーハハンドリングシステムは、半導体を製造する過程で非常に重要な役割を果たしています。このシステムによって、半導体の品質や効率が大きく左右されるため、精密で高度な技術が求められます。

プラズマアッシング装置とUVキュア装置について

「プラズマアッシング装置」とは、半導体を作る際に使われる特殊な機械です。半導体を作るときには、「エッチング」と「アッシング」という二つのプロセスが大切です。

エッチングとは、化学反応を使って半導体の表面を加工することです。このプロセスでは、半導体の表面に特定の模様や回路を形成します。

アッシングは、エッチングの際に使われる保護膜(レジスト保護膜)を取り除くプロセスです。この保護膜はエッチング中に半導体を保護しますが、その後は不要になるので、アッシングによって除去します。

続いて、「UVキュア装置」という機械も半導体製造に欠かせません。この装置は、UV光(紫外線)を使って、半導体の表面に塗られた特殊な膜(レジスト)を硬化させます。これによって、半導体は耐熱性が向上し、安定した状態になります。

これらのプロセスは、IC(集積回路)や配線パターンの形成に非常に重要です。正確で高度な技術が求められるため、これらの装置は半導体製造の分野で必須のものとなっています。

反動体関連事業の売上げと利益の成長

「反動体関連事業」が近年、大きな成長を遂げたことについて解説します。この事業は、

わずか5年前までは売上も利益もほとんどなかったんです。しかし、今では会社の売上利益を大きく押し上げる重要な役割を果たしています。

では、なぜこんなにも急速に成長したのでしょうか? 主に技術の進歩や市場の需要の増加が影響しています。特に、新しい技術や製品が市場に受け入れられたことが、この飛躍の大きな要因です。

この反動体関連事業は、現在、会社の「大黒柱」とも言える存在になっています。つまり、会社の売上の半分以上、そして利益の半分近くをこの事業が稼いでいるんです。これは会社にとって非常に大きな貢献ですね。

ただ、2024年6月期の決算によると、「メモリ」という半導体の部品に関する投資が遅れたため、はんだボールマウンタ(半導体に使われる小さな球体をつける機械)の需要が少なくなってしまいました。しかし、AIサーバー用の最先端の半導体に対する投資は増えています。このため、ウェハハンドリングシステム(半導体の薄い板を扱うシステム)などの注文や出荷は順調です。

今後、当社はパワー半導体向けの特別な装置や、JUKI株式会社と共同開発した新型のはんだボールマウンタの需要を取り込むことに力を入れていきます。これにより、さらに注文や売り上げを増やすことができると期待しています。

このような状況の中で、売上高は前年同期に比べて275.0%増の4,564百万円と大幅に増えました。また、利益も99.3%増の471百万円と大きく伸びています。これは、当社の取り組みが実を結びつつある証拠です。

IGPソリューション事業の成長

IGPソリューション事業とは、大きく「IGP応用分野」と「フィルム応用分野」の二つに分けられます。今回は特にIGP応用分野についてお話しします。この分野は、主に有機EL(エレクトロルミネッセンス)パネルという次世代のディスプレイ技術の量産化に必要なプロセスや設備を提供しています。

有機ELパネルとは、従来の液晶ディスプレイ(LCD)に代わる新しいタイプのディスプレイです。この有機ELディスプレイは、色が鮮やかで、画面が薄くて軽いなどの特徴があります。

さらに、マイクロディスプレイという技術もこの事業分野で重要です。これは非常に小さいディスプレイで、特にAIグラスなどのウェアラブル機器に使われています。

2020年にはコロナウイルスの影響で落ち込んだ売上も、現在は回復し、過去最高の売上を記録しました。この事業は会社全体の売上の約30%を占めており、非常に重要な位置を占めています。

マイクロディスプレイ(小さなディスプレイ)用の特別な封止ライン(ディスプレイを保護するための技術)に関して、需要はある程度確認できましたが、顧客が設備投資(新しい機械や設備にお金をかけること)の計画を見直しているため、注文や出荷が今後の四半期に遅れることがいくつかあったようです。

これからも、次世代のディスプレイへの投資ニーズ(市場の要求)をしっかりと捉えて、新しいビジネスとしてナノインプリントリソグラフィー事業(超微細なパターンを作る技術)を行う合弁会社の活動を早めることに集中します。これによって、注文や売り上げをさらに増やしていく計画です。

しかし、現在の状況では、売上高は前年同期比で73.4%減の507百万円とかなり下がってしまいました。そして、セグメント(事業部門)では、36百万円の損失が出ています。これは、前年の同じ時期では172百万円の利益があったことを考えると、大きな変化です。

LCD事業の現状と今後の方針

液晶ディスプレイ(LCD)の市場は、少し安定しつつあるものの、お客様の新しい投資が控えめなため、注文や出荷の数は思ったほど伸びていません。私たちは、お客様がこれからどのようにお金を使うかをしっかりと見極めつつ、部品の交換や改善のようなアフターサービスの需要を見つけ出すことに集中します。また、新しい中型パネルへの投資や、古くなった設備を新しいものに更新する需要を見つけることにも力を入れます。

現在の状況では、LCD事業の売上高は前年同期比で89.8%減の210百万円とかなり減少しています。さらに、このセグメントでは35百万円の損失が出ています。これは、前年同期では75百万円の損失だったことを考えると、やはり厳しい状況です。

設備投資計画

会社では、今後の事業拡大のために、大きな設備投資を計画しています。具体的には、20億円をかけて、新しい建物やクリーンルームを作る予定です。クリーンルームとは、ほこりや汚れが少ない特別な部屋のことで、ここでは、半導体や特別なプリンターのような機械を作る際に必要な環境を提供します。この新しい施設は約1,700平方メートルの大きさで、2025年2月に工事を始めて、同年12月に完成予定です。

この設備投資の目的は、半導体関連の事業と、特殊なプリンター技術(IJPソリューション)の事業を長期的に拡大するためです。新しい建屋を増設することで、お客様のニーズに迅速に応えることができるようになります。また、クリーンルームの整備によって、新しい製品の開発もスムーズに進めることができます。この新しい設備が稼働し始める2026年1月からは、生産能力が40%増加すると見込まれています。

AIメカテック社の現状と今後の展望

AIメカテック社は、現在の困難な市場環境の中でも、革新的な技術と戦略的な事業展開により、成長の機会を模索しています。

半導体事業におけるウェハハンドリングシステムの成功、IJPソリューション事業の拡大、そして大規模な設備投資による生産能力の増強は、同社が将来的に大きな成果を上げるための重要なステップです。これらの努力が、AIメカテック社の新たな成長と発展につながることを期待しています。

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この記事を書いた人

株式会社シュタインズ
「テクノロジー×教育の研究開発」を事業の基盤に、現在は金融教育サービス事業「Moneychat(http://moneychat.life/)」の企画と開発を進める。

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