渋沢栄一は、日本の近代資本主義の発展に大きく貢献した実業家であり、日本の経済史において重要な存在です。
財務省と日本銀行が2024年7月に、渋沢栄一を図柄にした新たな1万円札など新紙幣を発行することになっています。新紙幣のデザインが一新されるのは04年以来20年ぶりです。
彼の活躍は、多くの初心者にも興味深い話題となっています。この記事では、渋沢栄一の生涯と業績、そしてなぜ彼が新1万円札に選ばれたのかを説明します。初心者にも分かりやすく解説するので、渋沢栄一について知りたい方はぜひ読んでみてください。
渋沢栄一の生い立ちと経歴
渋沢栄一は1840年に生まれました。彼は、幕末から明治時代にかけての日本の変革期に活躍した人物です。
若い頃から勉学に励み、独学で洋書を学ぶなどして幅広い知識を身につけました。その後、銀行業や企業経営などに関わり、自身の事業を築き上げる一方、他の企業や産業の振興にも尽力しました。
最初から実業家としての道を歩んでいたわけではなく、明治時代初頭は官僚の一人として、国の繁栄を推進する立場にありました。
渋沢栄一の功績と影響力
渋沢栄一は、日本の近代化に大きく貢献した人物です。
彼は銀行業を通じて多くの企業や産業の発展を支え、国内外のビジネスネットワークを構築しました。また、教育や文化の振興にも力を注ぎ、近代的な教育機関や病院の設立に尽力しました。その結果、日本の経済や社会の近代化を推進し、多くの人々に福祉や発展の機会をもたらしました。
明治時代の日本は近代国家をめざし、制度改革や産業の強化を進めていました。当時の主な施策はインフラや金融制度の整備、官営模範工場の設営などで、その中で渋沢栄一はお金の単位を「円・銭・厘」とする新貨幣制度の確立や、銀行設立に関するルールを定めた「国立銀行条例」の整備を行なっていました。
また、後に世界文化遺産として登録される「富岡製糸場」の建設計画にも、中心人物として関わりました。
金融クイズ!
Q. 渋沢栄一が1873年(明治6年)に設立した日本で最初の銀行、第一国立銀行は現在のなに銀行でしょう?
- みずほ銀行
- 武蔵野銀行
- りそな銀行
答えは、記事の最後へ!
渋沢栄一が「資本主義の父」と呼ばれる理由
渋沢栄一が明治政府のもとで働く前、静岡藩で財政を管理する役職にあった彼は藩の経済状況を立て直すために「商法会所」という組織を設立しました。この組織が日本初の「株式会社」だったと考えられています。日本初の「株式会社」を作ったのが、一般的に渋沢栄一とされています。
渋沢栄一が「資本主義の父」と呼ばれる理由は、以下のような要素があります。
先駆的な資本主義の実践者
渋沢栄一は、日本の近代化期において資本主義の理念を実践した先駆的な存在でした。彼は個人の起業や企業経営を通じて資本主義の原則を具体的に体現しました。当時の日本は封建的な社会構造が根強く残っていた中で、渋沢栄一は新たな経済システムとしての資本主義の導入や企業経営の合理化を進めました。
経済発展と産業振興への貢献
渋沢栄一は銀行業を通じて多くの企業や産業の発展を支えました。
まずは日本で最初の銀行となる「第一国立銀行」は「みずほ銀行」の原型となっています。渋沢栄一は、民間が事業を興すためには資金を貸してくれる銀行がなによりも必要だと考えており、実業家となってから最初に銀行の開業に取り組んだそうです。
彼の創設した銀行や金融機関は資金供給や投資支援を行い、経済活動の活性化に貢献しました。また、彼自身も多くの企業を設立し、事業を展開することで産業の振興に寄与しました。これにより、資本主義の原則に基づく競争や効率性の追求が進み、日本の経済が発展する土台を築きました。
教育と人材育成への重要性の認識
渋沢栄一は教育や人材育成の重要性を強く認識していました。彼は近代的な教育機関の設立や学校経営にも力を入れ、人材の育成に取り組みました。彼の思想や経験を学ぶことで、若い人々が経済的自立を追求し、自己実現を図ることができると信じていました。こうした教育の推進は、資本主義の発展と経済社会の進歩に不可欠な要素であるとされています。
渋沢栄一の遺産と新1万円札への選出
渋沢栄一の遺産は、彼が築いた企業や経済の発展だけではありません。彼の思想や人格も多くの人々に影響を与えました。
そのため、2024年に予定されている新1万円札のデザインに渋沢栄一の肖像が採用されることが決定しました。新1万円札への選出は、彼の功績と人格の評価であり、日本の経済史における彼の重要性を象徴しています。
日本銀行券を製造している国立印刷局によると、お札の肖像として選ばれるポイントは主に以下の二つのようです。
・日本国民が世界に誇れる人物で、教科書に載っているなど、一般によく知られていること
・偽造防止の目的から、なるべく精密な人物像の写真や絵画を入手できる人物であること
そして今回、渋沢栄一は「新たな産業の育成に尽力し、新元号のもとでの新しい日本銀行券にふさわしい人物」として選出されました。
まとめ 渋沢栄一 新1万円札
渋沢栄一は、日本の近代化において重要な役割を果たした実業家であり、彼の功績と人格は多くの人々に賞賛されています。
彼の生涯や業績を知ることは、日本の経済史や近代化の理解に役立つだけでなく、彼の人間性や思想に触れる機会でもあります。新1万円札に彼の肖像が選ばれることで、彼の遺産が後世に伝えられることになります。
ちなみに、5千円札の図柄は津田塾大学創設者の津田梅子、千円札は細菌学者の北里柴三郎で、世界初となる偽造防止技術を採用するようです。
新しい新紙幣のデザイン、楽しみですね!
金融クイズの答え!
正解は、、、
みずほ銀行
です!
「日本資本主義の父」、渋沢栄一。彼は、日本初の銀行である第一国立銀行(現みずほ銀行)を始め、生涯にわたって、480社もの営利事業誕生に関わりました。その中からは日本経済を牽引する優良企業がいくつも生まれ、それらの企業は、今も、私たちの生活を支えてくれているといえます。