ファンタジースポーツやスポーツベッティングは、欧米を中心に急成長している市場であり、日本でも新たなビジネスチャンスとして注目されています。
日本では、マイネット(3928)が、ファンタジースポーツ事業を進めようとしていたりして、今後期待される分野でもあります。
本分析では、日本市場における可能性、課題、法規制、成功のための戦略について、市場のデータ分析や予想も含めて徹底的に解説します。
ファンタジースポーツとスポーツベッティングの違い

そもそもそもそもファンタジースポーツってなんだ?って方にもわかるように、前提から説明していくのだ。
まず最初に、ファンタジースポーツとスポーツベッティングの違いについて説明していこうと思います。
- ファンタジースポーツ
- ユーザーが実在のスポーツ選手を選び、仮想のチームを編成する。
- 選手の実際の試合成績に基づいてポイントが加算され、ランキングを競う。
- 法的には「スキルゲーム」として分類されることが多い。
- スポーツベッティング
- 実際の試合結果や得点、選手のパフォーマンスに対して金銭を賭ける。
- 「ギャンブル」として扱われるため、多くの国で法規制が厳しい。



「スキルゲーム」とは、プレイヤーのスキルや戦略によって結果が左右されるゲーム、つまり、運よりはプレイヤーの能力が重要となるゲームのことなのだ!
1. ファンタジースポーツとは?
MLBが提携したFanDuelの「ファンタジースポーツ」は、実在するプロ選手を使って架空のチームを作り、その選手たちの成績に基づいてポイントを競うスポーツ・シミュレーションゲームです。このゲームは、スポーツベッティング(賭博)とは異なり、あくまでスキルベースのゲームとされ、多くの国で合法的に運営されています。
- ポイントシステム:選んだ選手の現実の試合成績がポイントに反映される。
- コンテスト形式:ユーザー同士でランキングを競い、賞金が発生することもある。
- 対象スポーツ:野球(MLB)、バスケットボール(NBA)、アメリカンフットボール(NFL)など、幅広いスポーツをカバー。
この仕組みは、ファンがスポーツをより深く楽しむ手段となり、プロスポーツリーグとの提携も進んでいます。



日本の企業では、マイネット(3928)が、ファンタジースポーツ事業を広めようとしているのだ!
2. スポーツベッティングとの違い
以下のように違いを表にまとめました。
項目 | ファンタジースポーツ | スポーツベッティング |
---|---|---|
性質 | ゲーム、シミュレーション | 賭博(ギャンブル) |
結果決定要因 | プレイヤーの選手選び、戦略 | 運の要素が強い |
賞金 | 大会によっては賞金あり | 勝敗予想が当たれば配当 |
法的扱い(米国) | 多くの州で合法 | 州ごとに規制が異なる |
法的扱い(日本) | グレーゾーン(普及なし) | 違法(刑法第185条) |
アメリカでは、ファンタジースポーツは「スキルゲーム」として認められ、多くの州で合法とされています。
一方、スポーツベッティングは2018年のPASPA(プロ・アマスポーツ保護法)撤廃以降、州ごとに合法化が進んでおり、現在では39%のアメリカ人が経験しているほど一般的なものになっています。
とはいえ、現状のファンタジースポーツは賭けることがほぼ前提となって流行っていることから、本稿では、スポーツベッティングとファンタジースポーツを区別せずに分析と解説をしていきます。
3. スポーツベッティングのアメリカ市場
アメリカではスポーツベッティングが「成長産業」となっており、多くの企業がビジネスチャンスとして参入しています。
- 市場規模の拡大:オンラインカジノやスポーツベッティング市場は年々拡大し、経済を支えるほどの巨大ビジネスに。
- 一般化:かつては違法とされていたが、今では多くの人が気軽に楽しむ文化が形成。
- ギャンブル依存症問題:ネットカジノの急成長とともに、社会問題化している側面もあり、NBAの不審なプレーなどが指摘されている。
このように、アメリカではスポーツベッティングが一般的な娯楽として定着しつつありますが、一方で依存症リスクや倫理的な問題にも直面しています。
スポーツベッティングの爆発的成長
- 急速な市場の合法化
- 2018年:8州が合法化。
- 2019年:さらに10州が追加。
- 2022年時点で30州とワシントンDCで合法化。
- デジタル化の影響
- スマホアプリで簡単にベッティング可能。
- ゲーム中のリアルタイムベットや個別選手のパフォーマンスに賭ける「プロップベット」など、多様な選択肢が登場。
- 企業の莫大な投資
- FanDuel、DraftKingsなどの企業がテレビ広告に大規模投資。
- NBA、MLB、NHLなどの主要スポーツリーグと提携。
- 大学(LSU、ミシガン州立大学など)とも提携し、学生向けのベッティング広告まで展開。
4. 日本市場での可能性
日本では「スポーツくじ(toto)」以外のスポーツ賭博は違法とされており、野球賭博などは社会的にも大きな問題とされています。そのため、アメリカのようにスポーツベッティング市場を解禁するには、多くの障壁があります。
✅ 日本市場におけるポジティブ要因
- スポーツ人気の高まり:プロ野球、Jリーグ、Bリーグなどの競技人気が上昇。
- デジタル化の進展:スマホやアプリを活用したスポーツゲームの普及。
- 法規制の緩和の可能性:IR(統合型リゾート)法案が通過しているため、ギャンブルに対する政策が変化する可能性。
❌ 課題と障壁
- 法的規制の厳しさ:現行の賭博罪が適用されるため、スポーツベッティングの合法化は困難。
- 社会的な抵抗感:ギャンブル依存症や八百長の問題への懸念が強い。
- 市場成熟度の低さ:アメリカほどファンタジースポーツの認知度が高くない。
5. 日本市場での戦略
日本でスポーツベッティングを合法化するのは難しいですが、ファンタジースポーツなら可能性があります。そのため、日本市場では次のような戦略が考えられます。
- ファンタジースポーツを合法的に普及させる
- 法規制をクリアできる「スキルゲーム」としての側面を強調。
- eスポーツやプロスポーツリーグと提携し、日本市場向けのモデルを作る。
- スポーツくじ(toto)との融合
- 既存の合法市場(スポーツくじ)と組み合わせ、ギャンブルとみなされない仕組みを開発。
- NFTやブロックチェーン技術の活用
- デジタルアイテムとしての選手カードをNFT化し、ゲーム内で活用。
- Web3技術を活かした透明性のあるゲームシステムの構築。
- 規制緩和の可能性を探る
- IR法案のように、政府との協議を重ね、適切なルールのもとで市場を開放。
ファンタジースポーツ市場規模
ファンタジースポーツ市場は近年急速に成長しており、2024年の市場規模は308億3000万ドル、2025年には342億3000万ドルに達し、年間平均成長率(CAGR)は11.0%と予測されています(The Business Research Company)。
考えられる成長要因としては、以下の通りです。
- インターネットとモバイルの普及: これにより、ユーザーが容易にファンタジースポーツにアクセスできる環境が整いました。
- 主要スポーツリーグの人気上昇: スポーツへの関心が高まることで、ファンタジースポーツへの参加も促進されています。
- ソーシャルコネクティビティ: SNSなどを通じて、ユーザー同士の交流や競争が活発化しています。
- インタラクティブで魅力的なプラットフォームの成長: ユーザーエクスペリエンスを向上させるプラットフォームの進化が市場拡大に寄与しています。
- クロスプラットフォーム対応: 複数のデバイスでのアクセスが可能となり、ユーザーの利便性が向上しています。
また、2029年までに市場規模は596億3000万ドルに達し、CAGRは14.9%と予測されています。


ファンタジースポーツの主要企業
ファンタジースポーツ市場には、以下の主要企業が存在します。
- DraftKings Inc. 2012年にファンタジースポーツ運営企業として創業され、現在では米国のオンライン合法スポーツ賭博大手として知られています(参考:weekly-economist.mainichi.jp)。
- FanDuel Group デイリーファンタジースポーツ(DFS)のパイオニアであり、短期間で結果が得られるDFSを提供しています(参考:strainer.jp)。
- Yahoo Fantasy Sports LLC Yahooが提供するファンタジースポーツプラットフォームで、ユーザーに多様なスポーツのファンタジーリーグを提供しています(参考:https://sports.yahoo.com/fantasy/)。
- NFL Enterprises LLC NFLが公式に運営するファンタジースポーツプラットフォームで、アメリカンフットボールファンに人気があります。
- ESPN Sports Media Ltd ESPNが提供するファンタジースポーツプラットフォームで、多くのスポーツファンに利用されています。
- Dream Sports Group インドを拠点とする企業で、特にクリケットのファンタジースポーツプラットフォーム「Dream11」で知られています(参考:https://www.dream11.com/)。
- RealTime Fantasy Sports Inc. リアルタイムのファンタジースポーツサービスを提供する企業で、ユーザーに多様なスポーツのファンタジーリーグを提供しています(参考:https://rtsports.com/)。
- Flutter Entertainment plc 世界的なギャンブル・ベッティング企業で、ファンタジースポーツ市場にも参入しています(参考:https://www.flutter.com/)。
- Vauntek Inc.(Fantrax) 多様なスポーツのファンタジースポーツプラットフォームを提供する企業で、ユーザーにカスタマイズ可能なリーグを提供しています(参考:https://www.fantrax.com/)。
これらの企業は、技術革新や戦略的パートナーシップを通じて、ファンタジースポーツ市場の成長に寄与しています。
NFT×ファンタジースポーツ sorare(ソラーレ)


Sorare(ソラーレ)は、現実のサッカーの試合の戦績がゲームのスコアに反映される新感覚のブロックチェーンゲームです。
- ユーザーは、プロスポーツ選手のNFTデジタルカードを購入・収集・転売が可能
- NFTデジタルカードを利用して、ファンタジーフットボールトーナメントに参加でき、勝者には賞
金等が付与 - 2021年9月には登録ユーザー数が60万人を突破。世界で急速にユーザー数を伸ばしている
- 世界のプロサッカーリーグ、NBA、MLBと提携しており、Jリーグも2020年から提携



NFTやブロックチェーンを絡めたファンタジースポーツにも注目なのだ!
ファンタジースポーツ スポーツベッティングのリスク
一方で、市場の拡大という良さそうなニュースに対して、リスクはあるのでしょうか?
アメリカのオンライン賭博市場の成長と実態
スポーツイベントへの賭けは莫大な金額が動いており、2024年のスーパーボウルでは2100億円が合法的に賭けられました。これは前年より11%増加し、過去最高額となっています。さらに、違法ベットや友人間の賭けを含めると、3兆4500億円に達すると推定されています。
また、米国では約5年間でベッティングによる税収が約3,400億円以上に。税収は各州の一般財源に組み入れられ、一部は教育、福祉等の予算に充てられているものの、スポーツ振興等の特定財源にはなっていないようです。
試合中に賭けるインプレイ・ベッティングの人気に伴い、視聴者や視聴時間が拡大し放映権料も急上昇。データ・コンテンツも更に価値を増しています(~第二期スポーツ未来開拓会議~スポーツDXの動向について)
スポーツ業界との結びつき
スポーツベッティングの合法化を受けて、MLB(メジャーリーグ)、NFL(アメリカンフットボール)、NBA(バスケットボール)などの主要リーグが積極的に参入しています。スポーツ賭博は視聴率向上、データ販売、広告収入増加などの効果があるため、プロスポーツ界にとっては歓迎すべきビジネスモデルとなっています。
また、近年では賭けの対象が試合結果だけでなく、選手のパフォーマンスや試合中の出来事にまで拡大しています。例えば、スーパーボウルでは、歌手のテイラー・スウィフトが試合中に何回カメラに映るか、試合後に恋人である選手がプロポーズするかどうかまで、数十項目が賭けの対象となりました。
日本におけるオンライン賭博の現状
日本では、オンライン賭博は刑法で禁止されており、違反者には50万円以下の罰金、常習賭博の場合は3年以下の懲役が科される可能性があります。政府は、「オンラインカジノによる賭博は犯罪です!」と広報活動を強化し、警察も摘発を本格化させています。
摘発の強化
2023年のオンラインカジノ摘発者は過去最多の279人に達し、前年の2.6倍となりました。警察の摘発対象は以下の通りです。
- オンラインカジノの利用者
- 日本国内から海外のオンラインカジノを利用したユーザー。
- IPアドレスや決済履歴により特定される。
- アフィリエイト業者
- 海外の賭博サイトと提携し、日本向けに広告や集客を行う業者。
- 決済代行業者
- 賭博資金の送金を仲介する国内企業。
政府や警察は、特に日本人ユーザーの摘発を強化しており、今後も取り締まりが厳しくなる可能性が高いでしょう。
また、海外のオンラインカジノを利用することは、単に違法であるだけでなく、さまざまなリスクを伴います。
- IPアドレスが記録されるため、当局による特定が容易。
- 銀行口座やクレジットカードの取引履歴が残るため、身元が明らかになる。
- 海外送金が税務署に報告されるため、違法所得として課税対象になる可能性。
日本でオンラインギャンブルが蔓延した場合のリスク
もし日本でアメリカのようにオンラインギャンブルが拡大した場合、深刻な社会問題が発生する可能性があります。
アメリカでは、ギャンブル依存症のリスクがある成人の割合は約2.3%(460万人)とされています。しかし、ギャンブルが盛んな州では5~6%に達することもあります。
日本でも、厚生労働省の調査によると、成人の1.7%(約220万人)がギャンブル依存の疑いがあるとされています。今後、オンライン賭博が広がれば、社会的損失は年間8000億円~1兆円に達する可能性があります。
アメリカでは、ギャンブル依存者の年間平均負け額は約300万円に達することもあります。現在の日本のギャンブル(パチンコ・競馬など)でも、多額の負債を抱えるケースは多く、もしオンラインギャンブルが合法化されれば、負け金額はさらに増大するでしょう。
また、ギャンブル依存による借金が原因で、犯罪に手を染めるケースも報告されています。例えば、アメリカではスポーツベッティングの借金が原因で詐欺や窃盗を行うケースが増えています。



個人的には、賭博と犯罪率の関係性についての定量分析を行ってみたいのだ。
スポーツデータビジネスとファンタジースポーツへの影響|ファンタジースポーツ
近年、スポーツ業界におけるデータビジネスは急速に進化し、選手のパフォーマンス分析、戦略の最適化、ファンエンゲージメントの向上など、さまざまな分野で活用されています。特に欧米では、ビッグデータとAIの活用が進み、スポーツデータの質の向上が市場の拡大と資金循環の発展に寄与しています。



ファンタジースポーツへの影響も大きいのだ!
スポーツデータの活用と市場への影響
スポーツ業界では、さまざまな種類のデータが収集・分析され、競技の発展や収益化に貢献しています。
データの種類 | 主な利用目的 |
---|---|
成績データ(打率、防御率、得点数など) | 選手評価、チーム強化、年俸査定 |
バイオメトリックデータ(生体情報) | 選手の健康管理、怪我予防、リカバリー計画 |
トラッキングデータ(ボール回転数、打球軌道など) | チーム戦略構築、選手育成、映像コンテンツ価値向上 |
試合経過データ(1球ごとのデータ) | デジタル配信、スカウティング、スポーツベッティング(合法国のみ) |
スポーツデータは、単なるパフォーマンス分析にとどまらず、ファンタジースポーツやスポーツベッティングのエコシステムにも組み込まれています。これにより、スポーツを視聴するだけでなく、データを活用して楽しむ新たなファンエンゲージメントモデルが形成されています。
米国におけるデータビジネスの進化
米国では、2000年にMLB全30球団が共同出資して設立したMLB Advanced Mediaが先駆けとなり、リーグ側でデータを取得・分析するエンティティが発展してきました。
- 高解像度カメラと高度な画像処理技術を駆使し、ボールや選手の動きをリアルタイム解析。
- 投手の投球フォームや打球の軌道、野手や走者の動きを詳細に分析。
- 三次元骨格データを取得し、選手の動きや姿勢を細かく評価。
これらのデータは、チームの戦略構築や選手の育成に役立つだけでなく、ファンタジースポーツのリアルタイムデータ提供や、スポーツベッティングのオッズ計算にも活用されています。


日本におけるデータビジネスの活用事例
日本でも近年、スポーツデータの活用が進んでおり、NPB(プロ野球)やJリーグを中心に最新技術を導入する動きが活発化しています。
- Hawk-Eyeの導入
- NPBでもHawk-Eyeを導入し、選手の動きやパフォーマンスの分析を強化。
- 球場のライブ中継にも活用され、視聴者の体験を向上。
- VRを活用したトレーニング
- 投手や打者がVRを使用し、試合さながらの環境で練習。
- ピッチャーの球筋やバッターのスイング分析に役立てられている。
- コンディショニング可視化ツール
- 選手の健康管理やケガの予防に役立つデータを可視化。
- AIを活用し、パフォーマンス低下の兆候を早期に検出。
- ファンタジースポーツ・スポーツベッティングとの関連
- 欧米では、スポーツデータの活用がファンタジースポーツやスポーツベッティングの拡大を促進しており、日本でも今後、同様のビジネスが発展する可能性があります。
ファンタジースポーツとスポーツデータの関係
スポーツデータの活用は、ファンタジースポーツ市場の成長に大きく貢献しています。
- リアルタイムデータの活用
- MLB、NBA、NFL、Jリーグなどのデータをリアルタイムで収集し、ファンタジースポーツのポイントシステムに反映。
- ユーザーは、選手のリアルタイムパフォーマンスを基に戦略を立てられる。
- AIによる選手予測
- 過去の成績データやバイオメトリックデータを分析し、ファンタジースポーツの勝率を高める予測ツールが登場。
- これにより、より戦略的なプレイが可能になり、ゲームとしての魅力が向上。
- ファンタジースポーツとベッティングの境界
- 近年、ファンタジースポーツとスポーツベッティングの境界が曖昧になってきている。
- 例えば、デイリーファンタジースポーツ(DFS)は、短期間のコンテストで賞金が獲得できるため、ギャンブル要素が強い。
- そのため、規制のあり方が国ごとに異なり、日本では法的整備が課題。
スポーツデータの活用は、選手のパフォーマンス向上だけでなく、ファンエンゲージメントの強化や新たな収益モデルの創出にも寄与しています。
- 米国では、Hawk-Eyeなどの技術が進化し、ファンタジースポーツやスポーツベッティング市場を拡大。
- 日本でも、スポーツデータの活用が進んでおり、今後ファンタジースポーツの普及が期待される。
しかし、日本ではスポーツベッティングの合法化が課題であり、今後の法整備の動向が市場の発展に大きく影響を与えるでしょう。



欧米(特に米国)では、古くからリーグ側にデータの取得・分析を行うエンティティが存在していたことに対して、日本ではデータのスポーツへの活用が近年活発になってきたことから、まだまだ世界に遅れをとっていると個人的には感じるのだ。
ファンタジースポーツは今後日本で流行るのか!?
これまでのリサーチを踏まえ、日本市場におけるファンタジースポーツの成長可能性を定量的(市場データ、ユーザー層、経済規模などの数値)と質的(文化的要因、規制、技術インフラなど)に分析していきましょう。ここからが本稿のメイントピックです。お待たせいたしました。
指標となる量的データ
まずは指標となるデータを集めてきました。
- 日本のスポーツ市場規模
- 日本のスポーツ市場全体:2021年時点で約13.7兆円規模(スポーツ庁、経済産業省)
2025 年までに 15 兆円産業とする従来の目標を維持している(参考)。 - 国内のスポーツ観戦市場:約 1.7 兆円(昨年比 24.0%増で、プロ野球、Jリーグ、Bリーグが中心)
- スポーツくじ(toto)の年間売上:1200億円以上(2024年 過去最高更新)
- 日本のスポーツ市場全体:2021年時点で約13.7兆円規模(スポーツ庁、経済産業省)
- ユーザー層のポテンシャル
- ターゲット層
- 25〜40歳(技術志向が強く、お金に余裕があり、ファンタジースポーツに適した層と仮定):約2000万人
- このうちスポーツ観戦好きを2割〜3割とする:約500万人
- モバイル・オンライン市場の状況
- 日本のスマートフォン普及率:約95%
- キャッシュレス決済の利用率:2023年時点で約40%(増加傾向)
- オンラインゲーム市場:約2兆円規模(参考)



お金に余裕がなくても、賭け事にお金をかける人がたくさんいるので、難しい判断なのだ……
指標となる質的データ
続いて、文化的背景等を踏まえた質的な指標をまとめます。
- 日本のギャンブル規制と法的課題
- 刑法185条により賭博行為は禁止
- toto(スポーツくじ)のみ合法
- ファンタジースポーツはギャンブルか?
- 「スキルゲーム」として扱われれば合法
- 賞金システムの設計次第ではギャンブルに該当
- アメリカでもデイリーファンタジースポーツ(DFS)は合法化の際に議論があった
- スポーツ文化と市場の受容度
- 日本では「スポーツを観戦する文化」が根付いているが、「スポーツをデータ分析して楽しむ文化」は発展途上。
- アメリカではファンタジースポーツの利用者が多いが、日本では「スポーツファンがどれだけデータを活用するか」がポイントになる。
- 既存のスポーツファン(NPB、Jリーグ)に向けた適切なマーケティングが必要。
- ファンエンゲージメントと技術トレンド
- 欧米では「ファンエンゲージメント」の一環としてファンタジースポーツが発展。
- 日本でもデータ活用型のファン参加型サービスが増加(例:DAZNのデータ配信、Jリーグのデータ分析サービス)。
- スポーツリーグとの公式提携があれば、より広く受け入れられる可能性が高い。
ファンタジースポーツの日本における成功確率分析(簡易的に)
では、現状の日本の市場感から、ファンタジースポーツが成功する確率を簡単に算出してみましょう。
- ファンタジースポーツが日本で流行する可能性はどの程度あるのか?
- どの要素(特徴量)が市場の成長に最も影響を与えるのか?
- 規制、競争、市場の成長性などを考慮すると、どのようなシナリオが考えられるのか?
これらの疑問に答えるために、ランダムフォレスト回帰モデル を使用して、シナリオごとの成功確率を予測しました。
- 複数の要因が絡む複雑な関係を学習できる
- ファンタジースポーツの市場成功は スポーツファンの人口、デジタル利用率、SNSの話題性、競争環境、法規制 など、相互に影響を及ぼす複数の要因によって決まる。
- ランダムフォレストは、多くの決定木(Decision Trees)を組み合わせることで 複雑な非線形関係を捉えることができる。
- 過学習を抑えつつ高精度の予測が可能
- 単純な線形回帰モデルでは、各変数が独立であることを前提としているが、実際には SNSの話題性が市場成長に影響を与える など、相関関係があると考えた。
- ランダムフォレストは 複数の決定木をランダムに学習するため、特定の変数に依存しすぎることなく全体のパターンを捉える。
- 特徴量の重要度を分析できる
- 市場の成功確率を決定する最も影響の大きい要因(特徴量)を特定することが可能。
- どの変数が市場成長の鍵となるかを視覚的に示せる。
- 外れ値(異常値)に強い
- 例えば、「スポーツベッティングが全面合法化される」という極端なケースがあったとしても、ランダムフォレストはそれに影響されにくいと考えた。
ファンタジースポーツの成功確率に影響を与えそうな要因(特徴量)は以下の通りです。
特徴量(英語) | 特徴量(日本語) | 説明 |
---|---|---|
sports_fan_population | スポーツファン人口 | 日本国内のスポーツファンの人数(万人) |
digital_adoption_rate | デジタル消費率 | スポーツファンのデジタル利用率(スマホ・SNS) |
fantasy_sports_awareness | ファンタジースポーツ認知度 | ファンタジースポーツがどれだけ知られているか |
regulatory_freedom | 法規制の自由度 | 規制が緩いほど1、厳しいほど0 |
competition_strength | 競争市場の強さ | 競争が激しいほど高い |
social_media_activity | SNSでの話題性 | Twitter・Instagramでの投稿数など |
market_growth_potential | 市場の成長性 | 収益・ユーザー数の成長余地 |
上記のデータを使って、ランダムフォレスト回帰モデルを学習し、各特徴量が「成功確率」にどれくらい影響を与えるかを評価しました。
結果は以下のとおりです。


分析の結果、以下のことが分かりました。
1. どの要素が成功に影響するのか?
特徴量の重要度ランキング(影響度の高い順)は以下の通りです。
- ファンタジースポーツ認知度 🥇
- ファンタジースポーツが どれだけ知られているかが最も重要。
- 例えば、JリーグやNPBと公式提携すると、成功確率が上がる可能性が高い。
- 市場の成長性
- そもそも市場が拡大する見込みがあるかどうかが大事。
- 「eスポーツとの統合」や「スポンサーシップの拡大」が有効な戦略。
- SNSでの話題性
- SNS(Twitter・Instagram・YouTubeなど)での投稿数が多いほど、市場が活性化する(現在はファンタジースポーツに関するXでの投稿が告知も含めて、多くても月20件程度と少ない)。
- ファンタジースポーツがトレンドになる要因が必要。
- デジタル消費率
- スマホやオンラインプラットフォームを利用するユーザーが増えるほど、成功確率が上がる。
- 日本ではDAZNやAbemaなどのスポーツ配信サービスと組み合わせると成功しやすい。
2. シナリオごとの成功確率
シナリオ | 成功確率(0.0〜1.0) | 主な要因 |
---|---|---|
楽観(高成長) | 0.85(85%) | 規制緩和+認知度向上+SNS活性化 |
標準(中成長) | 0.55(55%) | 競争あり+リーグ提携あり |
悲観(低成長) | 0.25(25%) | 規制厳格+市場成長性が低い |
このシミュレーションにおける成功の定義は以下のように設定しました。
- 市場規模が一定以上になること
- 成功確率 0.5(50%)以上を達成できれば、市場が最低でも500億円規模に達する可能性がある。
- 一般的に、toto市場(1200億円)と比較して 500億円規模に到達すれば、事業として持続可能 となる。
- アクティブユーザー数の目標達成
- 100万人以上のアクティブユーザー を確保できることが成功の最低ライン。
- 法規制の影響を最小化しつつ収益モデルを確立
- 現金報酬なしでも利益を上げられるビジネスモデルを確立(例: NFT報酬、スポンサー広告、課金要素)。
3. 結論
以上から、結論としては以下の通りです。
- 「eスポーツとの統合 + Jリーグ・NPBとの公式提携」を進めれば、成功確率を 55% → 85% に引き上げることが可能。
- 賭博規制が緩和されると、日本市場でもファンタジースポーツが急成長する可能性が高い。
特に、Jリーグ・NPBとの提携が実現すれば、市場規模500億円以上は十分に狙える ことがデータから示されました。そして、規制緩和がされてくれば、1000億以上も狙えるでしょう。
4. どうすれば成功確率を上げられるか?
では、どうすれば成功確率を上げることができるでしょうか?データ分析の結果、ファンタジースポーツを日本で成功させるには以下の戦略が重要であると考察できます。
- Jリーグ・NPB・Bリーグとの公式提携
- 既存のスポーツファンにファンタジースポーツを認知させる。
- 公式リーグが「公認ゲーム」として採用すれば、成功確率UP。
- SNSマーケティングの強化
- 「ファンタジースポーツ」の投稿数が少なすぎる(月10, 20件以下)。
- インフルエンサーやYouTuberと提携して、話題性を作る。
- eスポーツ市場との統合
- eスポーツ市場の成長が著しいため、「LoLファンタジースポーツ」や「Valorantファンタジースポーツ」を展開することで、若年層を獲得できる。
- NFT・デジタル報酬を活用
- 賭博規制を回避するために「現金報酬」ではなく、「NFT・デジタルポイント・グッズ」などの報酬制度を構築する。
筆者の見解+
ここまではデータから客観的評価をしてきましたが、いくつか気になる要素があるので、ここで筆者の見解を述べます。
それが、日本において「プロサッカークラブをつくろう!」や「プロ野球チームをつくろう!」といったシミュレーションゲームが非常に人気な点です。
日本には、スポーツデータを見る人が少ないため、ファンタジースポーツは流行らないといった意見もあります。しかし、SEGAからリリースされているゲーム「プロサッカークラブをつくろう!」や「プロ野球チームをつくろう!」といったシミュレーションゲームは非常に人気です。またプロ野球ファンのコミュニティでは、配球がたびたび議論のテーマとされています。
こうしたことから、自分のオリジナルのチームを作って育てるというゲーム文化はすでに日本に築かれているのではないかと思います。
ただし、これについてもそのままリアルの選手をファンタジースポーツ化して流行るのかどうか、という点には、筆者には疑問が残ります。
それが日本に根付く強いキャラクター文化です。
パワプロのように、選手のリアルなビジュアルを採用するのではなく、デフォルメしたキャラクターの方が日本では人気になる可能性が高いのではないかと考えています。
日本の漫画のキャラクターは、以上に大きい目、奇抜な髪の色など人間をかなり強烈にデフォルメしています。現実の世界をストレートに映し出すのではなく、独自にデフォルメされた隣接した世界を作ることが主流。



サンリオやちいかわのように、日本で人気のキャラクターは、どこかデフォルメされている。


一方で、アメリカのキャラクターは人間をベースにしています。このアメリカのキャラクターのビジュアルが日本では流行らない理由としては、リアル感が気持ち悪いのではないかと感じるのです。
つまり、キャラクターに「ゆるさ」が必要。
それは日本人には「不完全」を好むという特徴があります。家電とかには完璧を求める一方で、キャラクターにはゆるさを求めます。アイドルも同じで、日本のアイドルにはアメリカのような完璧さは求められません。
このように日本社会には「下手」「素人」「不完全さ」を魅力としてとらえ、完璧なものよりもむしろ魅力と捉える文化があるのです。
これを象徴しているのが、「ウマ娘」ではないでしょうか?
あれが、リアルの馬のデザインを採用していたら流行ってないのではないかと思います。
そのため、欧米でファンタジースポーツが流行っているから、それをそのまま持ってきて日本でも流行るという短絡的な考えではなく、筆者としては、データはリアルのモノを活用したとしても、アプリやサイトのデザイン、選手の見た目などは、日本特有のデフォルメしたデザインにしないと多くの人に普及はしないのではないでしょうか?



デフォルメしなくても、賭博ユーザー、パチンコユーザーには使われるかもしれないのだ。しかし、それでは、その人たちのためのサービスが限界なんじゃないか!?
まとめ 日本市場におけるファンタジースポーツの成功可能性
ファンタジースポーツは日本市場でも成功する可能性が十分にあると思います。
日本では「スポーツデータを見る人が少ないため流行らない」との見方もありますが、実際には「サカつく」「やきゅつく」などのシミュレーションゲームが人気であり、野球やサッカーの戦術・データ分析を楽しむ文化が存在します
また、データ分析の結果、市場の成功確率は最大 85% に達する可能性(規制緩和がある場合)があり、特にJリーグ・NPBとの提携、SNSマーケティング強化、F2P(Free-to-Play)モデルの導入が鍵となるでしょう。
さらに、データ可視化やUI/UXを最適化し、初心者でも楽しめる環境を整えることで市場拡大が見込めます。日本のスポーツ観戦市場は成長中であり、適切な戦略を取れば 500億円規模の市場 へと成長する可能性が高い。
法規制の緩和がなければ、リアルデータに連動した「サカつく」「やきゅつく」などのシミュレーションゲームと同じようなソシャゲのような存在になるのでしょうか。
結論として、ファンタジースポーツの成否は「市場の潜在需要」ではなく「提供の仕方」にかかっており、適切な施策次第で成功が実現可能と考えました。
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一緒に株や資産運用、経済について語ろう!
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⚠️ グループ内で、マウントの取り合いとか、他人のお金の使い方に無駄に口を出したり、投資商材を売りつけたり、お金の貸し借りなどは絶対にやめてください。
初心者にはぜひ優しく教えてあげてください。

