資本主義を一言で言えば、経済活動が資本にもとづいて行われ、またその成果も資本の蓄積に結びつくような社会の仕組みのことです。
そのため、資本主義では、経済活動は人間のためではなく、あたかも人間が資本に奉仕する活動のようになります。
資本主義では、経済活動はそれ自体が価値のあるものとして追求されます。これは資本主義だけです。
そこで今回は、資本主義についてよくわからないあなたのために、資本主義とは?資本主義と社会主義の違いなどについて、わかりやすく解説いたします!
資本とは?|資本主義とはなにか
そもそも資本主義の「資本」とはなにか説明できますか?
現在の社会で経済活動をする中では、いろいろなものが必要になります。
資本は、それらが経済的な価値としてひとまとめにすることができ、また、この価値によって経済活動の具体的あり方が支配されていることを表します。
つまり、
資本 = ビジネス全体を支配する価値
たとえば、製造業の企業のある時点での資産をすべて調べ上げると、現金・預金・債権・製品・仕掛品・原材料・機械・建物・知的財産権・投資証券等が挙げられます。それらが全てで100億円する場合、この価値額がこの企業の使用総資本です。
つまり、
資本は価値額
でもあります。
営利会社では、この「資本」を増加させて利益を出すことを目的にしており、またその達成度によって評価されます。
資本主義経済の成立|資本主義とは?わかりやすく
資本主義経済は、18世紀後半のイギリスで発生した産業革命がきっかけとなり成立しました。
資本主義では、自由競争により利益を追い求めて経済活動を行えば、社会全体の利益も増大していくという考え方がベースとなっています。
個人や企業は利益(利潤)を追求して財・サービスをつくりだしますよね。
そのために必要な工場・土地・機械などの生産手段を私有することができ(私有財産制)、生産手段をもたない者は労働力を提供して資本家から賃金をもらう(労働力の商品化)ということをします。
あなたがサラリーマンであるならば、仕事というのは、資本家へ労働力を提供していることに等しいです。
また、国家(政府)は介入せず市場に任せておくと、市場がうまく機能し、需要と供給のバランスが調節されて市場価格が決まります。そして、その価格に応じて生産者が商品を生産する量や消費者が商品を購入する量が決まっていきます。
この経済原理を市場経済といい、産業革命のころのイギリスの経済学者アダム=スミスは、自由主義的な市場経済を擁護する学説を唱えました。
資本主義の具体例|資本主義とはわかりやすく
なんとなく資本主義の意味がわかってきたのではないでしょうか?ここで資本主義の例をご紹介いたします。
お金に稼がせる|資本主義の例
我々は資本主義社会で生きているのにも関わらず、資本主義やお金の特質に無自覚な人が多いです。
お金が余っていれば、遊ばせるのは勿体無いと思い、そのお金が多額だと投資を考え、少額であれば銀行に預けて利子がつく定期預金にします。
お金自体は資本主義以前からありましたが、お金を遊ばせず、さらにお金を稼がせようとするのは、典型的な資本主義的発想にあたります。
この資本主義的発想は当たり前になりましたが、全ての世界で資本主義が浸透しているわけではありません。
中世のキリスト教世界では、利子付き貸借を禁止していましたし、イスラム世界では現在の禁止されています。お金がお金を産む「資本」になることへの恐れがあったのです。
就職即雇用|資本主義の例
就職というと、多くの人が、企業で職を得ることを考えますが、それは雇い主の指示に従って働いて賃金をもらうという資本主義的な雇用関係に入るということになります。
学校の就職課が、支援していくれるのも、そのほとんどが資本主義的な会社による雇用です。
いくら知識があっても、あるいはいくら健康であったとしても、事業を起こすには足りないものがあります。それこそが資本です。
自分が資本を持たなければ、すでにある資本によって雇われて働くことになるというのは、資本主義社会では当然のことです。
資本主義の反対派社会主義か?
資本主義の反対はなんでしょう?
これまでは、資本主義の基礎にある私有財産の制度を制限、あるいは廃止し、資本を社会化した社会主義であると考えられてきました。
20世紀には、1917年のロシア社会主義革命以降、ロシアでは約70年間、第二次世界大戦後の社会主義諸国では、40-50年の社会主義の実験が行われました。
土地と生産手段は社会化され、人々の福祉をもっとも合理的に増進させるように、国全体を覆う計画(計画経済)に従って利用されました。しかし、社会化と計画経済の主体は国家なので、個人の自発性を無視した行政的指令が経済の基本的な道具になってしまったのです。
また、現実の経済では、人々はなんらかの動機「物質的刺激(利益)」がなければ動きません。労働者の勤労意欲は減退し、生産性が低下して経済は停滞するようになりました。
社会主義は、資源開発や重工業・軍事工業の建設には効果的でしたが、農業や消費財・サービス産業には適合しませんでした。
そのため、1990年代には、多くの国が社会主義の計画経済を放棄しました。
中国は、1970年代末から改革開放政策(経済改革・対外開放政策)に着手し、1990年代前半からは社会主義を維持しながら市場経済を導入するという「社会主義市場経済」を導入するようになっています。
資本主義に見られる資本優位の傾向を、人々の団結(組合)や批判・政策によって制限していこうという日常的な社会主義は、現在ではいろいろな形(労働組合、協同組合、社会主義政党、社会福祉政策)で定着しています。