人生100年時代とは、平均寿命が100歳に近づく社会のことです。
日本では、現在60歳の人の4分の1が95歳まで生きる可能性があります。定年後も30年以上生きることになるとしたら、どうやって老後の生活費や医療費などを賄いますか?
日本人の多くは貯蓄に頼っていますが、それだけでは不十分です。
この記事では、人生100年時代における資産運用の重要性や方法、人生100年時代における資産運用のコツなどについて解説します。あなたも今から資産運用を始めて、人生100年時代を楽しく豊かに過ごしましょう。
人生100年時代とは
人生100年時代という言葉は、2016年に出版されたリンダ・グラットン教授とアンドリュー・スコット教授の共著『The 100-Year Life』に由来します。この本では、平均寿命が100歳に近づく社会では、人生のステージやキャリアのパターンが大きく変わると予測しています。
例えば、学校→仕事→引退という3段階のライフステージではなく、学び直しや休暇を挟んだり、複数の仕事を経験したりするようになるでしょう。また、定年後も働き続ける人やボランティア活動をする人も増えるでしょう。
日本では、2018年度の平均寿命は男性81.25歳、女性87.32歳でした。しかし、これはあくまで平均値であり、個人差は大きくあります。実際には、現在60歳の人の4分の1が95歳まで生きるという試算もあります。つまり、定年退職した後も30年以上生きる可能性があるということです。
人生100年時代における資産運用の重要性
人生100年時代になると、定年後の人生が長くなります。そのため、老後の生活費や医療費などを賄うためには、資産運用が必要になります。金融庁は2019年6月に、「人生100年時代」を見据えた資産形成を促す報告書をまとめました。この報告書では、95歳まで生きる夫婦が必要とする金融資産の取り崩し額は約2000万円であるという試算を示しています。これは公的年金だけでは不足する額です。
しかし、日本人の多くは貯蓄に頼っており、効率的な資産運用をしていないのが現状です。高齢世帯の金融資産は長い間、横ばいの状態が続いています。また、高齢者の資産状況には今までよりもばらつきが生じており、資産のない人も増えています。その結果、人生100年時代においては、貯蓄だけでは老後の不安から過度な節約をしたり、資産を取り崩しきってしまったりといったリスクに直面する可能性が高くなります。
ただ、お金があれば幸せになれるわけではないので、そこは注意してくださいね。
人生100年時代における資産運用の方法
人生100年時代においては、貯蓄だけではなく、資産運用をすることが重要です。資産運用とは、自分のお金を有効に活用して増やすことです。資産運用には様々な方法がありますが、この記事では主に投資信託や確定拠出年金などの金融商品を利用したものについて紹介します。
投資信託
投資信託とは、プロが株式や債券などに分散投資する金融商品です。投資信託には様々な種類がありますが、ここでは主にインデックスファンドとアクティブファンドの2つに分けて説明します。
インデックスファンド
インデックスファンドとは、特定の指数(例えば日経平均株価やTOPIXなど)と同じように株式を買う投資信託です。指数と同じように株式を買うため、運用会社の判断や手間が少なく、手数料も安く抑えられます。インデックスファンドは長期的に市場平均のリターン(利益率)を得ることができますが、市場が下落した場合は損失も被ります。
アクティブファンド
アクティブファンドとは、運用会社が市場を分析して株式を選び買う投資信託です。運用会社の判断や手間が多くなるため、手数料も高くなります。アクティブファンドは市場平均以上のリターンを目指しますが、運用会社の判断が外れた場合は損失も大きくなります。
確定拠出年金
確定拠出年金とは、自分で積み立てたお金を自分で運用する個人型の年金制度です。確定拠出年金には企業型と個人型の2種類がありますが、ここでは主に個人型(iDeCo)について説明します。
個人型確定拠出年金(iDeCo)
個人型確定拠出年金(iDeCo)とは、自分で毎月一定額を積み立てて、自分で投資信託などの金融商品を選んで運用する制度です。iDeCoのメリットは
- 積み立てたお金は所得控除されるため、税金が節約できる。
- 運用益は非課税
- 給付時にも一定の控除が受けられる
iDeCoの掛金の上限額は、職業や企業年金の加入状況によって異なります。自営業者や専業主婦(夫)は月額68,000円、会社員は企業年金の有無によって12,000円から23,000円の範囲で設定できます。公務員は12,000円です。2024年12月から公務員や確定給付型の年金がある会社員の掛金上限額が月額12,000円ではなく、月額20,000円に引き上げられます。
iDeCoの掛金は、最低5,000円から1,000円単位で設定できます。長期で加入する制度のため、掛金は無理のない金額を設定することが大切ですが、平均拠出額も参考にして検討してみてください。全体の平均は約16,000円です。
iDeCoの掛金は、毎月の銀行引落が基本ですが、特定の月にまとめて納付する年単位拠出も可能です。年単位拠出を利用すると、税制上のメリットがあります。例えば、2022年度に一括で拠出した場合、2023年度分まで所得控除を受けることができます。ただし、年単位拠出をする場合は、その分毎月の掛金が減少します。
iDeCoの掛金は、年1回だけ変更することができます。変更できる期間は毎年12月〜翌年11月です。変更したい場合は、運営管理機関に書類を提出する必要があります。
人生100年時代における資産運用のコツ
人生100年時代においては、資産運用をすることが必要ですが、どのように資産運用をすればいいのでしょうか?ここでは、人生100年時代における資産運用のコツを以下の3つにまとめてみました。
早めに始める
資産運用は早めに始めることが大切です。なぜなら、資産運用は時間が経つほど複利効果が働いて、利益が増えるからです。例えば、月額10,000円を40年間積み立てて、年利5%で運用した場合、最終的な資産額は約1,400万円になります。しかし、同じ条件で20年間積み立てた場合は約400万円にしかなりません。つまり、20年間の差で約1,000万円もの差が出るということです。このように、資産運用は早く始めれば始めるほど有利になります。
分散投資をする
資産運用は分散投資をすることが重要です。分散投資とは、一つの金融商品に偏らずに、複数の金融商品に分けて投資することです。分散投資をするメリットは
- リスクを分散できる
一つの金融商品が下落しても、他の金融商品が上昇すれば損失を相殺できる。 - リターンを安定させる
一つの金融商品だけに依存しないため、市場の変動に左右されにくくなる。 - 機会損失を防ぐ
一つの金融商品だけに投資していると、他の金融商品が上昇した場合に利益を得られない可能性がある。
分散投資をするためには、株式や債券などの異なる種類の金融商品や、日本や海外などの異なる地域の金融商品に投資することが有効です。また、インデックスファンドや投資信託などを利用することで、手軽に分散投資をすることができます。
長期的に続ける
資産運用は長期的に続けることが大切です。なぜなら、市場は短期的には上下動するものの、長期的には上昇傾向にあるからです。
例えば、日経平均株価は1989年12月29日に史上最高値(38,915.87円)を記録しましたが、その後バブル崩壊やリーマンショックなどで大幅に下落しました。しかし、2022年12月31日時点では28,885.21円と回復しています。つまり、長期的に見れば、株価は上昇しているということです。このように、資産運用は短期的な値動きに惑わされずに、長期的な視点で続けることが重要です。
また、将来に対する不安が強い方は、保険の相談をするのも一つの手段です。
まとめ
人生100年時代になると、定年後の人生が長くなります。そのため、老後の生活費や医療費などを賄うためには、資産運用が必要になります。しかし、日本人の多くは貯蓄に頼っており、効率的な資産運用をしていないのが現状です。この記事では、人生100年時代における資産運用の重要性や方法、人生100年時代における資産運用のコツなどについて解説しました。人生100年時代を見据えて、自分に合った資産運用を始めてみましょう。
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