市場規模が資金調達において重要な理由

自ら事業を進めているような起業家のような方は、投資家やVC(ベンチャーキャピタル)に資金調達の話を持って行った際、「市場規模は大きいですか」と市場規模の大きさについてよく言及されるのではないでしょうか?

まだトラクションはおろかプロダクトすらないスタートアップに投資する場合、事業・製品以外のチームや事業案の可能性で投資判断する必要があります。

つまり、市場規模が小さいとなると、会社の将来的な成長も小さいと判断されてしまい、会社の価値もそれに基づき決められてしまうことが多いです。

だからと言って「市場規模は大きいです!」と過剰にインパクトの強い説明をしたとしても、説明可能な根拠が伴っていない場合には、かえってネガティブな印象を与えてしまいます。

そのため、大きい市場を選んだ上で、市場規模をきちんと理解し、根拠立てて提示できることは重要です。

会社の株価の決まり方が知りたい方はこちらの記事で身につきます!

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市場規模の考え方・フレームワーク|TAM SAM SOM

市場規模といっても、いろいろあります。

「なにからすればいいかわからない!」という方は、フレームワーク的な考え方に沿ってまず進めてみることが始めやすいかと思います。そしてそれぞれが示す市場規模を理解して、根拠ある市場規模を理解しましょう。

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TAM SAM SOMとは?

  • TAM( Total Addressable Market):実現可能な最大の市場規模で、市場における製品またはサービスの総需要を示しています。
    例えば、とあるヘルスケアサービスの場合、世界的な医療費の高騰に関してや、日本の医療費50兆円の詳細などについてがTAMに当たるでしょう。TAMについては、多くの人が知っている事実が多いので、細かな説明は多くの場合で不要です。
  • SAM(Serviceable Available Market):TAMのうちの特定の顧客セグメントの需要を示している指標です。目標市場のシェアです。
    SAMを考える際に重要なことは、トップダウンではなくボトムアップで考えるということです。
    TAMとSAMは同じではなく、いかに大きなTAMに対しなるべく多くのSAMを取れるかが投資家への説明で重要になります。
    「数兆円の市場(TAM)の〇〇%がターゲット市場(SAM)になるので、数百億円の規模になります」という簡単なトップダウンの計算では満足ではありません。ボトムアップでの数字と組み合わせることで説得力ある数字にすることが大事です。

    ボトムアップで市場規模を計算するというのは、ターゲット顧客のプロフィールから、その顧客のサービスに対する支払い意思、そしてあなたがどのようにして市場を作り出し売っていくかまでを考慮に入れて分析・計算をするということです。
  • SOM(Serviceable Obtainable Market) :SOMは実際に自社が取得できるSAMの部分を示しています。
    SOMは短期的な売り上げの目標であり、重要な指標です。
    まずこのSOMが取れない場合はSAMやTAMをとることはできないと投資家は考えます。逆を言えば、短期間にSOMが取れていたり、取れるような兆候が見えている場合にはさらなる市場の拡大も期待できる判断されるでしょう。
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スタートアップの市場規模予想は難しい

すでに存在する既存プロダクトをより良くしたプロダクトの開発であれば、市場規模の計算は難しくありません。

しかし新しい技術を活用し、今はまだない、新たな市場を創出する場合にはその定義は非常に困難になります。

たとえばスマホがその例でしょう。
スマホが誕生したばかりのころに、世界で今ほどのスマホが使われるようになった状況を予想するのは難しいです。

新しいプロダクトの場合には、既存のどんなプロダクトを代替するものなのか、そして代替すべき明確で強い理由があるのか、さらに置き換えようとするユーザーはどのくらいいるものなのかを予測しなければなりません。
つまり、先進的なことを目指すスタートアップにとって既存市場のサイズを基準値として測定するということは、ポテンシャルのある新しいビジネスを過小評価してしまう可能性もあるのです。

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この記事を書いた人

株式会社シュタインズ
「テクノロジー×教育の研究開発」を事業の基盤に、現在は金融教育サービス事業「Moneychat(http://moneychat.life/)」の企画と開発を進める。

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