【5032】エニーカラーとは?Vtuber事業にじさんじプロジェクトなどを手掛けるエンタメ企業!

エニーカラーは、バーチャルキャラクターを使って活動するユーチューバー(VTuber)を多数抱える事務所です。このタイプの事務所は、ユーチューバーをサポートする「UUUM」などの既存事務所とは異なる特徴を持っています。

https://ssl4.eir-parts.net/doc/5032/tdnet/2409740/00.pdf

UUUMは、既に人気のあるユーチューバーたちが集まって設立された事務所です。この点で、UUUMは伝統的な芸能事務所に近い構造を持っています。例えばオスカーやアミューズのような企業がこれに該当します。最近では、専属クリエイターの削減などがユーチューバー市場の成長の鈍化を示唆しています。

一方、エニーカラーは自社でキャラクターを考案し、それらのキャラクターを通じてコンテンツを提供しています。このビジネスモデルは自社の知的財産(IP)を持つという意味で、任天堂やスタジオカラーなどと類似しています。エニーカラーからは、ポケモンやエヴァンゲリオンのようなマルチメディア展開が期待されています。

目次

エニーカラーの収益モデル

エニーカラーは、バーチャルキャラクターを活用したさまざまな収益源を持っています。彼らの収益モデルを理解することは、ビジネスの動向を把握する上で重要です。エニーカラーの主な収益源は以下の4点です。

1. YouTube広告収入(ライブストリーミング)

バーチャルキャラクターを使用したYouTubeライブストリーミングにより、エニーカラーは広告収入を得ています。これは、動画の再生回数や広告のクリック数に応じて算出されます。これは、デジタルコンテンツが主流となっている現代において重要な収益源です。

2. グッズ収入

エニーカラーは、キャラクターを活用したさまざまなグッズを販売しています。これには、Tシャツ、キーホルダー、ステッカーなど、ファンに人気のアイテムが含まれます。これらの商品は、ファンによって購入され、会社の収益に貢献しています。

3. リアルイベント収入

バーチャルキャラクターを活用したリアルイベントやコンサートも、エニーカラーの重要な収益源の一つです。こうしたイベントは、参加費やグッズの販売から収益を生み出します。

4. VTuber広告収入

エニーカラーは、企業とのコラボレーションを通じて、そのバーチャルキャラクターを広告媒体として利用しています。企業は、製品やサービスのプロモーションにVTuberを利用し、その対価としてエニーカラーに広告費を支払います。

これらの収益源を通じて、エニーカラーはバーチャルエンターテイメント市場において安定した収益基盤を築いています。それぞれの収益源は、デジタル時代の新しいビジネスモデルとして注目されています。

VTuberの育成とデビューに向けた総合的サポート体制

  1. 社内のプロデュースチームが、各VTuberの個性を反映した世界観やイラストなど、コンセプトを総合的に考案します。これには、VTuberのキャラクターデザインや、彼らが活動する世界の設定も含まれます。
  2. ステップ2: さまざまなバックグラウンドを持つ人材がVTuberとしてのオーディションに応募します。多様性を尊重し、各々の特性や才能を発掘します。
  3. VTuberとして中長期にわたって活躍できるよう、配信技術や配信者としてのマインドセットを育成するプログラムを提供します。
  4. 2Dから3Dまで、多様な配信形式に対応したツールを提供します。たとえば、Oculus Riftを使用した3Dコンテンツ制作や、iPhoneを使った2Dコンテンツ制作などがあります。
  5. トレーニングを経た後、当社所属のVTuberとして正式にデビューします。デビュー後はライブストリーミングやその他の活動に取り組んでいきます。

このサポート体制により、VTuberは個々の特性を生かしながら、幅広い活動を展開できるようになります。また、様々な技術や配信フォーマットへのアプローチにより、多様な視聴者層を惹きつけることができるでしょう。

独自のエコシステムとその拡大

VTuberとファンの関係は、ライブストリーミングを中心に構築され、そこから多岐にわたる活動へと拡がっています。

ファンは「Super Chat」を通じて、有料で目立つコメントを配信中に表示できます。また、「YouTubeメンバーシップ」を通じて、月額料金を支払うことで、限定コンテンツや特典を受け取ることができます。

ファンコミュニティは、イベントチケットの販売やリアルでのつながりを通じて拡大します。VTuberは、ファンとの双方向コミュニケーションを重視し、オンラインだけでなくオフラインでも関わりを持ちます。

企業とのコラボレーションや協賛により、VTuberはさらなる収入源を得ます。

このような協力関係はVTuberのブランド認知度を高めると共に、企業にとっても有益な宣伝効果をもたらします。

ファン向けに、オリジナルグッズやデジタルコンテンツの販売も行います。これらの販売は、VTuberとファンの結びつきをさらに強化し、収益の多角化に貢献します。

このエコシステムは、ライブストリーミングを起点に、複数のサービスや事業分野へと展開されており、VTuberとファン、企業の間で多様な交流と価値の交換が行われています。

エニーカラーへの投資における懸念点

エニーカラーへの投資を検討する際には、いくつかの重要な懸念点があります。ここでは、それらを詳しく見ていきます。

1. VTuberブームの終焉

現在、VTuberは大人気ですが、流行は時とともに変化します。ユーザーが飽きたり、新たなトレンドが登場したりすると、エニーカラーの成長は停滞する可能性があります。ジャニーズやAKBグループのように、長期間にわたるコアファンの獲得が、エニーカラーの持続的な成功の鍵となるでしょう。

2. 国内市場の成長鈍化

UUUMの例を見ても分かるように、国内市場での成長は一定のポイントで鈍化する可能性があります。成長が止まると、市場からの評価も下がり、株価は低迷する恐れがあります。エニーカラーは、国内市場の飽和に対応する戦略が必要です。

3. 海外展開の不確実性

エニーカラーが海外市場で成功するかどうかは、まだ確実ではありません。日本国内での成功は、特有の文化的背景に支えられている部分があり、これが海外でも同様に受け入れられるかは未知数です。海外市場におけるグッズ収入やファンの獲得は、日本と異なるアプローチが必要かもしれません。

これらの懸念事項を踏まえ、エニーカラーへの投資は慎重に行う必要があります。流行や市場の変化に対する対応策、特に持続可能なファンベースの構築と国際市場への適応が、エニーカラーの将来の成功を左右する重要な要素となるでしょう。

【5032】エニーカラーの業績(2024年3月期) 第3四半期決算

ここから決算情報を通して、エニーカラーの業績を見ていきましょう。

売上高は232億7300万円(前年同期比19.9%増)、営業利益は90億4100万円(同20.4%増)、売上総利益は109億8100万円(同22.2%)でした。決算がすごく悪かったかって言われるとまそんなわけでもないのですが、業績は伸び悩んでいるようです。

当社は「魔法のような、新体験を。」というコーポレート・ミッションの下、新しいエンターテイメントの提供に取り組んでいます。

主軸はVTuberグループ「にじさんじ」の運営で、エンターテイメント領域において幅広い事業展開を行っています。

当社のVTuberビジネスは、以下の4つの領域で構成されています。

  1. ライブストリーミング領域:YouTubeでのライブ配信動画中心の活動。
  2. コマース領域:VTuberのオリジナルグッズやデジタル商品の販売。
  3. イベント領域:音楽イベントなどVTuber出演のイベント主催。
  4. プロモーション領域:タイアップ広告、IPライセンス、メディア出演等の案件。

日本では「にじさんじ」所属のVTuberが126人(前年比8名増)。

「にじさんじオフィシャルストア」「にじさんじFAN CLUB」などで利用するANYCOLOR IDは1,192千ID(前年比44%増)。

英語圏では「NIJISANJI EN」に注力。VTuber数は33人(前年比2名増)。

当第3四半期の累計経営成績は、売上高23,273,375千円(前年比19.9%増)、営業利益9,041,047千円(前年比20.4%増)、経常利益9,020,347千円(前年比19.5%増)、四半期純利益6,269,635千円(前年比19.8%増)となりました。

業績推移と課題

エニーカラー株式会社の売上は前年比で22%の大幅な伸びを示しましたが、特に注目すべきは第1クォーターの強い成績です。

しかし、この高い業績を維持するのは困難で、今回の数字は期待値を下回り、株価に影響を与えたと考えられます。海外市場では、VTuberのselenさんの引退のようなニュースがあり、これが業績への影響を与えたかもしれません。加えて、大型イベント「にじさんじフェス」が開催されましたが、こちらも売上の面で期待値に届かず、結果的にマイナスの影響を与えたようです。フェスの規模は昨年を上回るものでしたが、売上が伸び悩んだことが業績に影響していると思われます。

エニーカラーの業績が伸び悩んだ主な2つの要因は次の通りです。

  1. 「にじさんじフェス」の開催による営業利益率の低下 昨年12月22日から24日に開催された「にじさんじフェス」では、チケットやグッズの収入が前回開催時より増えました。しかし、関連費用が想定よりもかさんだため、営業利益率が低下しました。会社の決算資料では「関連費用の想定以上の上振れ」と表現されています。
  2. 英語圏向けグループ「NIJISANJI EN」の売上減少 「NIJISANJI EN」の売上高は前年同期比で24.6%減少しました。グッズ販売の落ち込みが収益に影響を与えています。アニメ市場の海外拡大に伴い、Vチューバーの海外市場での成功も期待されていましたが、現在は苦戦している状況です。

今後の展望として、2024年4月期の会社計画では、売上高が前期比30.2%増の330億円、営業利益が34.9%増の127億円と予測されています。東洋経済は昨年12月に発売された『会社四季報』2024年1集(新春号)で売上高・営業利益の上振れを予想していましたが、現在の状況を踏まえ会社計画水準まで予想を下方修正しています。

エニーカラーの現状と将来展望

エニーカラーの現状は、多くの好材料によって今後も成長が期待されています。ANYCOLOR IDの数が順調に増えていることや、Vtuberの数も増加している点、さらには従業員の増加による体制強化など、成長を続けるポテンシャルが見られます。

しかし、短期的な視点で見ると、最近の決算は多くの投資家が期待していたよりも控えめだった可能性があります。ここでの重要な点は、エニーカラーが第4クォーターに通年目標に達することができるかということです。特に、どのグッズがどの時期に売り上げに計上されるかなどの詳細情報が不足しているため、次期の決算には不透明さがあります。

概して、エニーカラーの長期的な成長は依然として期待できるものの、短期的な業績の動向には注意が必要です。大きな変動が予想される場合を除いて、現在の情報だけでは、短期的な業績の予測が難しい状況と言えるでしょう。

まとめ 【5032】エニーカラー

いかがだったでしょうか?

エニーカラーはにじさんじを筆頭に、Vtuber業界を牽引している存在です。

しかし、日本の市場はすでに「ホロライブプロダクション」運営のカバー(5253)と刈り取ってしまったようにも見えますし、海外での売り上げはあまり奮っていないようです。

今後のVtuberの需要にも不安な要素は残りますが、今後も新しいVtuberの文化を作り続けていってほしいですね。

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この記事を書いた人

株式会社シュタインズ
「テクノロジー×教育の研究開発」を事業の基盤に、現在は金融教育サービス事業「Moneychat(http://moneychat.life/)」の企画と開発を進める。

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