【行動ファイナンス初心者講座】第3回：群集心理を超えて見つける、投資の花の山

今回は「群集心理」とそれによる失敗例を挙げながら、現代の投資行動における教訓をお伝えします。

投資に興味を持つきっかけ

安定した仕事と余裕のある生活資金を持つ会社員の方を例に取ります。

これまで全ての貯蓄を銀行預金に回し、投資には無縁の生活を送ってきました。しかし、景気が上向き、株価が上昇するにつれ、投資に興味を持ち始めました。

明るい経済ニュースや、友人の「投資成功」の話、さらにはYouTuberやSNSでの投資成功談を目にし、ついに株式投資を始めました。

売買のタイミングを間違える

株価が高騰しているタイミングで株式を購入しましたが、その直後に株価は下落。不安を感じながらも一旦は様子を見ていました。しかし、下落が続き、SNSやニュースで「今後さらに暴落が続く」といった話を聞くと、恐怖に耐えきれずに株を安値で売却してしまいました。

皮肉なことに、売却した直後に市場は急回復。株価も景気も持ち直しましたが、大きな損失を抱え、「二度と株式投資はしない」と嘆く結果となりました。

失敗の原因

なぜ失敗してしまったのでしょうか？

「群集心理」とは？

失敗の本質は、「投資をしたこと」ではなく、「最も高いタイミングで買い、最も低いタイミングで売ったこと」です。この行動の背景には「群集心理」という心理的なバイアスがあります。

群集心理とは、次のような行動を引き起こします 🔽

1. 市場が上昇しているとき、人々は「まだ上がる」と期待して買いを増やす。
2. 一方、市場が下落し始めると、不安に駆られ、恐怖から売りを増やしてしまう。

これは、多くの投資家が同じ方向に動きやすいことを示す典型的な投資行動です。

他の心理バイアスも影響

Aさんの行動には他の心理バイアスも影響しています。

• 自信過剰：景気が良いニュースに接することで「今投資すれば成功する」という過剰な期待を抱いた。
• 後悔回避：株価が下落したとき、「損失を確定したくない」という感情が働き、最初は売却を躊躇した。

感情を制御する方法

古くからの投資の格言「人の行く裏に道あり花の山」は、まさに群集心理の危険性を戒めるものです。市場が加熱しているときに冷静さを保ち、恐怖で売り急がないよう心がけることが重要です。

また、第1回と第2回で紹介した「2重過程モデル」に基づけば、Aさんのような「速い判断（直感システム）」による感情的な売買を防ぐためには、熟慮を促す行動が必要です。

まとめ 群集心理を超えて見つける、投資の花の山

今回の失敗から学べるポイントは次の通りです：

投資には成功も失敗もありますが、感情に流されないことで長期的なリターンを得る可能性が高まります。ぜひ、自分の投資行動を振り返り、心理バイアスに惑わされないよう心がけましょう。