投資信託とは、多数の投資家から集めたお金を資産運用のプロが投資・運用する商品のことです。
運用で生じた利益は、出資額に応じてすべて投資家に分配されます。投資信託は1つの銘柄が複数の投資先で構成されているため、自動的に分散投資ができる点が大きな特徴です。国内外を問わず債券や株式など幅広く投資できれば、いずれかの価格が下落しても、ほかの資産で損失をカバーできます。
投資信託には100円から少額で購入できる商品があるほか、運用を専門家に任せられるため、初心者にもおすすめです。
しかし、投資信託には元本割れのリスクや手数料の負担などもあります。また、投資信託にはさまざまな種類や区分があり、自分に合った商品を選ぶことが重要です。
この記事では、投資信託とはどういった金融商品を指すのかについて詳しく解説します。メリットやデメリット、基本的な仕組みや利益の発生方法、種類や選び方、おすすめの商品など、投資信託の基礎知識からわかりやすく紹介するので、資産運用をはじめようと考えている人はぜひ参考にしてください。
その他の投資方法についての解説もしていますので、知らない方はぜひご覧ください!
投資信託とは?
投資信託とは、多数の投資家から集めたお金を一つの大きな資金としてまとめ、運用の専門家が株式や債券などに投資・運用する商品です。運用で生じた利益は、出資額に応じてすべて投資家に分配されます。
投資信託は基本的に1つの銘柄に複数の投資対象が含まれているため、手軽に分散投資ができる点がメリットです。値動きの異なる投資商品に幅広く投資していれば、いずれかの価格が下落しても、ほかの投資先がで損失をカバーできます。分散投資によるリスク軽減は投資の基本ですが、投資初心者が個人で複数の銘柄を選ぶのは難易度が高いです。投資信託であれば、1つの商品を購入するだけで自動的に複数銘柄への分散投資ができるため、投資の知識が少ない人にはとくにうれしいポイントでしょう。
投資信託は、資産運用のプロに運用を任せられる点も魅力のひとつです。専門家のファンドマネージャーが投資先の決定や売却時期の見極めを行います。市場や銘柄の選定、組み入れ比率や売買のタイミングなど、投資初心者が適切に判断するのは困難です。投資信託ではすべてを代行してくれるため、自分で投資先を探したり、投資先の動向をチェックしたりする必要が基本的にありません。投資に関する知識や経験が少ない初心者の人は投資信託からスタートし、運用のプロから投資方法を学ぶとよいでしょう。
投資信託のメリットとデメリット
投資信託には、リスクを抑えやすい、投資をはじめやすいなどのメリットがあります。しかし、元本割れのリスクや手数料の負担などもあります。
メリット 投資信託
- 少額から投資を始められる
- 手軽に分散投資ができてリスクを抑えやすい
- プロに運用してもらえるので初心者でもはじめやすい
デメリット 投資信託
- 元本割れのリスクがある
- 運用時の手数料が割高になりやすい
- タイムリーな売買取引に向いていない
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投資信託の基本的な仕組みを理解しよう
投資信託の仕組みを理解するためには、運用会社・販売会社・信託銀行それぞれの役割を理解しておくことが大切です。まず、運用会社が投資信託をつくり、銀行や証券会社などの販売会社を通じて投資家に販売します。投資家から集めたお金は、資産管理を担当する信託銀行が管理・保管し、運用会社の指示に従って株式や債券の売買を行う流れです。
お金を管理・保管しているのは信託銀行ですが、運用会社の指示なく勝手に売買はできません。運用によって成果が出た場合は、信託銀行から販売会社に分配金・償還金が渡され、各投資家に分配されます。
各機関の役割をまとめると、
- 運用会社は投資信託をつくり、信託銀行に売買の指示を出すこと
- 販売会社は投資家の窓口になること
- 信託銀行は集めたお金を保管・管理し、株式などの売買を行うこと
といえるでしょう。
投資信託ではどのような利益が発生する?
投資信託で得られる利益は、基本的に2種類あります。それは、
- 基準価額が上がることで得られる「売却益(キャピタルゲイン)」
- 運用の収益である「分配金(インカムゲイン)」
です。
売却益(キャピタルゲイン)
売却益とは、投資信託を購入した時よりも高い価格で売却した時に得られる利益のことです。投資信託の価格は、基準価額と呼ばれる指標で表されます。基準価額は、投資信託が組み入れている株式や債券などの資産の価値の合計を、投資家の人数や口数で割ったものです。
基準価額は、毎日変動します。投資先の株式や債券などの価格が上昇すれば、基準価額も上昇します。逆に、価格が下落すれば、基準価額も下落します。基準価額が上昇するということは、投資信託の価値が高まっているということです。そのため、基準価額が上昇した時に売却すれば、売却益を得ることができます。
売却益を計算するには、以下の式を使います。
売却益 = (売却時の基準価額 – 購入時の基準価額) × 口数
例えば、100円の基準価額で100口の投資信託を購入し、120円の基準価額で売却した場合、売却益は以下のようになります。
売却益 = (120 – 100) × 100 = 2,000円
このように、基準価額が上昇すればするほど、売却益は大きくなります。しかし、逆に基準価額が下落すれば、売却損を出す可能性もあります。そのため、売却時期の見極めが重要です
分配金(インカムゲイン)
分配金とは、投資信託が運用で得た収益(株式の配当や債券の利息など)を一定期間ごとに投資家に分配することです。分配金が支払われる期間は投資信託によって異なりますが、一般的には年1回から月1回までです。
分配金は、投資信託を保有しているだけで受け取ることができます。分配金を受け取った後も、投資信託を保有し続けることができます。分配金は現金で受け取ることもできますが、再投資することで複利効果を得ることもできます。
分配金を計算するには、以下の式を使います。
分配金 = 分配金額 × 口数
例えば、分配金額が10円で100口の投資信託を保有していた場合、分配金は以下のようになります。
分配金 = 10 × 100 = 1,000円
このように、分配金は口数に応じて増えます。しかし、分配金額は運用成果によって変動します。運用成果が良ければ分配金額も高くなりますが、逆に悪ければ分配金額も低くなります。また、分配金を受け取ると基準価額が下落することもあります。
投資信託の種類と選び方
投資信託には、さまざまな種類があります。それぞれの特徴やリスク・リターンを理解して、自分に合った投資信託を選ぶことが大切です。
投資信託の種類と特徴
投資信託の種類は、以下のように分類できます。
- 募集方法による分類:公募ファンドと私募ファンド
- 投資対象による分類:株式型、債券型、REIT型、バランス型など
- 投資エリアによる分類:国内型、海外型、国内外型など
- 運用方針による分類:インデックス型、アクティブ型、バランス型など
それぞれの分類と特徴を簡単に説明します。
募集方法による分類:公募ファンドと私募ファンド
募集方法による分類は、投資信託を販売する際の対象者や方法によって区別されます。
- 公募ファンド:一般の投資家に広く募集する投資信託。金融機関やインターネットで申し込むことができる。NISAやiDeCoなどの制度で利用できる。
- 私募ファンド:少数の機関投資家や富裕層などに限定して募集する投資信託。一般的には目にすることが少ない。高いリスク・リターンを求める投資手法が可能。
一般的には公募ファンドが多く、個人投資家が利用することがほとんどです
投資対象による分類:株式型、債券型、REIT型、バランス型など
投資対象による分類は、投資信託が運用する金融商品の種類によって区別されます。
- 株式型:株式を主な投資対象とする投資信託。高いリスク・リターンを期待できる。株価の変動や配当金などが収益源。
- 債券型:債券を主な投資対象とする投資信託。比較的安定したリスク・リターンを期待できる。債券の利息や価格変動などが収益源。
- REIT型:不動産投資信託(REIT)を主な投資対象とする投資信託。不動産市場の動向や物件の収益性などに影響される。不動産の価格変動や家賃収入などが収益源。
- バランス型:株式や債券など複数の資産を組み合わせて運用する投資信託。リスクの分散や資産のバランス調整ができる。各資産の収益源が収益源。
投資対象によって、リスク・リターンや値動きの特徴が異なります。自分の目的や期間に合わせて選ぶことが大切です。
投資エリアによる分類:国内型、海外型、国内外型など
投資エリアによる分類は、投資信託が運用する地域の範囲によって区別されます。
- 国内型:日本国内の金融商品に投資する投資信託。比較的安定したリスク・リターンを期待できる。円建てで運用されるため、為替リスクがない。
- 海外型:日本国外の金融商品に投資する投資信託。高いリスク・リターンを期待できる。外貨建てで運用されるため、為替リスクがある。
- 国内外型:日本国内と日本国外の金融商品に投資する投資信託。リスク・リターンや為替リスクは国内型と海外型の中間程度。
投資エリアによって、経済情勢や通貨価値などに影響される度合いが異なります。自分の目標や視野に合わせて選ぶことが大切です。
運用方針による分類:インデックス型、アクティブ型、バランス型など
運用方針による分類は、投資信託が運用する方法や目的によって区別されます。
- インデックス型:市場全体の動きを示す指標(インデックス)と連動することを目指す投資信託。低いリスク・リターンを期待できる。信託報酬(手数料)が安い。
- アクティブ型:市場全体の動きを上回ることを目指す投資信託。高いリスク・リターンを期待できる。信託報酬(手数料)が高い。
- バランス型:株式や債券など複数の資産を一定の割合で組み合わせて運用する投資信託。中程度のリスク・リターンを期待できる。信託報酬(手数料)は中間程度。
運用方針によって、収益性やコストなどが異なります。自分の目標や予算に合わせて選ぶことが大切です
投資信託の選び方
- 目的と期間を明確にする
- リスク・リターンとリスク許容度を把握する
- 運用コストが低いものを選ぶ
- 少額から始められるものを選ぶ
- 値動きの要因が分かりやすいものを選ぶ
- 世界中の資産に分散投資できるものを選ぶ
- 過去の運用実績やシャープレシオを参考にする
投資信託は、自分の目的や期間に合わせて、リスクとリターンのバランスが良いものを選ぶことが大切です。また、運用コストや値動きの要因なども確認しておくことで、失敗を防ぐことができます。投資信託は種類が多くて迷うかもしれませんが、自分に合ったものを見つけて、資産運用に挑戦してみましょう。
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投資信託の評価と比較方法
投資信託を選んだ後も、定期的にそのパフォーマンスやリスクを評価し、必要に応じて見直すことが大切です 。また、他の投資信託と比較することで、自分の投資信託が適切かどうかを判断することもできます。
投資信託の評価や比較には、以下のような指標や方法があります。
騰落率
騰落率とは、投資信託の基準価額が一定期間において何%上昇・下落したかを示す指標です 。前日比のほかに、1週間、1ヵ月、3ヵ月、6ヵ月、1年、3年、5年など、さまざまな期間で見ることができます。
騰落率は、投資信託の収益性を測る基本的な指標です。ただし、騰落率だけで判断すると、短期的な値動きに惑わされる可能性があります。長期的な視点で見ることや、ベンチマーク(市場全体の動きを示す指標)と比較することが重要です 。
標準偏差
標準偏差とは、投資信託のリターン(収益率)のバラつき度合いを測る指標です 。この数値が大きいほどリターンのブレが大きく、小さいほどブレが小さいことを表しています。
標準偏差は、投資信託のリスク(価格変動リスク)を測る基本的な指標です。同じリターンでもリスクが低い方が望ましいので、標準偏差は小さい方が良いと言えます 。
シャープレシオ
シャープレシオとは、投資信託の運用効率性を示す指標です 。この数値は、リターンをリスクで割ったものであり、数値が高いほど運用効率が優れていることを表しています。
シャープレシオは、投資信託のコストパフォーマンスを測る有用な指標です。同じリスクでもリターンが高い方が望ましいので、シャープレシオは大きい方が良いと言えます 。
QUICK FUND RISK (QFR)
QUICK FUND RISK (QFR)とは、株式会社QUICKが公表する投資信託のリスク指標です。この指標は、ファンドの価格変動リスク(過去の価格変動の度合い)をTOPIX(東証株価指数)との相対評価で表したものです。
QFRは、リスク最小を意味する「QFR1」からリスク最大の「QFR5*」までの6段階に分類されます。TOPIX(東証株価指数)は「QFR3」に分類されますが、リスク値は「QFR3」と「QFR4」の境目に位置します。
QFRは、投資信託のリスクを感覚的に理解しやすくする指標です。自分のリスク許容度に合わせて適切なリスクレベルの投資信託を選ぶことができます。
まとめ 投資信託
投資信託とは、多くの投資家から集めた資金をプロの運用者が株式や債券などに投資し、その収益を分配する仕組みです。
投資信託は、募集方法や投資対象や投資エリアや運用方針などによってさまざまな種類があります。それぞれの特徴やリスク・リターンを理解して、自分の目的や期間やリスク許容度に合わせて選ぶことが大切です。そして投資信託を選んだ後も、定期的にそのパフォーマンスやリスクを評価し、必要に応じて見直すことが必要です。投資信託の評価や比較には、騰落率や標準偏差やシャープレシオやQFRなどの指標が役立ちます。それぞれの指標は、収益性やリスクや効率性などの異なる側面を示しているので、複合的に判断することが重要です。
投資信託は、自分の目的や期間に合わせて、リスクとリターンのバランスが良いものを選ぶことが大切です。また、運用コストや値動きの要因なども確認しておくことで、失敗を防ぐことができます。投資信託は種類が多くて迷うかもしれませんが、自分に合ったものを見つけて、資産運用に挑戦してみましょう。