現代貨幣理論(MMT)とは?初心者にもMMTをわかりやすく解説!

最近メディアでも話題になっている「現代貨幣理論(MMT)」

ニュースなどで聞いて気になってはいたものの、難しそうなイメージがあるため、よく理解できていない人が多いのではないでしょうか?

そこで今回は、「現代貨幣理論(MMT)」について、初心者にも理解できるようにわかりやすく徹底解説いたします。

目次

日本の財政状況|現代貨幣理論(MMT)

2019年度末における国と地方公共団体の債務は1122兆円にのぼると試算されています。これはGDPの2倍、国家予算の11倍に相当します。2020年度の税収63兆円と比較すると、なんと17.8倍にもなります。

これを家計に例えると、手取り月収30万円で毎月38万円で生活費を支出し、過去の借金の利息支払い分も含めて、毎月17万円の新しい借金をしている状況に近いようです。

ここままの状況が続けば、子供に巨額の借金を残してしまうでしょう。

現代貨幣理論とは|MMTとは?

財務省の高級官僚から「ローン残高が539万円もある、月収30万円の家庭が、毎月17万円もの借金を続けて、給与を超える月38万円の生活をしているのが日本の状況」と言われたら、日本の財政は危機的状況という印象を受けますよね。

その中で最近注目されているのが、MMT(Modern Money Theory)= 現代貨幣理論です。

主権を有する政府が、自らの通貨について支払い不能になることはあり得ない。
政府が貸出や支出を行うことで通貨を生み出すのであれば、政府が支出するために租税収入を必要としないのは明らかである。

というのがMMTです。

つまり、自国通貨(日本なら円)であれば、政府はいくら借金しても支払い不能になることはないし、政府支出の財源としての税収も必要ない、という主張です。

借金が膨らめば、いずれ返済不能になり破綻するというのが一般的な考えですよね。しかし、MMTでは、そのようなことは起こらないと言っているのです。無理があるような理論にも感じます。

税は財源ではなく通貨を流通させる仕組みであるといったような、「税は国の収入である」といった従来の定説とは異なる考え方で、MMTは近年大きな話題をよんでいます。

MMTの主張

MMTは、数式を用いた抽象的な形で経済を説明することは基本的にはしません。MMTが依拠するのは現実の経済そのものです。

現実の経済にあって、MMTが立脚する基礎中の基礎が、

国家は自国通貨を自在に発行できる。

というものです。

現代国家では、政府と中央銀行に機能が分化しており、政府から独立した中央銀行が通貨を発行しています。とはいえ、中央銀行も国家の一機能であることに変わりはありません。よって、「国家は自国つうかを自在に発行できる」という命題は否定しようがありません。

国家は、自国通貨を発行できるとはいえ、それが流行しなければお話になりません。従来の経済学では、第三者が受け取るであろうから貨幣が流通すると考えられていました。

一方、MMTでは「租税が貨幣を動かす」と考えます。
これは国家への納税を、国によって発行された通貨で行うよう国民に義務付けることで、貨幣が流通するという考えです。

この場合、貨幣を流通させるにあたり、最初に貨幣を支払うのは国でしょうか納税者でしょうか?
納税者は貨幣がなければ税を支払えません。よって国民による財やサービスの提供に対して国家が先に貨幣を支払うことになります。

国の支出が先だとすると、国家の財源は租税収入だという一般的な通年が通用しなくなります。国家は自在に通貨を作り出せるので、財源を税収に頼る必要はないというわけです。

中央銀行の経済政策などでは市場に流通する貨幣(資金)の供給量を増やせば消費活動が増えて市場が活性化し、減らすと過熱し過ぎた市場を正常化する効果がある、という前提があります。

一方、現代貨幣理論(MMT)は逆の考えです。
社会が好景気となり、お金を借りて事業を発展させたい人が増えた結果として貨幣の量が増加する、という考えです。判断は人それぞれですが、中央銀行や政府の先導のもと世の中の経済がコントロールされる、という考え方よりもこの「使う予定があるからお金を借りる人が増える」という現代貨幣理論のロジックの方が合理的に感じる人も多いかもしれませんね。

MMTでは租税は不要?|現代貨幣理論(MMT)

それでは租税は不要なのでしょうか?

租税制度があるから、納税者は働いて貨幣を手にし、その貨幣で納税義務を果たしますので、租税は、「貨幣を動かす」ために必要不可欠です。

MMTには、「税があるから貨幣が流通する」という考えがあります。
円やドルといったそれぞれの国の流通貨幣は、価値があるものとして信用されています。では、そもそもなぜ価値があるものと社会で考えられているのでしょうか?

その理由を「国家への納税手段に使えるから」とするのが現代貨幣理論の「租税貨幣論」です。

また、国家が自国通貨を自在に作れるとしたら、国家財政の歳入と歳出から生じる赤字も過度に心配する必要がありません。そもそも自ら作り出せるお金を借りるということ自体がおかしな話です。

なら、お金をどんどん作ればいいじゃん。と思いますよね?

国はお金を作れるといっても、もちろん制限はあります。

例えば、一気に大量の通貨を供給すれば過剰なインフレが進行して貨幣制度を破壊してしまいます。よって、国は自国つうかを自在に発行できるが、節度なく発行することをMMTが推奨しているわけではありません。

国民が貨幣で納税するためには、先に国家が支払いを行わなければなりません。
税収は国にとって「支払ったお金が戻ってきただけ」だともいえます。これがMMTの基礎の考え方です。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

シェアして知識を定着させよう!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

株式会社シュタインズ
「テクノロジー×教育の研究開発」を事業の基盤に、現在は金融教育サービス事業「Moneychat(http://moneychat.life/)」の企画と開発を進める。

目次