最高の人生を送るために必要なものはなんなのでしょうか？
お金を稼ぐこと、好きな人や家族との時間、やりたいことをやる、ダラダラする、など人によってなにを幸せとするかは違います。
1980年から1995年に生まれたアメリカのミレニアム世代の若者を対象に、最も大切な人生の目的を調査したものによると、回答の80%が「富を蓄えること」、50％は「有名になること」と答えたそうです。
そこで今回は「幸せになるために何に投資をするべきか」についてご紹介いたします。
良い人間関係が幸福度につながる！？
約75年間にもわたりハーバード大学で724名を対象に行われたハーバード成人発達研究（Harvard Study of Adult Development）を行うハーバード・メディカル・スクールのロバート・ウォールディンガー教授（臨床精神医学）は2015年11月、研究で明らかになった「人生を幸せにする教訓」についてTEDトークで語っています。
この研究は1938年に始まりました。
当時ハーバード大学２年生の男子学生とボストンの極貧環境で育った少年たちを追跡調査しています。調査開始時は724人いた被験者のうち、現在でも約60人が健在で調査に参加しています。そのほとんどは今は90歳代になっています。
開始時に聞き取り調査と健康診断を行い、その後、１年おきに本人への質問票調査、本人や家族への聞き取り調査、医療記録の確認、血液検査等を行ってきました。
調査の手法
- 調査は724人を対象に10代から老後まで休むことなく、仕事や家庭生活、医療記録、子供たちのから話を聞くなど、全てを記録し、人生の幸福度を測った。
- 調査対象の中には、工場勤務をする人、弁護士、レンガ職人、医師など様々な職業になった方がいて、中には米国の大統領になった人もいる。
- 724名のうち、約60名が今も研究に参加している。そのほとんどは90代である。
調査結果
この長い研究からわかったことは「健康かつ幸福に生きるためには、良い人間関係を構築すること」ということです。
「社会的なつながりは我々にとって重要で、孤独は人を殺す」
社会とのつながりは健康に良い影響を与え、人との繋がりがあるほど健康的で長生きすることがわかっています。
また、孤独を受け入れる人ほど幸福を感じず、健康の衰えが早く、寿命が短くなるようです。
人間関係が悪い人は健康にも影響するということです。
「友人の数や関係の有無でなく、関係の『質』が大切」
たくさんの家族や友人がいても、孤独を感じる人は幸福にはなれまえん。人間関係は数より質が重要と研究では明かされています。
また、愛情が薄く喧嘩の絶えない結婚は人生に悪影響を及ぼすようです。
「よい関係は人の体を守るだけではなく、脳をも守ってくれる」
良い人間関係は脳機能を活性化させます。
何かあった時に頼れる人がいる人の記憶力は高く、記憶がハッキリしているようですが、パートナーに全く頼れないと感じている人は記憶障害が早期に現れ始めるようです。
人間関係に投資しよう
「人生の幸福度を上げるためには良い人間関係を作ること」と分かったとしても、そもそも人間関係を構築するのは、お金を稼ぐことよりも難しいことではないでしょうか。
良い人間関係は一朝一夕では作れませんし、人間関係はお金では買えません。
強い信頼関係は長い年月をかけて育まれるものです。
75年にわたる研究の中で、最も幸福だったうちの1人は、仕事仲間を遊び友だちに変えてしまえる人でした。
ミレニアル世代を対象とした研究にあるように、いい人生を送るために名声やお金が重要であると考えている人は少なくありません。しかし、75年かけて証明されてきたのは、幸福な人は、家族や友人、コミュニティーなどと関係を持ってきた人だということです。
トム・ソーヤーの冒険の作者であるマーク・トウェインは「人生は短く、他人と言い争い、謝罪し、胸にわだかまりを抱え、最後の審判を待つような時間はない。人生にあるのは人を愛する時間だけだ。たった一瞬の人生は、そのためだけにある」という言葉を残しています。
自分にとって本当に幸せなもの、それを長い目線で考える必要があるのではないでしょうか？
