カラマ・ハリス氏とはなに者?バイデン大統領から後任候補として支持を受けた民主党のカマラ・ハリス副大統領について知ろう!

女性や少数派の権利を擁護する闘士として知られているカマラ・ハリスさんは、2021年に女性として、黒人として、アジア系として米国初の副大統領に就任しました。彼女の功績は、バイデン大統領からの信頼の証でもあります。

バイデン大統領は、彼女にもう一つの大きな使命を託しました。それは、トランプ前大統領の再登場を阻止し、さらには女性初の米国大統領としての「史上初」を成し遂げることです。これはアメリカの歴史にとって非常に重要な挑戦となります。

このように、ハリスさんはこれまでにない新たな道を切り開こうとしています。彼女の行動や言葉は、多くの人々に勇気と希望を与えています。

ハリス氏は人工中絶問題や女性、黒人、性的少数者(LGBTQ)など社会的弱者の問題への取り組みに対する評価は高く、特に黒人女性層の支持は厚いです。

一方で、担当する不法移民問題を巡って越境してくる人々に「来ないでほしい」と発言するなど成果を上げられず、人気低迷につながった背景もあります。

日本でもニュースで名前を見るようになったハリスさんですが、どんな人なのかよくわからない人も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、カラマ・ハリス氏についてご紹介いたします!

重要なポイント
  • 歴史的な偉業:カマラ・ハリスさんは、米国初の女性副大統領、初の有色人種の女性副大統領となりました。
  • 家族背景:彼女はジャマイカ出身の父親とインド生まれの母親の間に育ちました。
  • 法律のキャリア:サンフランシスコの地方検事およびカリフォルニア州の検事総長としての役割を果たしました。
  • 政治的スタンス:検事としての彼女の記録は非常に中道と見なされていますが、上院議員としては主にリベラルな立場で見られています。
  • 民主党内の位置:ハリス副大統領は民主党の穏健派に属しています。上院議員としての記録はバイデン大統領よりも左寄りですが、上院議員以前の彼女の立場は一部の問題についてより中道的なものでした。

「中道」とか「リベラル」って言葉が出てきたね。
これは国や地域によって意味はちょっと違う(日本だと憲法改革派か非改革派かとか、そういう視点もある)んだけど、
めっちゃざっくり言ってしまうと、今日の政党には,社会や経済のしくみをできるだけ変かえないで政治上の問題を解決しようとする人たちと、政治上の大きな問題の解決のためには社会や経済のしくみを変かえなければならないとする人たちがいるわけだ。
こういうのを「保守」とか「リベラル」とか、考え方に応じて大雑把にカテゴリ分けを勝手にしているという感じかな。
しかし最近では、それぞれの区別が曖昧になったり,分け方に不満な人も多くなったりして,両者の中間にたった考え方や政治姿勢「中道」を支持する人も少なくないよ。

目次

カマラ・ハリス副大統領の幼少期と教育

カマラ・デヴィ・ハリスさんは、1964年10月20日にカリフォルニア州オークランドで移民の両親のもとに生まれました。

母親のシャマラさんはインドから移住し、乳がん研究の権威となり、カマラさんが生まれた年に博士号を取得しました。父親のドナルドさんはジャマイカ出身で、スタンフォード大学の経済学教授として活躍しました。

超頭のいい家庭に生まれたのか!

市民権運動への参加

ハリスさんの両親は市民権運動に関わり、人々が団結して全ての人々の権利と自由を守ることの重要性を強調していました。カマラさん自身も幼い頃から市民権運動のデモに参加し、幼少期には既にその影響を受けていました。

両親の離婚とカナダへの移住

カマラさんが7歳の時、両親は離婚しました。

その後、12歳の時に母親と妹のマヤさんと共にカナダのモントリオールへ引っ越しました。

モントリオールでは、アパートの所有者が子どもたちが芝生で遊ぶことを禁止していたため、カマラさんと妹は成功した抗議活動を行いました。

高校時代とその後の教育

ケベック州のウェストマウント高校に通う学生時代、カマラさんは弁護士になる夢を持っていました。

卒業後、ワシントンD.C.にあるハワード大学に入学し、政治学と経済学の学士号を取得しました。その後、故郷であるカリフォルニア州に戻り、カリフォルニア大学ハスティングス法科大学院で法務博士(J.D.)を1989年に取得しました。

数字で見るカマラ・ハリスの教育経歴

  1. 1964年:カリフォルニア州オークランドで生まれる
  2. 1989年:カリフォルニア大学ハスティングス法科大学院で法務博士号(J.D.)を取得

カマラ・ハリスさんの幼少期からの経験と教育背景は、彼女の後のキャリアに大きな影響を与えました。

市民権運動への参加や教育機関での学びは、彼女のリーダーシップとコミュニティへの貢献に繋がっているんだろうね!

カマラ・ハリス副大統領の著名な功績

カマラ・ハリスさんは、カリフォルニア州アラメダ郡で性犯罪に焦点を当てた副地方検事として法的キャリアをスタートしました。

その後、サンフランシスコのキャリア犯罪ユニットの管理弁護士となり、2000年にはサンフランシスコ地方検事局のコミュニティ・近隣部門のチーフに就任しました。この時、カリフォルニア州初の子ども正義局を設立しました。

サンフランシスコ地方検事としての実績

カマラ・ハリスさんは2003年に選挙で前上司のテレンス・ハリナン氏を破り、サンフランシスコ地方検事に選出されました。彼女はこの役職に就いた初の黒人女性であり、就任後の3年間で有罪判決率を52%から67%に向上させました。

2004年にサンフランシスコの地方検事に就任したカマラ・ハリスさんは、プロポジション8の撤回後、最初の同性婚を主宰しました。また、環境正義ユニットを創設し、初犯の薬物犯罪者に教育と雇用の機会を提供する「バック・オン・トラック」プログラムを開始しました。

ハリスさんは、2004年に警察官を殺害した犯人に対して死刑を求めなかったことで警察組合から非難を受けました。彼女は死刑に反対する個人的な信念を持ち、選挙公約として死刑を求めないことを約束していました。この姿勢が、警察官の間で彼女に対する反感を生むことになりました。

カリフォルニア州検事総長としての功績

2010年11月にカリフォルニア州検事総長に選出されたハリスさんは、ロサンゼルス郡地方検事のスティーブ・クーリー氏を僅差で破り、初の黒人および南アジア系アメリカ人女性検事総長となりました。彼女は5大金融機関の不適切な住宅ローン慣行に対する和解交渉から撤退し、最終的には当初の提案額の5倍の和解金を獲得しました。

また、彼女は刑事司法データを一般公開するオンラインプラットフォーム「オープン・ジャスティス」を設立し、警察の責任を強化しました。さらに、ハロウィーンにホームレスの性犯罪者に対する強制的な夜間外出禁止令「オペレーション・ブー」を導入しました。

米国上院議員としての活躍

2016年にカリフォルニア州選出の米国上院議員となり、初の南アジア系アメリカ人上院議員となったハリスさんは、ジェフ・セッションズ前米国司法長官やブレット・カバノー最高裁判所判事候補に対する鋭い質問で高く評価されました。彼女は上院でシングルペイヤーの医療制度を支持し、住宅費の上昇に直面する人々に経済的支援を提供する法案を提出しました。

シングルペイヤー方式とは、全州民を被保険者とする公的保険制度を創設することで、州政府が医療をコントロールする皆保険制度のことなのだ。

米国では保険者ごとに保険適用の範囲や請求方法が異なるから、保険請求手続きにまつわる事務が煩雑化しているんだ。
そのための事務コストも多分に医療費に跳ね返っているといわれているのだ。

ハリスさんは二院制の支持を最も多く受けた議員であり、彼女の法案には同僚から多くの共同提案者がつきました。2019年には彼女が提案した法案の一つ、「セントフランシスダム災害国立記念碑法」が成立し、1928年3月12日のセントフランシスダム崩壊で亡くなった人々を記念する国立記念碑の設立が決定されました。

副大統領としての歴史的な偉業

2021年にカマラ・ハリスさんは、副大統領として就任し、女性、有色人種、南アジア系アメリカ人として初めてこの役職を務めるという一連の「初」を成し遂げました。彼女の責任の一環として、ハリス副大統領は19カ国以上を訪問し、150人以上の世界のリーダーと会談し、国際的なパートナーシップと同盟関係を強化しました。

インフレ抑制法への貢献

2022年にバイデン大統領が署名したインフレ抑制法は、副大統領ハリスさんが重要な役割を果たした重要な立法成果です。

この法案は、家族の費用削減、気候危機への対処、予算赤字の削減、大企業が適切な税金を支払うことを確保することを目的としています。この法案の重要な側面の一つは、メディケアが高額な薬の価格交渉を行えるようにすることです。

また、シニア向けのインスリンの月額費用を35ドルに制限し、メディケア下での推奨成人ワクチンの自己負担費用を廃止し、シニアの薬局関連支出の年間上限を2,000ドルに設定しました。

数字で見るカマラ・ハリスの功績

  1. 2000年:カリフォルニア州初の子ども正義局を設立
  2. 2004年:最初の同性婚を主宰
  3. 2010年:カリフォルニア州検事総長として180億ドルの和解を達成
  4. 2021年:米国初の女性副大統領として就任
  5. 2022年:インフレ抑制法に重要な役割を果たす

カマラ・ハリス副大統領の哲学と著作

カマラ・ハリスさんはこれまでに3冊の本を出版しています。

1. “Smart on Crime: A Career Prosecutor’s Plan to Make Us Safer”(2009年)

この本は、彼女の刑事司法改革に関する哲学とアイデアを探求しています。内容は、政府の腐敗や性的虐待被害者への正義などの問題に焦点を当てており、被害者支援や犯罪予防の手段を強調する、厳しくも共感的な検察官としてのハリスさんを描いています。また、一部の人々には法執行機関寄りと見なされ、犯罪防止に重点を置いた時代に合致しているとも言われています。

2. “The Truths We Hold: An American Journey”(2019年)

2019年初頭に出版されたこの回顧録は、ハリスさんの個人的な関係や育成について振り返っています。彼女の家族や育った環境、そしてこれまでの人生の旅路が綴られており、彼女の信念や価値観を深く知ることができる内容となっています。

3. “Superheroes Are Everywhere”(2019年)

同じく2019年に出版されたこの絵本は、子ども向けの自伝です。ハリスさんの幼少期の経験や学びを通じて、子どもたちに勇気と希望を与えるメッセージが込められています。な手段となっています。

カマラ・ハリス副大統領の政治思想・イデオロギー

カマラ・ハリス副大統領とバイデン大統領は、一般的に民主党の穏健派に属するとされています。しかし、GovTrackによると、ハリスさんは上院で最もリベラルなメンバーの一人と評価されています。彼女の上院での記録はバイデン大統領よりも左寄りです。

医療制度に対する立場

ハリスさんは、当初バーニー・サンダース上院議員と共に「Medicare for All」を支持しましたが、後にその立場を撤回し、不明確な姿勢を示しました。

一方、バイデン大統領は「Medicare for All」を支持せず、代わりに「Affordable Care Act(ACA)」の修正と拡大を提唱しています。

環境政策

ハリスさんは「グリーン・ニュー・ディール」の共同提案者であり、この点でバイデン大統領と意見を異にしています。バイデン大統領は「グリーン・ニュー・ディール」を支持していません。

グリーン・ニューディール(GND)は、アメリカにおける気候変動問題と経済格差の是正を目的とした経済刺激策のことだよ。。
この政策は、1929年の世界恐慌からアメリカ経済を救済するためにフランクリン・D・ルーズベルト大統領が行ったニューディール政策を基礎にしているのだ。ニューディール政策の理念を再生可能エネルギーや資源効率など、現代の環境問題に対応する要素と組み合わせたものなのだ。

移民政策

ハリス副大統領とバイデン大統領が最も一致している分野は移民政策です。

両者ともに、米国内に住む無認可移民に対する市民権取得の道を支持しています。また、両者は「ドリーマーズ」の保護を支持し、「DACA(Deferred Action for Childhood Arrivals)」の修正計画を支持しています。さらに、ハリスさんはトランプ前大統領の「ムスリム禁止令」の撤回を支持しました。

数字で見るカマラ・ハリスのイデオロギー

  1. Medicare for All:当初支持、その後不明確
  2. グリーン・ニュー・ディール:共同提案者
  3. 移民政策:無認可移民の市民権取得の道を支持
  4. DACAの修正:支持

ハリス副大統領のイデオロギーは、彼女が取り組んできた政策や提案からも明らかです。彼女の立場はバイデン大統領とは一部異なるものの、重要な政策分野で共通点も多く見られます。彼女のリベラルな視点と実行力は、多くの支持者にとって信頼と希望の象徴となっています。

アメリカが移民を受け入れる背景

アメリカは「移民の国」として知られています。その歴史は1620年、イングランド王ジェームズ1世による弾圧から逃れるため、ピルグリム・ファーザーズがアメリカに上陸したことに始まります。現在、アメリカは世界第3位の人口を持ち、この移民の歴史がその発展の基盤となっています。*参考文献

バイデン政権の移民政策

2021年1月に政権交代が行われ、バイデン大統領はトランプ前政権からの方針転換を示す多くの移民政策を打ち出しました。難民受け入れの上限数の引き上げやDACA(幼少期に親と共に不法入国した若者への保護プログラム)の維持などがその例です。しかし、DACAに関してはテキサス州など複数の州が財政負担を理由に違法性を訴え、新規申請の受付停止命令が出されるなど、政策の実行には課題が残っています。

移民問題の注目度

昨年の中間選挙前にギャラップ社が行ったアンケート調査では、「経済」や「妊娠中絶」、「犯罪」に次いで、「移民問題」や「銃規制」が選挙の主要な争点であると報告されました。この結果から、移民問題が国内で非常に注目されていることがわかります。バイデン政権は、不法移民の増加を防ぐために国境警備の強化や不法入国取締りの強化を行っています。

移民がアメリカにもたらす経済的メリット

  1. 労働力の補充
    移民はアメリカの労働市場にとって重要な存在です。現在、アメリカでは労働者不足が賃金上昇やサービスインフレを引き起こしており、移民の労働力がこれを緩和する役割を果たしています。米連邦準備委員会(FRB)も、労働者不足の要因の一つとして移民の減少を指摘しています。
  2. 経済成長への貢献
    移民は経済成長と労働生産性の向上に貢献します。国際通貨基金(IMF)は、先進国において移民が経済成長を促進すると指摘しています。例えば、移民が総雇用者数に対する比率で1%ポイント増加すると、5年目までにGDPがほぼ1%増加することが明らかになっています。移民が労働市場に参入すると、現地の労働者はより高度な職務に移り、移民がその空いた職を埋めることで、全体の労働生産性が向上します。
  3. 人口増加と社会保障制度の維持
    アメリカの出生率は人口維持に必要な水準を下回っていますが、移民の受け入れにより人口増加が見込まれます。これにより、社会保障制度の維持が可能となり、高齢化社会における年金や医療保険の負担軽減に寄与します。

ハリス氏の移民をめぐる失言と左派離反リスクによる政権不安定要因

バイデン政権におけるカマラ・ハリス副大統領の評判は芳しくなく、それがバイデン大統領の支持率にも悪影響を及ぼしています。

政策的な失態というよりも、マネージメント能力やコミュニケーション戦略に対する疑問が生じています。1993年のクリントン政権の1期目の混乱に似た状況が見られ、メディア対策の不備からリークが頻出しています。

副大統領室の混乱とメディア報道

複数の米メディアが、2021年6月以降、副大統領室の混乱を報じています。

CNBCは、選挙民対策が欠如しているとしてフラノイ副大統領首席補佐官の強権を問題視し、古参支援者が遠ざけられていると報じました。また、ポリティコ紙は、元側近や現側近を含むホワイトハウス内の22名の証言を基に、副大統領室の士気が低下し、幹部スタッフの辞職が続出していることを報じました。

ハリス副大統領の移民問題に関する失言

非保守系のテレビ報道もハリス副大統領に対して厳しい態度を示しています。

NBC Nightly Newsのアンカー、レスター・ホルトは、移民問題の現場である国境を視察しないハリスに対して執拗に質問し、ハリスは「私は欧州にも行ってない」と返答しました。この発言が批判を浴び、「早期に現地視察を検討する」と言っておけば問題は避けられたかもしれません。

左派からの批判

ハリス副大統領が6月初旬にグアテマラで「アメリカ国境に来ないで」と発言したことで、左派からの批判が集中しました。

特に、オカシオ=コルテス下院議員やイルハン・オマル、ラシーダ・タリーブら民主党の若手議員からの批判は強烈でした。これまでバイデン政権は、共和党による女性差別やマイノリティ差別に基づく中傷に対抗してハリスを擁護してきたため、民主党内からの反発は大きな打撃となりました。

左派の支持維持の難しさ

バイデン政権は労働者や国内経済対策を重視し、左派の支持を維持するために多くのエネルギーを注いできました。

その結果、バイデン大統領は中道派でありながら左派から高い評価を受けることができました。しかし、ハリス副大統領の失言やマネージメント問題が浮き彫りになる中で、左派からの支持を維持することが難しくなっています。

ハリス副大統領の政治経験の不足

カマラ・ハリス副大統領に対する評価は、側近に恵まれていないという同情論から、純粋に政治経験が不足しているとの辛辣な意見までさまざまです。

アメリカでは地方検事は選挙で選ばれますが、連邦議員選や知事選とは激しさも有権者層も異なります。

ハリス副大統領の議員歴は連邦上院での数年のみで、地方議員や知事、市長の経験もありません。連邦下院選予備選に敗北した経験を持つオバマ元大統領とは異なり、辛酸を舐めた経験もありません。

まとめ カマラ・ハリス副大統領とは?

いかがだったでしょうか?

カマラ・ハリス副大統領の考え方や政治思想は、公正と正義の追求、環境保護、移民の権利保護、医療制度の改革に重きを置いています。

彼女は、多様なバックグラウンドと経験を活かし、人々の権利と自由を守るために努力しています。彼女のリーダーシップと行動は、多くの人々に希望と変革の力を示しています。

少しはアメリカの政治について理解が深まったのではないでしょうか?

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この記事を書いた人

株式会社シュタインズ
「テクノロジー×教育の研究開発」を事業の基盤に、現在は金融教育サービス事業「Moneychat(http://moneychat.life/)」の企画と開発を進める。

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