サンリオと聞いて、あなたはなにを思い浮かべますか?
ハローキティ、マイメロディ、シナモロール…。世界中で愛されるキャラクターたちは、単なる”かわいい”存在ではなく、もはや日本の誇りです。そして、企業分析をする投資家にとって、サンリオは”感性”と”数値”の狭間にあるユニークな存在でもある。
この記事では、サンリオファンであり投資家でもある筆者の視点で、データサイエンスとファイナンスの視点を掛け合わせ、同社の業績を分析していきます。前半にサンリオの魅力(質的評価)、後半には業績やデータ(量的評価)から分析と解説を行います。
キャラクター人気の波、ライセンスビジネスの可能性、さらにはグローバル展開の成否——これらを定量的・定性的に捉えながら、一緒に「サンリオの未来価値」を探ってみましょう!
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株式会社サンリオ(8136)とは?
株式会社サンリオ【8136】(Sanrio Company, Ltd.)は、1960年8月10日に設立された日本の企業で、本社を東京都品川区大崎に構えています。
同社は「ハローキティ」や「マイメロディ」など、世界的に人気のあるキャラクターを生み出し、キャラクターグッズの企画・販売、ライセンス事業、テーマパーク運営など、多岐にわたる事業を展開しています。
サンリオは、世界中の人々に「みんななかよく」という企業理念のもと、笑顔と幸せを届けることを目指しています。

サンリオが世界中に届けば、世の中から戦争は無くなると思いたいのだ!芝浦工業大学名誉教授の大倉典子先生も、「かわいいは世界の争いをなくす」と言っているのだ!(「かわいいは世界の争いをなくす」女性感性工学者 69歳 東大を出ても「女性は高卒待遇」から大学教授に)
事業内容|サンリオ
サンリオの事業内容は以下のとおりです。
- 物販ビジネス:直営店や百貨店のサンリオショップ、量販店・専門店への卸売、Eコマースなどを通じて、ギフト商品の企画・販売を行っています。
- ライセンスビジネス:自社キャラクターの著作権許諾・管理を行い、他企業とのコラボレーションや商品化を推進しています。
- テーマパークビジネス:東京都の「サンリオピューロランド」や大分県の「ハーモニーランド」といったテーマパークを運営し、キャラクターの世界観を体験できる場を提供しています。
- その他ビジネス:教育事業、VR事業、デジタルコンテンツの企画・販売、レストラン・カフェの運営など、多様な事業を展開しています。
サンリオに興味があまりない人は、サンリオはピューロランドやグッズ販売くらいしか事業が思いつかないかもしれませんが、実は教育事業やメタバースでのイベント「サンリオVfes」など幅広く事業展開しています。
また、マイメロディの『論語』、ぐでたまの『資本論』など、子どもにもわかりやすい哲学書の制作や販売も行っています。
また、それぞれのキャラクターのYoutubeチャンネルも人気で、正直、それぞれのキャラクターがファンを獲得している様子は、下手なVtuberよりも国内外問わず長く圧倒的な人気を誇っています。
歌ってみたシリーズもあります。
筆者個人的には、日本では人気がイマイチですが特に南米から絶大な人気を誇る『アグレッシブ烈子』を推しています。
サンリオが人気の秘密
決算や業績の分析をしていきたいのですが、その前に、そもそもサンリオが人気な理由について、筆者の考察を共有いたします。
最新の決算(2025年3月期 第3四半期 決算説明資料)を見るだけでも凄まじいのですが、まずはこの記事(前編)としては、業績や数字等よりもサンリオの魅力(質的評価)について語らせてください。


サンリオは、長く愛され続けるキャラクター生み出した代表的な企業です。2019年に誕生から50周年を迎えた「ハローキティ」を筆頭に「マイメロディ」や「ぐでたま」など、これまでに生み出したキャラクターは450を超えています。
50周年を記念した際には、渋谷に完全没入体験イベントも登場しました。




こうして、サンリオのキャラクターが商品・サービスを通じて人と人をつなぐことで、その関係性をより良くするというユニークな価値を提供しています。人と人をつなぐ『モノ』や『場所』を展開し、唯一無二の体験の場にサンリオがあるのです。
また、キャラクター総選挙が行われ、50を超えるサンリオキャラクターの中から選ばれたキャラクターがエントリーし、WEBやサンリオショップなどからの投票数により順位を決定します。
この総選挙は誰でも簡単に参加でき、好きなキャラクターに投票して応援することができます。
また、新キャラについても企画の中でファンが投票し、デビューするかどうかが決まったりもします。
こうしたファンとの繋がりを通し、みんなで『キャラクターを育てる』ことができるのがサンリオの楽しみ方の一つです。育てたキャラクターは最終的にライセンスアウトを行い、さまざまな企業のお手伝いや更なる商品の開発などでサンリオのビジネスを伸ばす要素になります。そのままIPビジネスにつながっていくのですね。
サンリオショップをはじめ、“キャラクターに会えるテーマパーク”のサンリオピューロランド、Instagramの流行により需要が増したキャラクターカフェなど、ファンはリアルも接点を持つことができます。
また、デジタル面では、公式サイトやオンラインショップ、SNSなど用途別に顧客接点を用意してあり、最近ではVRChat(メタバース空間)にバーチャルピューロランドを作成し、そこでイベントを行っています。これが大人気なのです。
それぞれ顧客体験に違いが出ないよう、サンリオの世界観を合わせているところも、細かく配慮がされていて素晴らしいと感じます。




また、最近ではサンリオからもアバターの販売がスタートしました。VRを日々しているVR民(筆者含む)からすると、かわいいアバターは人気・話題につながる大きな要素です。








実は、筆者が2020年に友人と作成したメタバース上の学校「私立VRC学園」もサンリオコラボさせていただきました。
サンリオは子どものためだけじゃない
特に男性からすると、サンリオは子ども向けのコンテンツのように感じるかもしれませんが、全くそんなことはありません。
見た目のかわいさに騙されてはいけません。アニメの内容やセリフは、むしろ大人に刺さるようなクリティカルなものが多いです。
また、筆者推しの『アグレッシブ烈子』は、世界中の働く女性たちの共感を得ています。
アニメでは普段は大人しくゆるふわタッチで描かれる烈子が、キレるとデスメタル調の作画になって人格が豹変するメリハリの効いた演出。監督のラレコが担当するデスボイスもインパクト大で、「部下に仕事 丸投げ 定時退勤 クソ上司」という歌詞など、今までのサンリオキャラクターにない尖りまくった表現で働く女性たちから大きな共感を得ているところが面白い。
デスメタルでスッキリしたあとの決め台詞は「明日もがんばれっさー!!」。切り替え上手な烈子に自分を投影し、明日の仕事への活力にしている女性も多いのかもしれません。
デスメタルというのも海外に受け入れやすい文化ですし、動画を見た海外の反応を見ると、「20代前半の頃のオフィスでの日常を思い出したわ」「本当に私の様だ」「私もデスメタルのカラオケで怒りを発散したいわ」など共感の声が相次いでいます。アニメに描かれるような仕事への不満や苦痛は万国共通であるのかもしれません。
また、サンリオの代名詞でもあるハローキティは女の子たちの“幻想”を描いているのに対して、アグレッシブ烈子は女性たちの“現実”を描くことで、全く違った視点から世界中の女性たちの支持を集めているのも興味深いです。
また、大人になってからも、自分自身がサンリオに興味がなくても、親になってから、サンリオに関するプレゼントなどは、子どもや孫へ安心して与えられるものになるでしょう。このように長期にわたるエンゲージメント作りもサンリオは考えているのです。
キャラクターや世界とファンのつながり
サンリオの世界観やキャラクターを表面だけ見ると、それを提供しているだけのように見えますが、「つながり」というのは、なにも人と人が繋がることだけではありません。人とモノ、人と場所がつながることでも心理的安心感を得ることができます。これは孤独感の解消にもつながると思います。
サンリオでは、SNSをファンとの絆をより強固なものにするための有効なツールと位置づけ、積極的に活用しています。活用しているSNSはTwitter、Facebook、LINE、Instagram、YouTubeなどで、40以上もアカウントがあるようです。
Twitterでは、キャラクターごとにアカウントを設定しています。
「ぐでたま」は100万フォロワー、「シナモロール」は97万フォロワーと人気で注目の的になっています。
その人気の秘密はファンが抱くイメージを裏切らない運用をすることです。
また、各Twitterアカウントの特徴は「一人称ツイート」であること。これにより、キャラクター自身が発信しているように見えます。この方法は運用が属人化するリスクがありますが、エンゲージメント率、ブランドロイヤリティが圧倒的に高いそうです。
コーポレートアカウントでも、ファンの気持ちに配慮しています。
コーポレートアカウントはその性質上、広報的な側面が強くなり、イベントや商品情報などを掲載することが多くなりますが、営業的な内容を押しつけないようなコンテンツにしているそうです。
キティのLINEアカウントも人気が高く、ブロック率が低いことが特徴です。
ファンに気に入ってもらえるようなOne to One 型のメッセージを配信したりして、身近に感じてもらえるように努めています。



LINEスタンプが豊富だったり、キャラクターが人気だからこそいろんなビジネスに展開ができているのだ!
加えて、SNSによってコミュニケーションのファスト化もサンリオの事業を後押ししていると筆者は考えています。
顔のない抽象的な対象と関係を作るのは困難です。しかし、江戸時代の日本人はのれんを使って商売の信用を獲得していきました。のれんは今でいう、企業のSNSアカウントのようなものだと思います。のれんによって、人々に認知され、コミュニケーションや信頼を構築するのです。


サンリオのキャラクターたちも、企業目線だとある種、のれんのような役割なのだと思います。
結論から言うと、キャラクターがコミュニケーションに効果的なのは、無機質な組織や商品に対して、楽しさや面白さといった感情、精神性、物語生を与えるメディアだからです。
本来、広告とは商品を売るためのものではなく、ブランドの思想を伝えるべきものです。しかし、日本の広告にはその思想が明示されていません。つまり、日本のブランドには思想がなく、中心が空っぽだというのです。仮にブランドの思想を言語化しても、いつの間にかそれが悪い意味での「お経」と化し、原理原則が揺らいでしまう。
言語哲学者のウィトゲンシュタインが唱えた言語ゲーム論でいうところの「一次ホール」であるブランド・エッセンスを遵守することが困難で、「二次ルール」である市場への適応を優先してしまう。したがって、ブランド・コミュニケーションも当然、継続性や一貫性がなかなか保てません。そうすると、ブランドのキャラクターは、確立することがますます難しいとく悪循環になる。
一方で、サンリオはどうでしょうか?
SNSの運用方法も含めて、商品を売るためではなく、ブランドや世界観を伝え、そして、人々の心理をキャラクターに投影することでコミュニケーションを構築しています。
サンリオキャラクターの人気が衰えないのは、このようなSNSや店舗などでのファンコミュニケーションの努力があるからなのですね。
「サンリオ+」を通した、ファンとのコミュニケーション
「サンリオ+」はサンリオのポイントサービスですが、単なるポイントサービスではありません。なんと、好きなキャラクターを設定できます。
設定したキャラクターを見た店頭スタッフが「私と同じキャラクターを設定していますね」と声をかけたことがあるそうです。このように、「サンリオ+」を通して、お店とファンとのコミュニケーションが弾んだ例です。



スターバックスが当初図っていたお客さんとのコミュニケーションに近いものを感じるのだ。
また、誕生日にはバースデースマイルプレゼントやキャラクターからお祝いメッセージも届きます。これにより、ますますキャラクターへの愛着が深まります。
実は、以前のサンリオでは、店頭販売、オンラインEC、テーマパークなどなどで会員システムがバラバラになっていて、顧客の全体像が把握できず、効果的なマーケティングが行えていませんでした。
そこで、2020年7月から「サンリオ+」を導入して、各種サービスを統合しました。
その結果、顧客情報の一元管理が可能になり、より充実したサービスを提供できるようになりました。
推し活でピューロランド V字回復!
忘れてはいけないのが、ピューロランドのV字回復です。
詳しいことはこちらのnoteで解説されています。
「黒字化不可能」と言われたテーマパークが、わずか2年でV字回復しましたが、そこには、子どもと家族向けからメインターゲットを「大人の女性向け」に変更したり、アニメや2.5次元俳優を使ってミュージカルの開催で、今や大人気なテーマパークとなりました。
また、ピューロランド内のフードコートで食べることができるメニューも、インスタ映えするフードに進化しました。こうしたことで口コミが一気に広がり、筆者の外国の友人も「日本に行ったら絶対に行く!」と言っていました。実際、外国人客も増加しているようです。




かわいい文化に関する分析と考察|サンリオ
少し踏み込んで、学術的な視点からもサンリオが作り出したといっても過言ではない日本の「かわいい文化」について、投資家やビジネスマンのみなさん、そうでないみなさんにもわかりやすいように解説いたします。



かわいいものに興味がない人にも、なぜかわいいの文化が長く愛されているのかを、客観的にわかりやすく解説するのだ。
「かわいい」は単なる属性ではない——ビジネスの武器である
「かわいい」という概念は、単なるキャラクターの見た目や装飾の問題ではなく、心理学的・生理学的に影響を及ぼす強力な感情です。
心理学の研究によれば、「かわいい」とは対象の持つ属性ではなく、それを見たときに私たちの中に生まれる感情であると言います。「かわいい」は元々感情状態を表す語だったのです。
たとえば、赤ちゃんや動物の「ベビースキーマ」(大きな目、丸い顔、小さな体)を備えた対象は、私たちに接近動機を引き起こし、ポジティブな感情を生みます。
実際、赤ちゃんを見て「かわいい」は、赤ちゃんの属性だけを表現しているのではなく、赤ちゃんを見たときの心の状態も表しています。赤ちゃんの顔を見ると見ている人の顔の温度が本当に上がることも観測されています。
そして、「かわいい」は元々感情形容詞でしたが、対象の属性を表しても使われるようになったので、「かわいくないけど、かわいい」という矛盾した表現ができるのです。
かわいいを英訳すると「cute」と思う人が多いですが、近年では「かわいい = kawaii」と使われることも増えました。
つまり、cuteは対象が持つ属性、kawaiiは抱く感情。cuteがplesureに変換された後はkawaii。
かわいい(kawaii) ≒ cute + pleasure
というのが、筆者の考えです。
英語にはかわいいものを見たときの感情を表す言葉がないので、Awwという表現が多いです。Awwは英話の感嘆詞です。
サンリオのキャラクターデザインは、偶然か必然化、まさにこの心理学的メカニズムに最適化されており、私たちの「かわいい」という感情を最大限に引き出すように設計されていると感じます。
サンリオの「かわいい」と「共感」を収益化する仕組み
サンリオの成功は、単にキャラクターを生み出すことではなく、「かわいい」という感情を持続的に発生させ、それをビジネスに結びつける仕組みを構築している点にあります。
- ライセンスビジネスの成功
サンリオのキャラクターは、世界中の企業とライセンス契約を結び、多様な商品に展開されている。これは、サンリオが単なる物販企業ではなく、「かわいい」をブランドとして貸し出すビジネスであることを示している。 - 接近動機を生み出すテーマパーク戦略
サンリオピューロランドのようなテーマパークは、心理学的に「かわいい」という感情が持続しやすいリアルな体験を提供し、ファンのエンゲージメントを高めている。 - 社会的接続を生むキャラクター設計
「かわいい」は単なる見た目ではなく、社会的なつながりを生む力を持つ。- 例えば、シナモロールやポムポムプリンは「ゆるさ」や「親しみやすさ」を前面に出すことで、人間関係の中で共有されやすくなる。
- こうしたキャラクターはファン同士のコミュニティを形成しやすく、ブランドロイヤルティを強固にする。
「かわいい」は持続的競争優位性を持つのか?海外での人気は?
サンリオは、かわいいや共感を活用することで、他のキャラクタービジネスと一線を画しています。では、投資対象としての魅力はどうなのでしょうか?
- キャラクタービジネスの強み:ブランドの資産価値が高い
サンリオは、ディズニーやピーナッツ(スヌーピー)と並び、長期的にキャラクターの人気を維持できるポテンシャルを持つ。これは、ベビースキーマを活用したデザインが、人間の生得的な「かわいい」感情を刺激し続けられるからだ。 - 世界的な「Kawaii」文化の拡大:海外展開の成長余地
近年、日本発の「Kawaii」文化は欧米・アジア市場で急拡大している。心理学的に見ても、「かわいい」ものを求める欲求は社会的なつながりを強化するために存在し、デジタルコミュニケーション時代においてますます重要になっている。 - リスク要因:トレンドの変化とデジタル化
一方で、「かわいい」のトレンドには変動がある。時代によって求められる「かわいさ」は変化するため、サンリオが新たなキャラクターを生み出し続けることができるかどうかが鍵となる。また、NFTやメタバースといったデジタル領域での競争にも対応する必要がある。
特に、日本のお家芸でもあった自動車産業は、以前ほどの元気が現在は感じません。
一方で、サンリオのような日本独自の文化でブランドとしての価値も高めている文化が、これからは日本のお家芸になると筆者は考えています。
ちなみに、筆者は2016年ごろから5年ほど東欧のエストニアという国で生活をしていました。エストニアは人口130万人というとても小さな国ですが、かわいいショップが3店舗と増加し、サンリオの人気も高いのです。こんな国にまで届いているのです。


かわいいものに注目する傾向は、日本では平安時代からありました。
少納言や紫式部。土佐日記に至っては、紀貫之が女性に託して仮名文字を使っています。おそらく硬い漢字では表現しきれなかった心の動きを、仮名文字で描こうとしたのでしょう。「かわいい」文化を語るときに必ずと言っていいほど「枕草子」が取り上げられます。
ビジネスの世界はよく知りませんが、科学の世界で一位になるのは、洗の二つのルールさえ守れば比較的簡単です。それは「土を自分で作ること」と「その土の存在を周囲に認めてもらうこと」です。それが難しいことでもあるのですが……。
一方で、「かわいい」という土は、日本が本家・先進国として自信を持って主張できるはずです。
海外のセレブからも人気
サンリオは海外のセレブからも大人気です。
実際に、レディーガガやケイティペリー、パリスヒルトンなど、多くのセレブがサンリオのファンであることを公言しています。
小さなことかもしれませんが、これってとても重要なことだと筆者は感じています。なぜなら、いわゆる今でインフルエンサーが勝手に宣伝してくれるということです。その辺のインフルエンサーレベルではありません。
アメリカ選挙などでは、例えば、若者に人気の歌手や俳優(テイラースウィフトなど)が、どの政党を支持するかで、若年層の投票が流れるほどの影響を持っています。
こうしたことから、自分の好きな有名人がサンリオのグッズを身につけていたら、ファンはそれに憧れて同じものを持とうとしますよね。
日本人がキャラクターを愛する理由
日本のキャラクター文化は、欧米のそれとは根本的に異なる特徴を持ちます。
- アメリカのキャラクターは、ディズニーのように表情豊かで、強く、個性がはっきりしている。スーパーマンやスパイダーマンのように、人間に近いリアルな体型を持ち、自己主張が強い。
- 日本のキャラクターは、無表情でシンプルなデザインが多く、観る側の感情を投影しやすい。これは「換喩的キャラ」とも呼ばれ、サンリオのキャラクター(ハローキティやシナモロール)のように、見る人の心の中で補完される存在として機能する。
また、日本発のキャラクターの多くは、以上に大きい目、奇抜な髪の色など人間をかなり強烈にデフォルメしています。現実の世界をストレートに映し出すのではなく、独自にデフォルメされた隣接した世界を作ることが主流です。
一方で、アメリカのキャラクターは人間をベースにすることが多いです。
この違いは、日本人の心理的特性や文化背景に深く根ざしています。日本人は他者と近すぎる関係を避ける傾向があり、キャラクターにも「自分の感情を投影できる無機的な存在」を求めます。つまり、キャラクターに「安らぎ」を求めるのです。
「不完全さ」が魅力になる文化
日本では、家電やテクノロジーの分野では「完璧」が求められる一方で、キャラクターやアイドルには「ゆるさ」や「不完全さ」が求められます。
- 完璧すぎないことが親しみやすさを生む
たとえば、欧米のスーパーヒーローは完璧な肉体と能力を持つが、日本のキャラクターはどこか抜けた部分があり、成長する余地がある。 - サンリオのキャラクターも「完璧ではない」
ハローキティには口がなく、シナモロールはフワフワした形状をしている。これは、見る人が感情を投影しやすいように意図的にデザインされている。
この「不完全さを魅力にする文化」は、日本のキャラクター産業を支える重要な要素となっています。



実はこれ、「ちいかわ」や「すみっこぐらし」などにも言えることなのだ!


「キャラクター = 神」? 日本におけるキャラクターの精神的な役割
欧米では、キリスト教的価値観に基づき、神は絶対的な存在であり、人間よりも高位にあります。
しかし、日本では、地蔵や道祖神のように「親しみやすい神」が古くから信仰されてきた歴史があります。
サンリオのキャラクターは、こうした「身近な神」としての役割も果たしている可能性があると、筆者は考えています。
- 欧米のスーパーヒーローは、世界を救うために戦うが、サンリオのキャラクターは「寄り添う」「癒す」ことを目的としている。
- 日本では、キャラクターが精神的な支えや安心感を与える存在となり得るため、大人になってもキャラクターを消費する文化が根付いている。
日本は先進国では珍しくアニミズムを持つ続けています。アニミズムとは、動物や植物はいうにおよばず、岩、山、川などにも霊魂が宿っているという考え方です。
欧米には、アニミズムのような考え方はあまりみられません。生物は生物、非生物は非生物、と区別がはっきりしているようです。欧米人が臓器移植に比較的抵抗がないのも、生きているものとそうでないものを峻別するからでしょう
一方、昔から山や岩でさえ生命を持った霊的存在として大切にしてきた日本人の場合は、「死んだ」とわかっていても、その人に対する愛情などが残るため、死者からの臓器提供には抵抗感が強いと考えられます。
このように、日本人はモノに霊魂を認めてきた歴史から、人格を持った実在しない「何か」を創造することが得意です。しかし欧米では、キャラクターも人間になってしまう。
また、日本では大人と子供の世界が連続しています。しかもそれは、欧米でいえば「子供」の世界に近いものです。
欧米には、大人と子供の世界にはっきりとした境界線があります。フランスの代表的歴史家フィリップ・アリエスの『子供の誕生』でよく知られているように、中世西欧社会において、子供は小さな大人でした。それが近代にいたると、子供は、大人への不完全で未成熟な過程にすぎない存在とされたのです。
日本では子供と大人の境界がはっきりしていないからこそ、本来、子供のものとされていたアニメや漫画、キャラクターなども大人が楽しめるのです。ですから、日本人は子供のような発想を持ったまま、クリエーターとして制作にかかわれる。この自由さが、欧米のクリエーターには魅力的にみえるそうです。
キャラクターとビジネス:サンリオの投資価値
では、この文化的背景を考慮したとき、サンリオのビジネスモデルはどのように優れているのでしょうか?
- キャラクターを「感情の媒介者」として活用できる
- 企業は、サンリオのキャラクターを通じて「楽しさ」「親しみやすさ」を顧客に伝えることができる。
- これはマーケティングの強力な武器であり、コラボレーション(例:マクドナルドのハッピーセット、ファッションブランドとのコラボ)にもつながる。
- 「大人×キャラクター市場」の拡大
- 日本では、大人がキャラクター商品を消費することが許容されているため、市場規模が広い。
- 実際に、サンリオの売上の多くは大人向けのライフスタイル商品から生まれている。
- デジタル化と「キャラクターの人格化」
- AIやメタバースの発展により、キャラクターが「人格を持つ」時代が来ている。
- サンリオは、こうしたデジタル領域での成長余地を持っている。例えば、バーチャルキャラクターの接客や、癒しを提供するデジタルコンテンツの開発が考えられる。
このサンリオ独自のビジネスモデルは、単なるグッズ販売を超えて、まだまだ、企業ブランディングやデジタル市場にも展開できるポテンシャルを秘めています。
投資家としては、サンリオのキャラクターが今後どのように世界中で「人格化」され、新たな市場を生み出すかを注視すべきだと思います。
今後、サンリオがやったら面白そうなこと|高齢者にとってのかわいい
サンリオが各年代や海外からも大きな人気がありますが、ショップなどに行くと、どちらかといえば若年層のお客さん、女性の客が多いと感じます(おじいちゃんも意外といますが!)。
特に日本は、高齢者社会のなので、高齢者にとっての「かわいい」「IP」を考えてもおもしろいのではと思いました。
どうやら年を取っていくと、見た目からかわいさを感じることは減り、相手との関係性によってかわいさを感じるようになっていくようです。
見た目が重要でなくなるという傾向は、加齢に伴う視覚機能の低下(老眼や色覚の変化)とも関係しているのかもしれません。老眼によってピントが合いにくくなるだけでなく、水晶体(目のレンズ)が白濁・黄変することにより、明るさが失われ、色の鮮やかさが失われます。ピンク色も褐色を帯びて見えるようになります。若いときは視覚優位だった「かわいい」が、別の形に変化するのかもしれません。
こうした知見は、今後、ロボットの開発など、高齢者と社会的関係を結ぶ仕組みを作るときに役立つでしょう。若者にアピールするには、見た目を幼くキュートにすれば、短期的に一定の効果を上げることができます。ロボットの開発者には若い人が多いので、どうしてもその方向が強くなると考えられます。
しかし、同じ方法は高齢者には当てはまらないかもしれません。見た目で短期的に勝負するのではなく、長い時間をかけて関係性を作り、「かわいい」感情を育てていく。それが高齢化社会における「かわいい」の一つの望ましい姿です。見た目ではなく、存在感とか触感のようなものが、より重要になってくるかもしれません。
キャラクターや世界観との結びつきに強みがあるサンリオは、今後の高齢化社会に向けて、高齢者向けのビジネス展開も可能なのではないでしょうか。
まとめ:「かわいい」をビジネスやコミュニケーションとして活かすサンリオ
サンリオの成功は、「かわいい」という感情をただのデザインではなく、収益に結びつけるビジネスモデルに落とし込んでいる点にあります。
また、心理学的な研究が示すように、「かわいい」には人を引きつけ、行動を促す力があり、サンリオはそれを最大限に活用できています。
また、そのマーケティングについても、近年よく見る、ユーザーをハックし、依存させて、弱者からデータやお金を吸い上げるという方法に使うのではなく、顧客一人一人に寄り添い、一緒にストーリーを築き上げていくという点が、長くサンリオが人々から愛されている理由なのではないでしょうか。
投資家としては、サンリオの「かわいい資産」が今後も持続的な競争優位性を維持できるか、IPや海外戦略、また、デジタル領域の戦略が十分かどうかを見極めることが重要です。
それらについて、業績や過去のデータを見ながら後編の方で解説をしていきます。
なにか質問や意見がある方は、ぜひ弊コミュニティでお会いしましょう!
マネーチャットでは、超初心者から中級者の方にぴったりな投資の学校を運営しています。毎週の動画学習に加え、毎日の経済解説、そしてみんなと一緒に学習したり意見交換したりする場を作っています。
とりあえず無料で1ヶ月やってみよう! =>
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また、無料コミュニティで「推し株」についてや初心者たちの意見交換なども行なっています🔽
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