主観的幸福感を高める!経済学はもともと幸福を追求する学問?

幸福の経済学という分野が10年ほど前から盛んに研究されるようになっています。

幸福の経済学は、1970年ごろからヴァン・プラーグなどによるライデンアプローチが研究していたという経緯があります。

経済学は社会的厚生を高めることを目標としています。
社会的厚生とは、幸せの程度のことを広く指します。経済学は個人が効用を最大化することを当然のこととしていますが、効用とは満足感のことであり、幸福の程度とも言えるでしょう。

つまり、経済学はもともと幸福を追求する学問なのです。

目次

幸福の経済学とは?

幸福の経済学とは、簡単にいうと「主観的幸福感」を用いる経済学です。

自分がどのくらい幸せであるかの自己申告です。

とはいえ、こういった調査は何十年も前から、いろいろな社会調査で行われてきましたし、社会学や心理学では分析対象とされていました。

しかし、主観的幸福感の数値は、客観的な比較の基礎を欠いています。
「幸福度が5です」と答えた人より、「幸福感が6です」と答えた人の方が、幸福である保証はどこにもありませんよね。

ある人がある人よりも幸福であるというのは、どのように定義したらよいかが明確ではないのです。

お金の量ではなく、使い方で幸福感が高まる

たとえば、寄付やボランティアをして、独特の幸福感を得た経験がある人もいるのではないでしょうか?
経済学的に見れば、ボランティアは金銭的にも時間的にも「損」をしています。それなのに、なぜ満足感や充実感、そして幸福感が高まった気がするのではないでしょうか。

科学的にお金と幸せを決めるものはお金以外にあることが報告されています。

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幸せを買う方法|お金と幸せ

TEDのスピーチ「幸せを買う方法」でも説明されている実験を紹介します。

この実験では、5ドルか20ドルを参加者に朝に与えて午後5時までに、使うように指示されます。

それぞれのグループは無作為にさらに2グループに分けられ、一つのグループは自分のために、もう一つのグループはほかの人のために使うように指示されます。

そのとき、ほかの人のためにお金を使うほうが、幸福度が有意に上昇したのです。
一方で、5ドルか20ドルかという金額は、幸福度の上昇に有意な影響を与えませんでした。

この研究では、さらに同じ大学の別の109人の学生たちを対象に、先の実験の4つの条件で、どの条件なら自分が最も幸福になるか予測させてます。

結果として、学生たちの予測は2重に誤っていたことがわかりました。統計的に有意なより多数の参加者たちが、自分のためにお金を使うほうが、ほかの人たちのために使うよりも自分は幸福になると予想し、また、20ドルを使うほうが、5ドルを使うよりも幸福になると予想しました。

つまり、学生たちは自分たちの幸福度の決定要因について、正しく予測していなかったということになります。

寄付をすると幸福度が高まる|お金と幸せ

東日本大震災の震災後には、実は多くの日本人の幸福度が上昇しています。

その理由としては、震災後に多くの人々の利他性が上昇して寄付をしたことが挙げられています。寄付をすることにより幸福度が上がる、ということは、贈与や寄付などの行動が幸福度に与える影響の因果関係を調べたブリティッシュ・コロンビア大学の心理学者のエリザベス・ダンとハーバード大学のマーケティング学者のマイケル・ノートンらが、2008年に『サイエンス』誌に研究を発表しています。

自分のためにお金を使っても幸福になるわけではないということは、幸福の経済学で有名なイースタリン・パラドックスにも関係していると思われます。

イースタリン・パラドックスとは、幸福の経済学の先駆者のリチャード・イースタリンが1974年に発表した論文で発見したものです。一時点のデータを見ると、所得の高い人たちのほうが、幸福度が高い傾向があるのに、一国が経済成長して所得が上がっていっても、幸福度はほとんど変化しないのです。

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利他性と幸福感|お金と幸せ

シカゴ大学の経済学者のケーシー・マリガンは、1997年の著書で親が子供と長く時間を過ごすほど家族内の利他性が増すと発表しています。

東日本大震災を契機に利他性が増したという事実がありますが、このように利他性も大人になってからでも獲得していくことができるのです。

使命感や利他性を子供のときから考えられる、それらをベースに行動ができるように、適切な教育を今度の日本の発展において重要と言えるだろう。

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この記事を書いた人

株式会社シュタインズ
「テクノロジー×教育の研究開発」を事業の基盤に、現在は金融教育サービス事業「Moneychat(http://moneychat.life/)」の企画と開発を進める。

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