CPI(消費者物価指数)とは?上がるとどうなる?株価への影響をわかりやすく解説

CPI(消費者物価指数)とは、消費者が日常的に購入するモノやサービスの価格がどのように変動しているかを示す指標です。簡単に言えば、「物価が上がっているのか下がっているのか」を測るためのものです。

この指数を使って、物価の変動がどの程度進んでいるかがわかり、経済全体の状態を把握するのに役立ちます。

この記事では、CPIの意味や日本とアメリカの比較、株価への影響を、株初心者向けにわかりやすく解説します。ぜひ最後まで読んでくださいね。

目次

CPI(消費者物価指数)とは? わかりやすく解説

CPI(Consumer Price Index)とは、「消費者物価指数」のことです。これは、消費者が日常的に購入する商品やサービスの価格が、前年同月や前月と比べて上がったか下がったかを示す指標です。

CPIは、物価の動きを確認するために使われる重要なデータで、その国の経済の状態を判断する手助けとなります。

米国CPIとは?

米国消費者物価指数(米国CPI)は、米国国内の物価の変動を表す経済指標です。毎月発表され、特に市場参加者や経済専門家に注目されています。

  • 総合指数:すべての商品の価格動向を示します。
  • コア指数:天候などの影響を受けやすい生鮮食品や、エネルギー価格の変動を除いた価格動向を示す指数です。

たとえば、米国CPIが前年同月比で2%を超える上昇を記録すると、物価が急速に上がっている状態とされます。通常、物価の上昇が2%以下であれば経済は安定して成長していると見なされますが、2%を超えると景気の過熱を示唆し、企業の業績悪化や個人消費の減少が懸念され、株式市場にもマイナスの影響を与えることがあります

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CPIと株式市場への影響

CPIは物価がどう変動しているかを示すだけでなく、インフレ率の把握にも役立ちます。物価が上がると、企業のコストも上昇し、企業業績に影響が出るため、株価にとって重要な指標となるのです。

たとえば、物価上昇(インフレ)が進むと、中央銀行は金利を上げることでインフレを抑えようとしますが、これが株価の下落につながることがあります。企業は金利上昇により借入コストが増え、業績が悪化しやすくなるためです。

CPIは「遅行指数」

CPIは、消費者の購入する商品やサービスの価格変動を基にしているため、実際の景気動向より数か月~半年遅れたデータとなります。これを「遅行指数」と呼びます。そのため、CPIの変動から将来の景気を予測するのは難しいという点に注意が必要です。

CPIが注目される理由

CPI(消費者物価指数)が注目される最大の理由は、この指数が前年同月比で2%を超えて上昇した場合、株式市場にネガティブな影響を与える可能性が高いからです。

CPIの上昇がどのように株式市場に影響を及ぼすか、流れを整理してみましょう。

  1. CPIが2%超で上昇する(景気の過熱)
    消費者物価が急上昇すると、物価が上がりすぎる「インフレ」が発生し、経済が過熱状態に入る兆しとなります。
  2. 中央銀行が金利を引き上げる
    経済の過熱を抑えるため、中央銀行は金利を引き上げることで、経済活動を抑制しようとします。金利が上がると、借り入れコストが増し、消費や企業投資が減少します。
  3. 銀行預金の魅力が増す
    金利が上がると、銀行の預金利息が増えるため、株式やリスクのある投資から現金や預金に資金をシフトさせる動きが強まります。
  4. 消費が落ち込み、企業業績が悪化
    高金利による消費の減少や企業の設備投資の縮小が進むと、企業の収益が悪化します。
  5. 企業の株価が下落
    企業の業績悪化が予想されると、投資家は株式を売るため、株価が下がりやすくなります。
  6. 株式市場全体も下落
    多くの企業で同様の現象が起こると、市場全体が下落し、投資家心理も冷え込むため、さらに売り圧力が強まりやすくなります。

なぜCPIが重要なのか?

株式投資をしている人にとって、企業の業績悪化や株価の下落は避けたいリスクです。このため、CPIの動向は、投資家にとって非常に重要な指標となります。特に、CPIの上昇が金利上昇に直結し、それが株価にネガティブな影響を与えるという流れが、CPIの注目度を高めているのです。

CPIは単なる物価の指標であるだけでなく、株式市場全体の動向を予測する材料としても役立つため、初心者の方でも定期的にチェックすることをおすすめします。

CPIの投資への影響は?

米国のGDP(国内総生産)の構成を見てみると、個人消費が約70%を占めています。政府支出や設備投資はそれぞれ20%以下です。これが意味するのは、米国経済は個人消費に大きく依存しているということです。そのため、物価が上昇して消費者の生活コストが上がると、個人消費が減少し、経済全体が停滞する可能性が高まります。

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このため、米国CPIの上昇は米国経済の停滞リスクとして見られ、株式が売られる傾向にあります。CPIの上昇は、企業のコスト増や消費減少を招き、企業の利益が減少することが懸念されるからです。また、急激な物価上昇(インフレ)は経済に悪影響を及ぼすとされているため、中央銀行(FRB)は金融政策を見直す材料としてCPIを注視しています。

インフレと金融引き締め

CPIの上昇=インフレ懸念となれば、FRBは金利を引き上げる「金融引き締め」を行う可能性が出てきます。金利が上昇すると、銀行の預金利回りが上がり、投資家はリスクのある株式よりも預金に資金を移す傾向が強まります。結果として、株式の魅力が薄れ、株価が下落しやすくなるのです。

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CPIと株価の関係

CPIが発表されると、その前後で株式市場が荒れることがあります。CPIが予想以上に上昇すれば、金利引き上げの期待が高まり、株価が下落することも多いからです。そのため、CPIの公表日を確認し、その前後での相場動向を注意深く観察することが必要です。米労働省のホームページには、次回のCPI発表日時が掲載されているので、投資家はチェックしておきましょう。

ただし、CPIが上昇したからといって必ずしも株価が下がるわけではありません。市場は事前に予想を織り込んで動くため、CPIの公表値が市場の予想と大きく異なった場合に株価が大きく変動することが多いです。したがって、公表値だけでなく事前の市場予測との比較を行い、相場の動きを予測することが重要です。

CPI金利株価
上昇 🔼上げ予想 🔼下落 🔽
下落 🔽下げ予想 🔽上昇 🔼

CPI(消費者物価指数)の種類と違いを解説

CPI(消費者物価指数)には3つの種類があります。それぞれ、「総合指数」「コア指数」「コアコア指数」と呼ばれ、物価の変動を段階的に詳しく分析するために使われています。以下の表で違いを整理します。

指数名概要
総合指数調査対象の全品目を含む指数。物価全体の動きを示す。
コア指数総合指数から、価格変動が大きい「生鮮食品」を除いたもの。
コアコア指数コア指数からさらに、外部要因で価格変動が激しい「エネルギー」も除いたもの。

3つの指数の違いとは?

  • 総合指数は、調査対象のすべてのモノやサービスの価格動向を反映しますが、価格が変動しやすい生鮮食品やエネルギーも含まれているため、一時的な値動きの影響を受けやすいです。
  • コア指数は、総合指数から生鮮食品を除いたものです。生鮮食品は天候や季節によって価格が変動しやすいため、物価全体のトレンドを読みやすくするために除外されています。
  • コアコア指数は、さらにエネルギーも除いた指数です。エネルギーは世界の情勢や原油価格などによって急激に変動するため、長期的な物価の動向をより正確に把握するために、この項目も取り除かれています。

コアコア指数が重要視される理由

3種類の指数の中で最も注目されるのがコアコア指数です。生鮮食品やエネルギーといった外部要因による一時的な価格変動を除いているため、経済全体の「本当の物価上昇」を捉える指標とされます。

例えば、エネルギー価格が急上昇したときに、総合指数やコア指数が上昇することがありますが、これは一時的な要因かもしれません。しかし、コアコア指数が上昇している場合、それは基礎的な物価上昇が進行していると判断され、長期的な経済のインフレ傾向を示している可能性が高いです。

なぜアメリカのCPIが重要?

特に注目されるのがアメリカのCPIです。アメリカは世界最大の経済大国であり、アメリカの経済状況が世界の景気に大きく影響を与えます。アメリカのCPIの上昇は、FRB(米国連邦準備制度)が金利を引き上げる可能性を示唆し、世界の金融市場に影響を及ぼします。

CPIの発表日

CPI(消費者物価指数)の発表は、アメリカと日本で決められた日程に従って行われています。下の表で、アメリカと日本の発表日を確認しましょう。

発表日
アメリカ毎月第2週目の木曜日
日本毎月第3週目の金曜日

もしCPIの発表日を毎月チェックしたい方は、これらの日程を覚えておくと便利ですが、無理に覚える必要はありません。多くの投資家は経済指標の発表日を便利なツールで確認しています。たとえば、マネックス証券の経済指標カレンダーを使うと、誰でも簡単に発表日を確認することができます。

CPI(消費者物価指数)の株価への影響

CPIが上昇すると、特に前年比で2%を超えた場合、株価にどのような影響を与えるのか気になるところです。ここでは、CPIが上がることで株式市場がどのように反応するのかを順を追って説明します。

CPIが上昇するとどうなる?

CPIが2%を超えて上昇すると、次のような流れで株式市場全体に下落圧力がかかることが一般的です。

  1. CPIが2%超で上昇する(景気の過熱)
    物価の上昇が2%を超えると、景気が過熱している可能性が高くなります。これにより、物価上昇が進むインフレ懸念が強まります。
  2. 中央銀行が金利を引き上げる
    景気の過熱を抑えるために、中央銀行(例えば米国のFRB)は金利を引き上げます。これを「金融引き締め」と呼びます。
  3. 銀行預金の魅力が高まる
    金利が上昇すると、銀行預金の利回りが良くなり、リスクを取らずに利益を得たい人々はお金を預金に回すようになります。
  4. 消費が落ち込み、企業の業績が悪化する
    人々がお金を使わずに貯蓄に回すと、消費が減少し、企業の売上が減ります。その結果、企業の業績が悪化することになります。
  5. 企業の株価が下落しやすくなる
    企業業績の悪化は投資家の不安を招き、株が売られるため、企業の株価は下落しやすくなります。
  6. 株式市場全体も下落しやすくなる
    主要企業の株価が下がると、株式市場全体が下落する傾向があります。

2%未満のCPIではどうなる?

一方で、CPIの上昇が2%に満たない場合、景気の過熱は起きていないと考えられ、中央銀行が金利を急激に引き上げる可能性も低くなります。このような状況では、株式市場に対してマイナスの影響は比較的少なく、株価が安定または上昇する可能性があります。

CPIの数値自体は重要ですが、その上昇率や状況によって株価への影響が異なるため、常に最新の経済状況を踏まえた判断が求められます。

CPIが下がるとどうなる?

CPIが2%を超えている状態から下がった場合、株式市場全体に好影響を与えることが多いです。

具体的に言えば、投資家たちは「これ以上の金利引き上げが行われないだろう」と考え、リスク資産への投資を再開する傾向があります。これにより、株価が上昇しやすくなるのです。

実際の株式市場での例

たとえば、2022年10月3日、アメリカで景況感が悪化しているという経済指標が発表されました。

これにより、「景気の過熱が抑えられており、CPIがこれ以上上がることはないだろう」という見方が広がりました。結果として、投資家たちは株式市場への投資を再開し、NYダウは上昇しました。

米CPIと投資家心理への影響

米国の消費者物価指数(CPI)の発表は、金融政策の方向性や市場の動向に大きく影響を与えます。

経済指標が金利や投資家心理を左右

最近、FRBのパウエル議長やECBのラガルド総裁は「金融政策はデータ次第」との姿勢を強調しており、今後の経済指標次第で市場が大きく動く可能性があります。たとえば、米国の雇用統計が予想よりも好調だったため、FRBがさらなる金融引き締めに動く可能性が強まっています。

「前月比」がカギを握る

CPI発表時に注目すべき点は、従来の「前年比」だけでなく「前月比」の数値です。

市場予想では、前年比ではインフレが加速する一方で、前月比では鈍化が見込まれています。この「前月比の鈍化」が確認されれば、投資家がリスクを取る姿勢を維持する可能性が高まりますが、もし予想外に「前月比も加速」するようなことがあれば、FRBがより積極的な金融引き締めに動き、株価が下落する可能性が高まります。

https://fx.minkabu.jp/indicators/US-CPI

なぜ「前月比」が重要なのか?

最近の米国のCPI予測では、総合指数が前年同月比で7.3%(12月は7.0%)、コア指数は5.9%(12月は5.5%)と、前年比ではインフレが加速する見込みです。しかし、前月比では総合指数が0.4%(12月は0.5%)、コア指数が0.5%(12月は0.6%)と、鈍化が予測されています。

米アトランタ連銀のボスティック総裁やイエレン財務長官も、インフレ圧力が徐々に弱まるかどうかを確認するために、「前月比」が重要だとしています。投資家もこの点に強い関心を寄せており、前月比の動向が市場に与える影響をしっかりと見極める必要があります。

まとめ CPI(消費者物価指数)とは?

これまで、CPI(消費者物価指数)の意味や種類、そして日本とアメリカの比較について説明してきました。CPIは、前年同月比で2%を超えると株式市場全体が下落しやすくなる重要な指標です。特に2022年10月時点では、世界中でCPIの上昇が続いており、投資家にとって非常に注目度の高い指標となっています。

今後もしばらくCPIが上昇する可能性があるため、CPIの意味を理解し、毎月の変動をしっかりとチェックすることが重要です。指標の確認には、マネックス証券の経済指標カレンダーを活用するのがおすすめです。これは、口座開設なしで誰でも無料で利用できる便利なツールなので、まだ使ったことがない方はぜひ試してみてください。

CPIの理解を深めることで、投資判断にも役立てていきましょう。

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この記事を書いた人

株式会社シュタインズ

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