【取材記事】エコノクエスト:子どもたちに金融教育を届ける新たな試み

エコノクエストは、金融教育を目的とした新しいボードゲームです。

2024年の2月から始まったこのプロジェクトは、金融教育に情熱を注ぐてらさんを中心に、複数のチームメンバーと共に開発が進められています。

エコノクエスト製作者のてらさんは、初めてのプロダクトとして子どもたちが楽しみながら金融知識を学べるよう、ゲームに特化したアプローチを選びました。

そこで今回は、子供たちが気軽に投資について学べるボードゲームを作成しているてらさんに話を伺いました。

\ この人に聞きました! /

てら

1998年生まれ 東京出身 順天堂大学 卒業

新卒から投資信託のプロモーションや書類作成をする会社で勤務。

エコノクエストを立ち上げ。

目次

てらさんの背景と金融教育への思い

てらさんの金融教育に対する思いは、彼女の父親が個別株の投資をしていた影響から始まりました。

大学卒業後、自身も投資を始めたことで資産が増える楽しさを知り、金融教育の重要性を実感しました。また、新卒で入社した会社で投資信託のプロモーションや書類作成に関わりながら、金融の知識が社会人にとって不可欠であることを痛感したと語ります。

確かに、日本では社会人になっても、自分が金融業界で働いたりしない限りは、金融や投資に触れる機会が少ないです。そういう点では、もっと早く投資の知識を身に付けたかったと思う人は少なくないのではないでしょうか?

「金融知識がないことで機会損失をしてしまうのは避けたい」との思いが強く、同じような経験を他の人がしないようにと、エコノクエストを通して金融教育を広めることを決意。実際、てらさんは父親が個別株の投資をしていた影響を受けることができましたが、そうした環境にいない方もいるわけです。

教育や子どもへの関心は、学生時代の塾講師経験にも根ざしています。

開発の舞台裏と取り組み

エコノクエストの開発は、Startup Weekendで知り合った仲間たちとの協力で進められました。初期段階から高校生メンバーも参加し、ゲームデザインにおいて重要な役割を果たしました。

ゲーム制作の経験はなく、今回は初めての制作。ボードゲームを選択した理由は、子供たちにとって遊びやすく学びやすいという点からだそうです。

てらさんは、ボードゲーム製作者のコミュニティにも定期的に足を運び、開発プロセスの中で貴重なフィードバックを得ています。ゲームバランスの調整は特に難しく、現実の株式市場とゲーム体験を両立させるために多くの試行錯誤が必要でした。

特に株式市場というのは大人にとっても難しいコンテンツです。それを子供に向けてわかりやすく、そして楽しんでもらうためにデザインすることは、簡単ではないでしょう。

ゲームの概要と目的(引用

ここでエコノクエストがどのようなゲームなのかをご紹介いたします。

プレイヤーは5ラウンドを通して、6社の株式を売買します。現金を最も増やせた人の勝利です。ニュースを見ながら株価の上下を予想して株式を売買します。

エイリアンカードという少し運要素のあるカードを引くことも出来ます。

また、同じ会社の株券を多く持つと、筆頭株主となり、イベントの方向性を決めることもできます。

短期売買をして増やす戦略もあれば、筆頭株主を狙いゲームの方向性を操る戦略もあり、何度でも楽しめる内容となっています。

詳しくは公式サイトで説明がありますので、ぜひ覗いてみてください。

ゲームがもたらすリアルな体験

エコノクエストの魅力は、“お金が増えて楽しい”という喜びや、“暴落して悲しい”という失望感を子どもたちがゲームを通じて体験できることです。てらさんは、「こうした喜びと失望感の両面をゲームを通じて体験することで、子供たちに株式市場のリアルな感覚を身近に感じてもらいたい」と語ります。

エコノクエストを用いたワークショップやイベントが定期的に開催され、そこで多くの子供たちが投資の基本的な流れを体験しています。最初はゲームのルールや株式の売買に戸惑っていた子供たちも、繰り返しプレイするうちに徐々に自信を持ち、「今度はこの株を買ってみたい!」と自分の意思で取引を試みるようになるようです。このように、子供たちは遊びを通して自然に株式市場のメカニズムを学び、次第に自分なりの戦略を立てるようになるのです。

現在のエコノクエストでは、まだ他のプレイヤーと株式を売買する機能はありませんが、今後はこれを発展させ、よりリアルに近い市場のシミュレーションを実装する予定だとてらさんは言います。

また、エコノクエストは、子供だけでなく、その親たちからも大きな関心を集めています。てらさんは、「自分自身が学んでいない知識をどう教えたらいいかわからない」といった相談を親たちからよく受けると話します。子供たちがゲームを通じて金融や経済の知識を吸収していくのを見て、「自分も小さい頃からこういった知識があればよかった」「子供と一緒に学ぶことができてうれしい」といった感想をもらうことも多いそうです。特に、これまで投資に対して興味を持っていたものの一歩踏み出せなかった親たちにとっても、エコノクエストが学びのきっかけになっているようです。

また、親子で同じゲームを通して学ぶことができるため、家庭で自然に経済や金融について話し合う機会が増えるという点も大きなメリットです。親と子が一緒に学ぶことで、投資や経済の知識が家庭内で共有され、親子のコミュニケーションが深まるだけでなく、子供たちが将来独立して生活していく際に役立つ金融リテラシーが育まれます。

エコノクエストを通じて、多くの人が経済や世の中の仕組みに興味を持つきっかけになればいいですね。

ワークショップ ご協力:fermi cafe様(https://sites.google.com/view/fermi-cafe/

今後の展望と課題

エコノクエストは、学校の放課後プログラムや子ども教室での導入を目指しており、将来的には正式な教育ツールとして学校での採用を視野に入れています。子どもたちからの反応は上々である一方、親御さんたちの金融知識への理解がまだ不足していることが課題です。そのため、親子で金融知識を共有できるワークショップの開催も検討しています。

エコノクエストがもたらす未来――経済への関心を広げるきっかけに

エコノクエストは、金融教育に興味がある家庭や、将来のキャリアに役立つ知識を身につけたいと考える子供たちにとって、素晴らしい学びのツールです。てらさんは「エコノクエストを通じて、もっと多くの子供や親たちが経済や社会の仕組みに興味を持ち、世の中で起きていることを理解するきっかけになってほしい」と願っています。

ゲームを通して経済を身近に感じることで、子供たちは「お金の価値」や「リスクとリターン」について実感を持って理解できるようになります。今後もエコノクエストの発展を通じて、より多くの子供や親が金融リテラシーを学び、将来に役立てる機会が広がっていくことを期待しています。

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この記事を書いた人

株式会社シュタインズ

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