人はリスクを恐れて保険に加入する一方で、リスクを追い求めてギャンブルをします。
これは矛盾した行動に見えますが、保険に入るのは大きなリスクを避けるためであるのに対し、ギャンブルは小さなリスクのものが多いという特徴に違いがあります。
人間は小さなリスクに対しては愛好的で、大きなリスクに対しては回避的なのです。
危険愛好的な人、つまりリスクを取ることが好きな人は、ギャンブルによる収入が平均的にはギャンブルの費用より小さくても、大きな収入を得るチャンスがあるというだけで、満足するのです。
つまり、ギャンブルができる機会を提供してくれる人やサービスに対価を支払っているのです。
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保険は収入を一定にする仕組みであるのに対し、ギャンブルは収入を変動させるものであるために、生活にとって危険な面を持っている点が異なります。人々が皆合理的であれば問題ないですが、本人の自制が効かず、のめり込んでしまって破産してしまう人もいます。そのため、ギャンブルにはある程度の制限を設けることが望ましいかもしれません。
小さなリスクは愛好的、大きなリスクは回避的
リスク選好とは、意思決定者(投資家)が一定のリターンを獲得するのに許容可能なリスクの大きさに関する嗜好を表します。
同じリターンを獲得するのに受け入れるリスクを小さくしたいと考える選好を「リスク回避的(危険回避的)」といい、大きなリスクを受け入れるほうがよいと考える選好を「リスク愛好的(危険愛好的)」、リターンが得られるのであれば受け入れるリスクの大小は問わないことを「リスク中立的(危険中立的)」と言います。
多くのモデルでは、リスク回避的な投資家を仮定することが多いです。
マーコヴィッツが提唱した価値関数によると、確率が大きいところでは危険回避的、つまり大きなギャンブルは行われません。
逆に、確率が小さいところでは人は危険愛好的になり小さなギャンブルは行われます。
小さなリスクだったら人間は危険愛好的になるから、ギャンブルが成り立っているのです。