株式投資で成功するための最も大きな要素の一つが、いわゆる「握力の強さ」です。投資の初心者が失敗する原因の多くは、優良な銘柄を購入したにもかかわらず、短期的な株価の変動に焦ってすぐに手放してしまうことにあります。
実際、株価の短期的な動きは完全にランダムであり、どんな投資のプロでも正確に予測することはほぼ不可能です。市場は一時的なニュースや外部要因で大きく変動しますが、それに振り回されて売買を繰り返すのは賢明ではありません。たとえば、1年の間に株価が10%〜20%変動することはよくありますが、これは長期的な視点から見るとごく一部の揺れに過ぎません。
一方で、適度に分散された優良株を10年〜20年のスパンで保有すれば、企業の成長や市場全体の成長に伴って株価も上昇する可能性が高くなります。特に、eMAXIS Slim オールカントリーや楽天・オールカントリーのようなインデックスファンドは、世界中の企業に分散投資しているため、リスクを抑えつつ長期的な成長を期待できます。
初心者にとって重要なのは、短期的な値動きに惑わされず、投資を長く続けることです。つまり、握力を鍛えることが、成功のカギとなります。
頻繁な「売買」での資産形成は難しい(ゼロサムゲーム)
株式投資で資産を築こうとして、頻繁に「売買」を繰り返すのは、成功する確率を下げる行為だと言えます。インデックス投資界の名著であるバートン・マルキールの『ウォール街のランダム・ウォーカー』は、この点について詳しく解説しています。
短期的な株価変動は予測不可能
この本の中で強調されているのは、「株価の短期的な動きはランダムウォーク」だという考えです。つまり、短期的に株価がどちらに動くのかを予測するのはほぼ不可能であり、これはプロの投資家でも同じです。株価の短期変動はニュースや市場の感情に左右され、一貫したトレンドを持たないことが多いです。
この理論に基づくと、短期トレードはギャンブルに近いものとなり、安定した資産形成にはつながりにくいのです。特に私たち個人投資家は、プロの投資家に比べて情報収集や分析において不利な立場にあります。市場のパイが一定である中、短期売買を繰り返すことで得られる利益は、他の市場参加者の損失から得られるゼロサムゲームとなってしまうのです。
個人投資家の不利な立場
短期投資やトレードを行うプロの投資家は、膨大なデータや高度な分析ツールを活用しています。対して、私たち個人投資家は情報面で不利な立場にあり、ゼロサムゲームの中で勝ち続けるのは非常に難しいです。特に、頻繁な売買では手数料や税金もかかるため、実際には得られるリターンがさらに減少する可能性があります。
株は「長期保有」でじっくり育てることが成功のカギ(プラスサムゲーム)
私たち個人投資家がプロの投資家と対等に渡り合うことは、特に短期投資の世界では難しいです。プロがひしめくゼロサムゲームでは、勝者がいればその裏には必ず敗者がいるため、情報面で不利な個人投資家が勝つ確率は非常に低いです。
一方で、同じ株式投資でも長期投資は全く別のゲームです。これを「プラスサムゲーム」とも呼べるでしょう。市場全体の成長を享受することを狙い、ゆっくりと資産を増やしていくことができます。
長期・分散・株式投資で成功を目指そう
個人投資家が唯一勝てる確率が高い方法として、私は「長期・分散・株式投資」をおすすめします。ここで言う「長期」とは、少なくとも15年〜20年以上を目安にすることです。歴史的データによれば、15年以上のインデックス投資ではリターンのばらつきが安定し、元本割れのリスクがほとんどなくなる傾向があります。
分散投資の効果と必要性
「分散」の最大化を図る方法として、eMAXIS Slim オールカントリー(オルカン)やVT(全世界株式インデックス)のような全世界株インデックスに投資する方法があります。ただし、必ずしもここまで広範な分散を行う必要はありません。10〜20銘柄に分散するだけでも、十分にリスクを低減することができるというデータがあります。
個別株に投資する場合でも、最低限10〜20銘柄に分散することで、リスクを抑えながらリターンを狙うことが可能です。これにより、特定の企業やセクターに依存せず、全体的なリスクを管理することができます。
株式投資成功のカギは「握力」と「忍耐力」にあり
これまで、銘柄分散やインデックス投資のリターンのばらつきについて少し難しい話をしましたが、最も重要な結論はシンプルです。それは、「eMAXIS Slimオールカントリー」や「楽天・オールカントリー」を20年以上持ち続けることが、投資の成功に繋がるということです。
銘柄選択ではなく「握力」と「忍耐力」が重要
私たち個人投資家が投資で成功するために求められているのは、何をいつ買うかという判断力よりも、握力と忍耐力です。
- 握力とは、一度買った銘柄をしっかりと持ち続ける力のこと。市場が短期的に下落したときに慌てて売らず、長期保有を貫く力が重要です。
- 忍耐力とは、暴落が起こったときにも冷静でいられる力。株価が大幅に下がる局面でも動揺せず、投資方針を変えないことが大切です。
低コストファンドの時代における最善の戦略
現在では、信託報酬0.1%未満という非常に低コストのファンドが数多く存在しています。これは、投資家にとって非常に有利な環境です。この状況下では、最も効果的な戦略は「毎月一定額を積み立て、一度買ったら売らずに持ち続ける」というものです。時間をかけて市場全体の成長を享受することが、個人投資家にとって最も成功しやすい方法です。
まとめ 株は「売買」よりも「長期保有」が成功のカギ
頻繁に株を「売買」している間は、株式投資で成功するのは非常に難しいです。短期的な値動きに振り回されると、手数料や売買のタイミングミスで資産を減らしてしまうことが多くなります。
一方で、適度に分散された優良株を長期保有することで、初心者でも株式投資で勝つ確率が大幅に上がります。長期的に市場の成長を取り込むことで、リスクを抑えつつリターンを得ることが可能です。
投資においては、やり方次第で結果が大きく変わります。特に初心者の方は、長期的な視点を持ち、冷静に資産を育てることが成功のカギです。