決算書で「儲かる株」を見抜くためのポイント

株式投資で成功するために欠かせないのは、企業の業績です。株式市場には「上がる株」と「上がらない株」がありますが、その違いを決める最大の要因は業績です。

私自身も、業績と株価が連動している成長企業への長期投資を中心に、資産を増やしてきました。2021年8月時点での金融資産は、約3億6,000万円に達しています。

では、どうやって「上がる株」を見つけるのか?その鍵となるのが決算書です。決算書を読むことで、その企業の現在の業績や将来の成長性を判断することができます。特に、個人投資家にとって、決算書を活用することは、プロの機関投資家と戦うための最強の武器になるのです。

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株価が一時的に上がる企業と、長期にわたって成長を続ける企業があります。この違いも、やはり業績に起因します。

  • 短期で終わる株:一時的に業績が好調でも、その好調が一過性のブームで終わる企業です。例えば、特定の製品が流行しても、それに依存してしまうと、次のブームが来る前に業績が下がってしまうことがあります。
  • 長期で上がり続ける株:5年、10年と業績を安定して伸ばし続ける成長企業です。こうした企業は、しっかりとしたビジネスモデルを持ち、市場でのポジションを確立していることが多いです。
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決算書を3分で読むコツ

決算書をすべて細かく読む必要はありません。初心者の方でも、ポイントを押さえて素早く判断できるようになることで、好業績の成長株を見つけるチャンスが広がります。

「決算書」と聞くと、難しい用語や数字ばかりで戸惑う方も多いかもしれません。しかし、コツをつかめば、1銘柄につき3分もあれば、その株が成長株の候補かどうか判断できるようになるでしょう。

特に注目すべき資料は「決算短信」です。これは、企業が年に4回、3カ月ごとに発表する業績レポートで、業績の変化を見極める重要な資料です。

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1. 売上と利益は増えたか

決算書を見る上で、最も重要なポイントは「売上」と「利益」の増加です。これが企業の成長を示す基本的な指標であり、成長株かどうかを判断する際に最初に確認すべき点です。

https://www.tel.co.jp/ir/library/report/rlg7de00000000lx-att/fy25q1tanshin-j.pdf

特に注目するのは「経常利益」です。これは、その会社の通常の企業活動から得られる利益であり、特別な要因(特別利益や特別損失)による一時的な増減を含まないため、企業の実力を正確に評価するのに適しています。

ただし、単に売上や利益の伸びが大きいからといって、その銘柄が必ずしも良い投資対象であるとは限りません。増収率・増益率が高い銘柄ほど市場からの期待も高く、すでに株価が上昇していることが多いです。そのため、割安な状態で買うチャンスが少ない可能性があります。

「テンバガー」(株価が10倍になる銘柄)を狙うためには、成長性だけでなく「割安に買う」ことも重要です。そのため、決算書はできるだけ発表当日に確認するのが望ましいでしょう。発表翌日には株価が変動し、その情報が市場に反映され始めるからです。決算発表の日程は各企業のウェブサイトなどで確認できますので、しっかりチェックしておくことをおすすめします。

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2. 純資産は増えたか

次に注目すべきは「純資産」です。

純資産は会社の財務状況を示す重要な指標であり、貸借対照表(バランスシート、BS)で確認できます。これは、会社がどれだけの資産を持っているか、そしてその資産がどれほど自社のもの(負債を除いた資産)であるかを表します。

成長企業の場合、純資産は通常、増加し続ける傾向にあります。つまり、利益が積み重なり、会社の価値が高まっていることを示すため、純資産の増加は成長の証といえます。

しかし、純資産が大幅に減少したり、何期も連続して減少する場合は注意が必要です。これは、企業が何らかの問題を抱えている可能性があり、成長が止まる、または危機的な状況にあるサインかもしれません。こうした場合、その理由をしっかり確認する必要があります。

もし、純資産の減少理由がわからない場合や納得できない場合は、その企業への投資を見送ることも検討したほうが良いでしょう。財務状況が悪化している企業に対する投資はリスクが高くなるからです。

3. 自己資本比率は適正か

自己資本比率は、会社の財務の健全性を判断するための指標の一つです。これは会社が持つ総資産に対して、どれくらいの割合が自分の資産(純資産)で構成されているかを示します。

計算方法は「自己資本比率=純資産/(純資産+負債)」です。

自己資本比率が低い場合、それは会社が借金に依存してビジネスを展開していることを意味します。借金が多すぎると、返済のリスクが高まり、場合によっては倒産の可能性も出てくるので注意が必要です。

自己資本比率が大幅に低下する原因には、純資産が減少するか、負債が急増していることが考えられます。いずれのケースも、会社の財務状況に何らかの問題が生じている可能性があり、しっかりと確認することが求められます。

自己資本比率が安全とされるラインは、20~30%以上くらいでしょう。自己資本比率がこれを下回る場合は、注意深く調査する必要があります。ただし、銀行などの金融業は、業種特性から負債比率が高くなるのが一般的です。そのため、金融業に対しては別の基準を適用し、金融業を子会社に持つ企業の場合は、その中間のラインを目安に判断することが望ましいです。

以下のように修正しました。


4. 今期予想はどうか

今期予想は、会社がどれだけの売上や利益を上げると見込んでいるかを示す重要な指標です。

株価の動きは、過去の業績だけでなく、将来の業績、つまり企業の将来価値に基づいて決まります。そのため、会社が公表する「業績予想」欄は、株価に大きな影響を与える重要な情報となります。

特に注目すべきなのは、業績予想に変化があった場合です。業績予想の修正は、決算発表の前に公表されることもあれば、決算と同時に発表されることもあります。

決算短信に「修正の有無:有」と記載されている場合は、決算発表と同時に業績予想が修正されたことを示しています。「修正の有無:無」であっても、事前に業績修正が発表されていることもあるので、その点にも注意が必要です。

特に成長株の場合、下方修正が行われても、それが「先行投資」による前向きな下方修正である可能性があります。したがって、単に数字の増減だけを見て判断するのではなく、修正の理由や内容をしっかり確認することが大切です。

以下のようにまとめを作成しました。


まとめ 決算書で「儲かる株」を見抜くためのポイント

株式投資で成功するためには、企業の業績や財務状況を正確に把握することが重要です。そのために、決算書を効果的に読み解くことが欠かせません。初心者の方でも、基本的なポイントを押さえておけば、成長株を見抜くことが可能です。

  1. 売上と利益の増加に注目 – 株価上昇の原動力は業績です。売上や経常利益の伸びをしっかり確認しましょう。
  2. 純資産の変化をチェック – 純資産が増加している企業は、健全な財務状況にある可能性が高いです。減少している場合は理由を確認する必要があります。
  3. 自己資本比率の確認 – 自己資本比率が低すぎる場合、財務リスクが高まります。安全ラインを目安に健全性を確認しましょう。
  4. 今期の業績予想の変化を見逃さない – 株価は将来の業績に左右されます。業績予想に修正があった場合、その内容を注意深く確認しましょう。

これらのポイントを抑えつつ、決算書を読む習慣をつけることで、短期的な動きに惑わされず、長期的な成長株を見つけることができます。

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この記事を書いた人

株式会社シュタインズ
「テクノロジー×教育の研究開発」を事業の基盤に、現在は金融教育サービス事業「Moneychat(http://moneychat.life/)」の企画と開発を進める。

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